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ポルシェ、EVの常識を変える「置くだけ11kW充電」を新型「カイエン」で実用化へ

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ポルシェ、EVの常識を変える「置くだけ11kW充電」を新型「カイエン」で実用化へ

ポルシェがBEV充電の新たな未来を示唆

スマートフォンを充電台に置くだけで充電が始まる。今や当たり前となった機能を、電気自動車の世界でも実現するべく、ポルシェが革新的な技術の実用化に踏み出した。同社は2025年9月4日、最大出力11kWを誇るEV向け誘導充電システムを、自動車メーカーとして初めて市場投入の準備を整えたと発表した。この画期的な技術は、2025年末にワールドプレミアが予定されているフル電動モデル、新型「カイエン・エレクトリック」に初めて搭載されることになる。EVの普及における大きな課題であった充電の手間を根本から覆す、新たな時代の幕開けである。

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最大11kWのワイヤレス充電

ポルシェが開発した「ポルシェ・ワイヤレスチャージング」システムの核心は、その手軽さにある。駐車スペースの地面に設置されたフロアプレートの上に車両を停めるだけで、ケーブルを接続することなく充電が自動的に開始される。特筆すべきは、そのシステム構成が非常にシンプルである点だ。従来、高性能な家庭用充電器の設置には壁面に取り付けるウォールボックスや制御ユニットが別途必要であったが、この新システムは「ワンボックス・ベースプレート」と称される一体型構造を採用。フロアプレート自体に必要な制御機能を内蔵しているため、設置工事の手間を大幅に削減できるのである。

ポルシェの研究開発担当副会長兼取締役であるミヒャエル・シュタイナー博士は「使いやすさ、日常的な利便性、そして充電インフラは、依然として電気自動車の普及における決定的な要因である」と語る。その言葉通り、このワイヤレス充電システムは、BEVユーザーが日常的に行う充電行為を、意識することさえしないレベルまで簡素化する可能性を秘めている。このポルシェ・ワイヤレスチャージングにおける最大11kWという充電出力は、一般的な有線のAC充電器と同等レベルであり、利便性のために性能を犠牲にすることはない。さらに、電力網から車両のバッテリーまでのエネルギー伝達効率は最大90%と、非常に高い水準を達成している。

ポルシェの分析によれば、EVにおける全充電プロセスの約75%が自宅で行われているという。この事実は、家庭での充電体験を向上させることが、BEVの満足度を左右する重要な要素であることを示している。ポルシェ・ワイヤレスチャージングのフロアプレート(サイズ:長さ117cm、幅78cm、高さ6cm)は、個人のガレージやカーポート、さらには屋外の駐車スペースにも設置可能だ。設置にあたっては、従来通りポルシェの提供するインスタレーション・サービスを利用でき、専門の技術者が設置から試運転までをサポートする。

直感的かつ自動化された充電プロセス

充電のプロセスは極めて直感的だ。車両側には、飛び石や天候の影響から保護された受信ユニットが、アンダーボディの前輪間に搭載されている。ドライバーは、車載ディスプレイのサラウンドビュー機能に表示される特別なガイドに従い、フロアプレートの真上に車両を停めるだけである。最適な位置に到達すると、車両は自動的に車高を下げ、送受信ユニット間の距離を最適化。パーキングブレーキをかければ、ユーザーが他に何も操作することなく、自動で充電が開始される。安全性にも万全の配慮がなされており、フロアプレートにはモーションディテクターと異物検知機能が搭載されている。人や動物が車両とプレートの間に入り込んだり、金属片などの異物が検知されたりした場合には、即座に充電が中断される仕組みだ。

誘導充電の原理は、磁場を介したエネルギー伝達にある。フロアプレート内の送信コイルに交流電流を流して磁場を発生させ、その磁場が車両側の受信コイルに交流電流を誘導する。そして、車載の整流器がその交流をバッテリー充電用の直流に変換する。ポルシェはこのプロセスにおいて、超広帯域無線技術(UWB)を用いることで車両の正確な位置特定を実現し、安定したエネルギー伝達を可能にした。

システムは屋外での使用を前提に設計されており、雨や雪から内部の電子部品を保護する構造を持つ。また、ドイツの第三者認証機関テュフズード(TÜV Süd)による広範なテストでその堅牢性が証明されているほか、欧州のCE認証、米国のUL認証も取得しており、安全性と環境適合性において国際的な基準を満たしている。

この先進的なシステムは、「My Porsche」アプリとも完全に連携する。ユーザーはスマートフォンを通じて充電状況の確認や、複数の車両の認証管理が可能だ。また、出発時間に合わせて充電を完了させ、同時に車内を快適な温度にしておくプレコンディショニング付きタイマー充電といった、従来の充電器で利用できた便利な機能も、ワイヤレスで同様に使うことができる。フロアプレート本体にはLTEおよびWLANモジュールが標準装備され、将来的なリモートソフトウェアアップデートにも対応する。この新技術は2026年に欧州市場から導入が開始され、順次、世界各国へと展開される予定である。

IAAモビリティ2025でプロトタイプを展示

ポルシェは、この革新的な技術を視覚的にも印象付けるため、2025年9月9日からミュンヘンで開催されているIAAモビリティにて、特別なプロトタイプを展示している。このショーカーには、スタイル・ポルシェがデザインしたダイナミックなカモフラージュ柄の蛍光塗料が施されている。25層以上にも及ぶ極薄の塗装層には、電流を流すと発光するエレクトロルミネッセンス素材が含まれており、通電するとボディ表面に鮮やかなパターンが浮かび上がるというユニークな演出が用意されている。このワイヤレス充電技術の登場によっては、BEVの利便性は飛躍的に向上し、電動モビリティの普及をさらに加速させる大きな一歩となるに違いないだろう。

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文:LEVOLANT LE VOLANT web編集部
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みんなのコメント

7件
  • kur********
    韓国の駐車場にジェネシス用で既にありますが・・
    2023年から運用しているようですね。
  • ニーナ
    エネルギー効率90%という事は10%は捨てている。現在EVに乗っていますが、充電に何の不便も感じません。それよりも外部充電の電気単価は、自宅充電に比べ2~4倍なので全く利用していません。10%捨てるなら有線を選びます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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