「軽より小回りできる」電気自動車
photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
【画像】ホンダe日本仕様 細部まで撮影【8月発表へ】 全134枚
日本発表が待たれるホンダの100%電気自動車「ホンダe」を、じっくり撮影する機会に恵まれた。
多くの自動車メーカーは、EVにガソリン車と同じ使い勝手を求めて、バッテリーを大容量化し、ボディを大きくする傾向にある。
これに対してホンダは、電気自動車を小さく作って、使いやすくしたいと考えた。他社が陥っている呪縛から一旦逃れ、「街なかベスト」のEVを追求する道を選んだのだ。
ホンダe日本仕様のボディサイズは正式発表時に判明するが、今回1つの数値が明らかになった。
街なかで扱いやすい小回り性を確保するために、最小回転半径を4.3mに抑えているのだ。ホンダの軽自動車の回転半径が概ね4.5mであるから、それよりも取り回ししやすいことになる。
実は開発チーム発足時の構想メモでは、ホンダeはFF(フロントにモーターをマウントし、前輪を駆動)だったという。しかし、それではオーバーハングを短くできないし、舵角を大きく取れないのでリアモーター・リアドライブというRRレイアウトに行き着いた。
車体後部に積まれたそのモーターであるが、最大トルク32.1kg-mというパワフルなものが搭載されている。
アコードの駆動モーター搭載
ホンダeがリアに積むモーターに関して、一部のスペックが判明した。
新型アコードの駆動用モーターを流用しており、3LのV6エンジンのような大トルクを発揮するのが特徴だ。
最高出力:113kW(153ps)
最大トルク:315Nm(32.1kg-m)
最高回転数:11920rpm
走行モードは「ノーマル」「スポーツ」の2種類。これはモーターらしい加速か、もっと力強い加速なのかを選択できるものと考えればいい。
そして、それぞれの走行モードに対し、シングルペダル・コントロールの「オフ」「オン」を選択できる。これは減速に関するセッティングだ。
「オフ」なら一般的なAT車の感覚で走ることができ、クリープも行われる。「オン」ならスロットル・ペダルで停止まで減速できるが、クリープ動作は行われない。
また、シングルペダルの設定スイッチとは別に、ステアリングに備え付けられたパドルシフトで減速度も選択できる。
考え方としては、まず走行モードを前述の2種類から選び、好みの加速レスポンスにする。続いて、減速の強弱・クリープの使用有無からシングルペダル・コントロールを選ぶ。最後に実際に走ってみて、パドルシフトで自分のドライビングスタイルに合った減速度を選ぶという具合だ。
これが、EVでも走りを忘れないホンダならではのレシピということになる。
急速充電 30分で202km
ホンダeは、前述のように都市型コミューターとして開発されている。このため、航続可能距離は、WLTCモード:283km(JC08:308km)という範囲になった。
長い航続距離ではないが、このクルマは「街なかベスト」を目指している。多くのドライバーにとって街乗りに必要なレンジは、現実的にはこのくらいなのかもしれない。
もしも遠出が必要なときは、出先で充電して“継ぎ足し”すればいい。この考え方を支えるのが急速充電のスペックと、待ち時間の過ごし方だ。
ホンダeは、日本の標準的な規格である急速充電「CHAdeMO」と、Type1単相の通常充電に対応する。
このうち、急速充電のCHAdeMOは、充電警告の点灯からバッテリー残容量比率(SOC)80%まで、30分でチャージすることができる。これで、約202kmを走行できるという。なお、警告はSOC約15%で点灯する仕掛けだ。
Type1単相では、警告の点灯からSOC100%まで、家庭/公共AC充電用コンセント(~3.2kW)で9.6時間以上。家庭/公共AC充電設備(~6.0kW)なら5.2時間以上が目安となる。
出先で急速充電に掛ける30分。ホンダは、ただの待ち時間にしたくはないようだ。
実車の車内に入ってみると、たしかにこれまでのクルマとは時間の使い方が異なることに気づいた。
内装 5枚のスクリーンを水平配置
車内に入ってみよう。5枚のディスプレイが車幅いっぱいに連なるインパネは、充電が不可欠なEVにとって理にかなった装備であった。
このクルマなら、充電作業が“手持ち無沙汰な”待ち時間ではなく、自分の時間になる。
5枚のディスプレイのうち、左右の端はサイドミラーとして機能する「カメラミラーシステム」のモニター。カメラミラーは全車に標準装備されるという。
左から2番目、3番目の画面は、12.3インチのディスプレイ2枚を統合したインフォテインメント・スクリーン。
そしてステアリング越しに見えるのがメーター用の画面だ。
このうち、ディスプレイ2枚を統合したスクリーンは、パソコンをデュアル・モニターで使っている感覚に近い。ドライバー側にナビを表示し、助手席側は乗員が好きなアプリを使うというイメージ。
例えば、充電中にクルマの中でこんな過ごし方ができる。
片側にバッテリーの状況を表示しながら、もう片方の画面では、車内Wi-Fiを利用して映画や動画コンテンツを再生。
メールをチェックしたくなったら、映画の画面を横にずらしてスマホ連携(Apple CarPlay、Android Auto)を起動する。
パソコンのデスクトップのように好きな壁紙に差し替えることも可能だ。
極めつけは、自然会話型のホンダ・パーソナルアシスタントという音声認識システム。「OK Honda(オーケイ、ホンダ!)」と口に出せばキャラクターが登場し、レストランの相談や天気の話をすることができる。
日本仕様 グレードは2種類
街なかで活きるEV、未来を見据えた先進性、ホンダらしいコダワリ。
こうしたテーマで開発されたホンダの都市型EVは、前後重量配分50:50、四輪独立懸架のサスペンション(ストラット)という走れるパッケージに、クリーンなデザインをまとって登場する。
昨年秋に国土交通省が認可したデジタルキーも採用するというから、手元のスマホをそのまま愛車のキーとして使うこともできるわけだ。
なおホンダeのラインナップは、ベースグレードの「ホンダe」と「ホンダeアドバンス」という2車種を用意する予定。
ボディカラーは、新色のチャージイエロー、上質なイメージのブルーとレッドを含め全7色を揃える。
ホンダは、ホンダeの正式発表を8月中に行うと名言している。この夏、注目の新型車の登場までもうすぐだ。
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みんなのコメント
新型の初期のほうははかなり安くなってきた。