2025年シーズンからウイリアムズに加入したカルロス・サインツJr.が脳裏に描いているのは、テールエンダーからチャンピオンへ返り咲いたマクラーレンの復活物語だ。トロロッソ、ルノー、マクラーレン、フェラーリとF1キャリアを築いてきたサインツJr.の目標は、ウイリアムズで同様の道を辿ることであり、80年代、90年代に黄金期を築いた名門の復活に全力を尽くすと固く決意している。
4年間を過ごしたイタリア・マラネロを離れたサインツJr.は今、安定感を享受している。自身が何を望んでいるのかを理解しており、ウイリアムズでの適応プロセスから始まるチャレンジもよく理解している。motorsport.comイタリア版のインタビューから浮かび上がってくるのは、明晰な目と分析的な考え方、そして自分自身に嘘をつかないという姿勢だ。
■今年はミスも許したる。サインツJr.がウイリアムズF1の失態も受け入れる理由「チャンピオン争いをしているわけじゃない」
■トップチームに行けない理由はわかった……でも秘密だ
Q.:1年前、あなたは自身の将来がどうなるか分からなかった。今はどうですか?
カルロス・サインツJr.:「個人的なレベルでは、かなり良くなっている。今は長期的なプロジェクトがあるチームにいて、本当にモチベーションが高い。フェラーリで良い思いができなかったというわけではない。それはハッキリさせておきたい。でも昨年は自分が離脱すると分かっていながらシーズンを通してレースをしたわけだから、状況が違った」
「不思議な年だったけど、総合的に考えてチームとして良い仕事ができたと思う」
Q.:昨年、ウイリアムズ加入を決めるまで長い時間がかかりましたね。どのように決断したのですか?
「夏まで時間をかけて、トップチームにチャンスがあるかどうかを確認し、最善の選択肢が何かを見極めた。間違った選択はしたくなかったから、全てを慎重に評価したんだ」
Q.:昨年、ご自身がトップチームから検討されなかった理由はなんでしょうか?
「僕なりに結論を出した。でも、それは自分だけの秘密だ。F1関係者は、ある選択がなされる理由を完全に理解していると信じている。だから僕は「トップチームに加わることができないなら、チームを築く手助けをしよう」と自分に言い聞かせた」
「ウイリアムズで素晴らしい物語を始める可能性を感じた。ジェームス(ボウルズ/ウイリアムズ代表)が考えていたプロジェクトについてじっくり話し合い、ウイリアムズがトップチームとなる最高のチャンスに思えたから、ウイリアムズに賭けることにした」
「この旅が始まって半年、契約した時よりも確信を持っていると言える。僕らはみんな、この目標を達成するために100%努力している」
■新しいチームに慣れるには時間がかかる
Q. 今季はチームに新加入したドライバーの多くが苦労しているようです。ウイリアムズでの適応は進んでいますか?
「この話題が注目されているのは、ひとりの偉大なドライバーがチームを移籍することの難しさに直面しているからだと思う。今になってみんな、僕が長いこと移籍に慣れているというのに気がついた。僕は5回もチームを変えてきた。ルノーでのスティント、マクラーレンでの2年を覚えているが、当時は僕がまだ順応していると言っても、その意味を理解してもらえなかったと思う。「F1ドライバーなんだから、すぐに順応するのが当たり前だ」ってね。でもそれが何を意味するのか、みんなが本当に理解しているとは思えない」
「言い訳じゃないけど、今はこの問題がよく理解されている。チームを移籍したドライバーたちと話すと、彼らは口を揃えて「テストがなければ、レースの週末に色々と試すしかない」と言う。それが不利に働いているのは明確だ。それしか成長の道はない。プロセスには時間がかかるんだ」
Q. 実際にはどういう適応が必要なのでしょうか?
「チームによって異なる小さなことがたくさんある。パワーユニット(PU)について言うならエンジンブレーキやトルクカーブ、ディファレンシャル、異なるサプライヤーのブレーキディスクのフィーリング、アウトラップでのタイヤのウォームアップ手順、レース中のタイヤマネジメント、予選ラップのアプローチなど、現代のF1では非常に重要な要素がたくさんある」
「同じチームで3~4年過ごしたドライバーは当然、それら全てに精通しているし、パフォーマンスを最大限に引き出すことができる。僕の場合はアレックス(アレクサンダー・アルボン/ウイリアムズ)。フェラーリのシャルル(ルクレール)やレッドブルの(マックス)フェルスタッペン、メルセデスの(ジョージ)ラッセルを見ていても、そういうレベルに達するには時間がかかる。チームに入ったばかりの人間が知らないことに精通しているからね。レースの週末で、ドライビングやデータ分析、あるいはコピーをして初めて分かるモノで、それには時間がかかる」
Q. ウイリアムズの進歩には驚きましたか? それとも予想していましたか?
「僕がウイリアムズを選んだのは、まさに今のような可能性を感じたからだ。とはいえ、僕が予想していたよりも早くに一歩前進したし、おそらくチーム自体も昨年からの進歩に驚いていただろう。開幕戦では良い一歩を踏み出せたが、エンジニアたちと一緒にセットアップを微調整できるようになってから、また一歩前進できたことが何よりの自信になった」
「僕らが進んでいる道に貢献できることを楽しんでいるし、アレックスと一緒に方針を見つけるために良い仕事ができていると思う」
■ウイリアムズでチャンピオンになりたい
Q. ウイリアムズをトップ争いに戻すためにはどれくらいの時間がかかるでしょうか?
「来年はまだ準備が整わないと思う。でもトップチームと一緒になれるから、また一歩前進できたら最高だね。フェラーリでの経験から、中団グループで戦うことと、実際にトップランナーを打ち負かすことは別モノだということも学んだ」
「今年、僕らはその第一歩を体験している。いくつかの予選ではメルセデスやフェラーリと互角に戦うことができた。そこから僕らはミスを犯し、多くのポイントを失った。チームの成長はマシンだけでなく、組織全体が成長しなければならない。ジェームスはそのための適任者だと思う」
Q. あなたの生活はどう変わりましたか?
「何度も経験してきたけど、チームを変えると、生活の他の面も変わる。それは自然なことだ。26歳から30歳まで、僕は素晴らしいチームの一員で、素晴らしい時間を過ごした」
「今年イモラに到着した時、ファンは僕を暖かく迎え入れてくれた。愛されていると感じたし、その評価に心から感謝したい。フェラーリのために全てを捧げた美しい4年間だった。でも、僕はそのページをめくったんだ」
「今はウイリアムズの環境にどっぷり浸かっている。このチャンスを得たんだから、最大限に活用しなければならない。でも素晴らしい思い出は忘れないよ」
Q. 4~5年後の自分はどうなっていると思いますか?
「世界タイトルを獲得したい。究極の目標に向かってウイリアムズと一緒に戦いたい。それが僕の生涯プロジェクトだ。熱意とモチベーションを持ち、その全てを共有のビジョンに注ぎ込むんだ」
■”もう勝てないかも”と覚悟した瞬間も
Q. 昨年ウイリアムズと契約した時、ウイリアムズがマクラーレン時代を思い出させると言っていましたよね。
「全ては適切な人材を信頼できるかどうかだ。今日のチーム規模は本当に大きくなっていて、各部門に優れたリーダーがいることが非常に重要になっている。ウイリアムズでは、あらゆる面で非常に有能な人材がいるというのが分かった」
「僕がマクラーレンに移籍した時、アンドレア・ステラとピーター・プロドロモウがいたことを覚えている。まだ今のような役割ではなかったかもしれないが、彼らの経歴と能力は既に明らかだった」
「フェラーリから声がかかった時、僕は迷わなかった。フェラーリだからね。でもマクラーレンが成長していることは分かっていた。今でもパドックでばったり会うと、いつも「君たちの成功を見ることができて嬉しい」と言うんだ。マクラーレンが前進し始めた時に僕が去ったとしても、僕には素晴らしい思い出がある」
Q. 昨年は不安要素がある中で好調を維持することができました。最も大変だったこととは?
「僕のチャリアにおいて最高の年じゃなかった……おそらく、マクラーレンでのシーズンが今でも僕のベストだと思っている。フェラーリでは優勝に繋がるようなハイライトもあったけど、最後のシーズンが一番厳しかったというのは明らかだ。次の年にどこでレースをするのか分からなかったし、そんな状況で戦うのは理想的とは言えない」
「100%のパフォーマンスを発揮するためには、マックスやシャルルのように全てが分かっていて、全てが自分を中心に回っている環境で、落ち着いている必要がある。昨年は巡ってきたチャンスを最大限に活かそうとした。決した楽なシーズンではなかったけど、フェラーリのために全てを捧げることができたのを誇りに思う」
Q. 2024年を振り返って最も強く印象に残っているのは、勝利を収めたメキシコシティGPの表彰台での表情です。
「その理由を話そう。メキシコに到着した時『カルロス、F1で勝つのはこれが最後になるかもしれない。どんな未来が待っているかは分からない』と自分自身に言い聞かせた。ある意味、自分にプレッシャーをかけたんだけど、それが本音だった。あの週末、マシンに競争力があることは分かっていたし、同時にウイリアムズへ行くことで、また勝てるマシンに乗れるか分からないことも分かっていた」
「もちろん、僕の目標はウイリアムズをトップに押し上げることで、僕は自分の才能を信じている。でも未来を予想することはできないだろう? メキシコシティの週末を振り返ってみると、どれだけ意識していたかは分からないけど、本当に自分を追い込んだ。最終的にはとても上手くいった。Q3では人生最高の2周を走り、(決勝では)フェルスタッペンに上手く仕掛けて優勝した。フィニッシュラインを通過した後、『これが僕の実力だ』と自分に言い聞かせたよ」
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