サーキット走行に求めたのはパワーよりもコーナリング性能
サスを徹底的に煮詰めてタービン交換を追いかけ回す!
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ストリートで長く乗りたい、でもサーキットもガンガン走りたい…と、走ることが大好きというFD3Sユーザーに向けてTiレーシングが提案するメニューは、まず低圧縮ローターを使い耐久性を重視したブーストアップ仕様のエンジン。
一般的に圧縮比を低くすれば低回転域のレスポンスは悪化するし、トルクも少なくなると言われている。しかし、精度を高めて組み直し、CPセッティングを丁寧に行えば、圧縮比を下げたことによるデメリットはほとんど影を潜めてしまうそうだ。
逆に、エンジンに余計な負担をかけない分、耐久性は向上。ブーストアップすれば、余裕で300psオーバーも狙える。必要にして十分なパワーが得られるし、後々のステップアップにも適しているというわけだ。
また、この車両は純正シーケンシャルツインターボのまま、最大ブースト圧を0.9キロまでアップ。エンジンの個体差を見極め、CPチューンによりプライマリーとセカンダリーの切り替わりポイントを微調整することで段つきが気にならなくなるという。
FD3Sの純正ダイナモは、FC3S時代から使われるかなり古い設計のモノで回転抵抗が大きい。これを低抵抗の強化品に交換し、損失馬力を最小限に留めている。パワーチェックすると2~3psは楽に変わるそうだ。
一方、内装はすべて装着され、エアコン&オーディオも機能する。ロールケージも装着されていないため、ストリート仕様としての使い勝手は非常に良い。
外観からは目立たないが、オリジナルフロントバンパーの下側にはアンダーパネルが装着され、ダウンフォースを生み出す仕組み。これにGTウイングを装着すれば、サーキット走行を楽しめるという。
「このセブンは筑波で1分1秒台を出してます。サーキット走行を楽しむには、コーナー出口でなかなかアクセルを踏めないような大パワーを求めるのではなく、全開で立ち上がっていけるパワーに抑えておくのがベストだと思いますね」とはTiレーシング井土代表。
タイムアタックで全国の頂点を目指すなら話は別だが、純粋に走りを楽しみたいなら、必要にして十分なパワーがあれば問題ナシ。それよりも、抑えたパワー分の耐久性を手に入れる方が、ストリート仕様には大切だと考えているのだ。
ただ、一般的なサーキット仕様よりもアンダーパワーなため、ストレートスピードを伸ばしてタイムアップを狙うのは至難の技。そこで、タイムを稼ぐのはもっぱらコーナリングということで、足回りのチューニングには徹底的に拘っている。
フロントは、アッパーアームブラケットブレースの装着や、ロワアームに偏芯ピロブッシュを装着してムダな動きをシャットアウト。さらに、車高調とアライメントのセッティングを煮つめることでコーナリングマシンに仕上げている。
リヤもブッシュ類がすべてピロ化され、ブッシュのたわみによる挙動変化を最小限におさえている。車高調はクァンタム製をベースにオリジナル減衰力セッティングを施したモノ。固めのスプリングを使用しているが、乗り心地はかなり良いという。
井土代表いわく「RX-7はサスとボディを連結するブラケット部の強度が絶対的に不足しているんです。とくにフロントのアッパーアームの付け根がかなり弱く、Sタイヤを履くと動いてしまう。ウチではボディへのスポット溶接増しを嫌う人のために、アッパーアームブラケットブレースの装着をオススメしていますね」とのこと。ボルトオンのブラケットを装着するだけでステアリングのグニャグニャ感が消え、コーナー進入時の回頭性や手応えも格段に良くなるわけだ。
これらのサスチューンに加え、フロントロワアームに偏芯ピロブッシュを使ってキャンバーとキャスターを付け、さらにエアロパーツによるダウンフォースを追加すると、ドライバーの腕次第ではタービン交換仕様と互角に渡りあえるタイムが出せるという。エンジンパワーの数値ではなく、走りの本質に拘る人に選んでほしい仕様と言えるだろう。
取材協力:Tiレーシング 千葉県千葉市稲毛区長沼町209-4 TEL:043-215-5252
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