充電設備の在り方を考えるべき
電気自動車(EV)の充電器近くの店などが売り上げを伸ばしたという話があるそうだ。私は、まだ直接耳にしていないが、嬉しい情報だ。
台数が増えたらやっぱり問題も増えた! EV乗りが「急速充電スポット」で見かけるトラブル事例TOP3
とはいえ、まだ事例は限られるかもしれない。日本のEV普及が海外に比べ大きく出遅れているからだ。この先、EVの普及が進めば、そうした事例が増える可能性がある。それに際し、充電設備のあり方を、もう一度よく考えてみることが大切ではないだろうか。
EVへの充電は、200Vの普通充電が基本だ。自宅や勤め先などで行う基礎充電と、旅先や仕事先など、訪ね先で行う目的地充電がある。
もうひとつが、高電圧・大電流を利用し、直流で充電する急速充電になる。これは、移動途中に行う充電を指し、経路充電という。当初は、50kW以下の出力であったが、今日では3倍の150kWという大電力を供給するまでに至っている。海外では、さらに高電力の急速充電器の整備も行われている。
ところで、冒頭の充電器のある場所で商売が繁盛するかという視点でいえは、急速充電が適していると考えられがちだ。しかし、急速充電器を設置するとなると、1000万円前後といわれる投資が必要で、そう簡単に誰もが設置できるものではない。
一方、200Vの普通充電は、長い時間停車する自宅や勤め先、あるいは旅先の宿などに適していて、経路充電には不向きだと考えられがちだ。
だが、会話を楽しみながらゆっくり食事をするような飲食店、あるいはウインドウショッピングを含め買い物を楽しむような場所、たとえばアウトレットなどのようなところでは、必ずしも急速充電器でなくても、普通充電器である程度の目的は果たせるのではないか。逆に急速充電器では時間が足りず、食事や買い物をしている途中で、次の充電希望者のため充電枠からクルマを移動しなければならなくなることもあるだろう。
もちろん普通充電では、急速充電のように満充電に近い80%というような充電量は稼げないかもしれない。しかし、移動の仕方によっては、200Vで1~2時間充電することにより、次の目的地までの余裕が得られることになる。あるいは自宅に帰る補充電との発想ができれば、必ずしも急速充電器でなければならないことはない。
経路充電でもあり、ある種の目的地充電でもあるような、折衷案だ。
たとえば3kWの普通充電では、1時間で3kWしか補充電できないので、50kWhというような大容量のリチウムイオンバッテリーを車載するEVでは、たった6%しか回復できない。しかし、20kWhのサクラやeKクロスEVなら15%も回復できる。もし2時間止まっていたなら30%の回復になり、約3分の1の充電量となって、次への移動や帰宅などへの安心感が明らかに違ってくる。
6kWの普通充電設備なら、さらに2倍の充電ができるので、必ずしも車載バッテリーの容量が大きく、高価なEVを買わなくても済むと考えられるようになるかもしれない。
仕事でEVを利用する場合でも、商談先や打ち合わせ先の事業所に普通充電器があれば、打ち合わせなどで1~2時間止まり、それを一日に何件かかけ持ちするとしても、次の事業所まで移動できればよいと考えられるようになるのではないか。
その際の充電料金は、有料でよく、それならば、相手が発注元であっても遠慮はいらないだろう。
EVの普及が進まなければ状況は変わらない
話がそれたが、そのように、細かく充電を繰り返し、何かをしながら充電も済ます考え方は、エンジン車でいえば、止まるたびに5~10リッターずつ給油し、移動し続けるようなことになる。しかし、ガソリンや軽油だと、自宅はもちろん何処の施設にも設置できるのではなく、セルフサービスであるとしても、そのための時間を別途必要とする。
しかし、用事を済ます間に普通充電するなら、駐車場に設置でき、クルマを止め、プラグを差し込み、あとは食事なり打ち合わせなりをするだけだから、余計な時間をとるわけではない。何か所かに立ち寄る補充電によって、最終目的地に到着する。
こうした止まるたびに継ぎ足し充電で移動するEVの利用の仕方が身に着けば、また、そうやってEVに乗る人が増えれば、充電設備のある店や近隣の商売は、売り上げが伸びていく可能性があるのではないか。
これを経験すると、あえてスタンドに寄って給油する行為が、たとえそれが5~10分で終わるとしても、いかに面倒な行動であったかを実感するだろう。EVに乗ってみると、スタンドに立ち寄らずに済むことがどれほど快適か、実感するはずだ。
ちなみに、ガソリンスタンドの件数は確実に減少しており、2023年で約2万7400軒にまでになっている。これにより、たとえば帰宅前など給油の希望が集中する時間帯には列ができ、とても5~10分で給油が済まなくなる場合もあるのではないか。
高速道路や道の駅などの急速充電を使うにしても、行く先に目的地充電があれば、経路充電の負担が減り、混雑が緩和される方向へ向かうことも期待できる。
もちろん、一気に遠出をする人には、高性能で大電力を供給する急速充電器が必要になる。そうした充電器の整備は必要だ。とはいえ、経路充電と位置付けられる充電器の性能がすべて高性能で急速でなければならないことはなく、経路の立ちより先に何だかの魅力や用事があり、同時に普通充電できれば、人々は時間を有効活用する事例も増えるだろう。
クルマが多く集まる場所や施設に普通充電器が増え、継ぎ足しによる経路充電の安心が理解され、周辺施設の売り上げも伸びれば何よりだ。また、高性能急速充電器への投資も将来的に抑えられるかもしれない。
いずれにしても、快適なEVライフを実現するには、EVの普及がもっと進まなければ拡充しない。
EVが、単に環境対策車であるというだけでなく、スタンドに立ち寄らないで済む快適さを理解してもらう周知が不可欠だ。
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みんなのコメント
エンジン車に乗っている人で、1日に5〜10リッターを何度も入れる人なんて皆無。
商談なら1時間位掛かる時もあるが、昼食に1時間以上掛ける人もまずいない、特に仕事中なら30分が限界。
もし営業車でこんな使い方したら、毎回の経費精算も面倒ですね。
この記事読んで、苦し紛れに知恵を絞って捻り出したのが良く分かるが、ちゃんと読めばやはりBEVは非常に使い勝手が悪いのが分かる。
BEVを何とか広めたいと思って書いたけど、かえって墓穴を掘りましたね。