スペインはバレンシア、リカルド・トルモ・サーキットで開催されたFIA格式ワールドシリーズ、FIA TCRワールドツアーの2025年第2戦は、予選から他を圧倒したリンク&コー・シアン・レーシングがレースウイークを制圧。ポールシッターのサンティアゴ・ウルティアを討ち取った元王者ヤン・エルラシェール(リンク&コー03 TCR FL)が3戦中2勝を飾り、新たなチャンピオンシップリーダーに躍り出た。
合計7台のゲストエントリーを含む18台が集結した6月13~15日の週末は、選手権首位で乗り込んで来たホンダ陣営のエステバン・グエリエリ(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が40kgの補正ウエイトを搭載。ウルティアとテッド・ビョーク(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR FL)がそれぞれ30kg、以下エルラシェールが20kg、オーレリアン・コンテ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)は10kgの順でハンデウエイトを背負う。
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その効果がカタチになった走り出しは、今季絶不調の開幕スタートを強いられたBRCヒョンデNスクアドラコルセのミケル・アズコナ(ヒョンデ・エラントラN TCR)が最速、続くFP2では元TCR南米大陸王者イグナシオ・モンテネグロ(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がホンダ艦隊のワン・ツー・スリーを牽引する。
しかし予選に入ると勢力図が一変。シアン・レーシングのウルティアが、僚友エルラシェールとマ・キンファを従えワールドツアーの予選を制した。
「正直に言うと、クルマに30kgの重量を積んでいるのでポールポジションを獲得できるとは思っていなかった。前日(FP)はヒョンデ勢が非常に速く、ミケル(・アズコナ)のタイムは見えていなかったんだ」と明かした今季初ポールのウルティア。
「だから全力の連続アタックでタイム更新できなかったときはチームに謝ったが、そこで『ポールポジション獲得だ』と言われ驚いた。スペインに住んでいるからより感慨深い。レースでは暑さが大きな影響を与えるだろうし、重量の問題は大きい。水分補給をし、タイヤにはできる限り気を配る必要があるね」
迎えたレース1はスタートで雌雄を決する展開となり、ライトが消えた際にウルティアよりも良いスタートを切ったエルラシェールが僚友のマシンに接触。この際、ホイールが激しくぶつかった2台だったが幸い大きなダメージはなく、対照的に後方で王者ノルベルト・ミケリス(BRCヒョンデNスクアドラコルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)に当てられたモンテネグロがエリック・ジェネ(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)にも挟まれ、フロントエンドのダメージで早々のリタイヤを喫してしまう。
さらに10周目には昨季まで世界戦のメンバーとして戦ったマルコ・ブティ(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がターン12でコース上にストップし、ここでセーフティカー(SC)が導入される。しかし12周目のリスタート後もチーム内でポジションを前後させた瞬間があったものの、エルラシェールがトップチェッカーをくぐり、ウルティア、マ・キンファが表彰台を独占する結果となった。
「大丈夫だが、マシンには30kgの重量があるからね。スタートで少し苦戦している。スタックしたくなくて、クラッチを切るのが遅すぎたんだ」と惜敗のウルティアが明かせば、勝者エルラシェールも「決して簡単ではなかったが、ターン1での決着後はタイヤマネジメントに集中していた」と、最後までミスをせず、冷静さを保つことが重要だったと振り返った。
「この順位にいられてうれしい。レース2に向けてセットアップを少し調整し、上位に返り咲きたい。ただし、完走してポイントを獲得する必要があるから、あまりリスクを負いすぎないようにしたいね」
続くレース2はリバースポールからジョン・フィリピ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)が先頭発進を切ると、序盤から動きを見せたのはヒョンデのネストール・ジロラミ(BRCヒョンデNスクアドラコルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)で、早くも2周目には2番手へと浮上してくる。
開幕メキシコでは「エンジンの高地調整が上手く行かなかったのが敗因」との分析結果を口にしていた陣営は、この欧州ラウンドでわずかに息を吹き返すと、続く3周目にはあっさりとフィリピをオーバーテイク。そのままジロラミがヒョンデに今季初優勝をもたらした。
「昨日はあまり良い状況ではなかったが、今日は好転した。今日はスタートがレースで最も重要な瞬間だと分かっていたし、最初の2~3周でタイヤのピークを迎えるから、それを利用する必要があった」と勝因を語ったジロラミ。
そのジロラミが2列目3番手発進となった最終レース3は、そのヒョンデの勢いをもってしてもフロントロウのリンク&コー艦隊には及ばず。スタートから“デュエル”状態に持ち込んだエルラシェールとウルティアの勝負は、序盤に先行を許した直後にポジションを奪い返したエルラシェールが、背後の僚友に充分な差をつけてフィニッシュラインに到達した。
「僕らにとって非常に良い週末。不運に見舞われなかったのは初めてだね」と安堵の声を漏らしたエルラシェール。
「ラップペースとチームメイトの努力には満足している。ただ、非常に暑かったから、すべてをまとめるのに少し時間が掛かったよ。改めてバレンシアは良いツーリングカー・トラックだ。ドライバーにとって良いラップを刻むのは非常に難しく、温度条件も決して容易ではない。非常にチャレンジングだったし、将来またこのコースに戻ってこられることを願っている」
これでウルティアに6ポイント、グエリエリに7ポイントの差をつけてエルラシェールがランキング首位に立ったTCRワールドツアー。続く第3戦は2週連続開催のイタリア・モンツァでの1戦が待ち受ける。
[オートスポーツweb 2025年06月18日]
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中国勢がトップ争い。
ルマンでは日本の某メーカーは全力をだしても勝てなかった