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【雪国に朗報】よる寝ている間に自動除雪の時代、すぐそこに? 5G(第五世代通信)がキー

掲載 更新 5
【雪国に朗報】よる寝ている間に自動除雪の時代、すぐそこに? 5G(第五世代通信)がキー

暖冬だからこそ、最悪シナリオ想定

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】除雪車を使ったデモンストレーション【現場から】 全6枚

24時間、自動で除雪してくれる!?

雪国の人にとって夢のような時代に向けた、第一歩が始まった。

キーワードは、5G(第五世代通信)だ。

場所は、福井県の永平寺町(えいへいじちょう)。道元が開山した、曹洞宗の大本山・永平寺があることで世界的に知られる。

町の施設「四季の森」に、2020年1月29日~30日、5Gの通信設備を仮設し、町の所有する除雪車を使ったデモンストレーションを行った。

実証試験のきっかけは、総務省が2018年に行った5Gを活用したアイディアコンテスト。永平寺町のアイディアが見事、地域課題を解決する賞を獲得した。

このアイディアを基盤として、早期に実現可能な実証試験が行われたというわけだ。

今回は自動運転ではなく、双方向でリアルタイムな映像を送ることで、除雪作業を効率化されるというシナリオだ。

ただし、周囲には雪がない。

今シーズン(2019年~2020年)は全国的に暖冬。北海道や東北のスキー場では雪不足でオープン時期が遅れたり、また東京では1月後半で日中の気温が20℃近くまで上がるなど、例年と比べて暖かい冬となっている。

北陸でも状況は同じで、永平寺町周辺でも積雪はまったくない。

だが……。

生活の中で、除雪の負担はとても大きい

だが、この地域は数年に1度、大雪に見舞われることがあり、2年前(2018年頭)は2mを超える積雪に。町内の道路や、近隣の北陸自動車道などが通行止めになるなど、交通が大混乱となった。

暖冬のいまだからこそ、最悪のシナリオを想定する必要があるのだ。

実証試験に先立ち、永平寺町の河合永充(かわいひさみつ)町長は「2年前の豪雪では、町の職員が昼夜を問わず勤務することになり、除雪がいかに大きな社会課題なのかを実感した。効率的な除雪対策は急務だ」と、挨拶した。

町として所有する除雪車は19台。その他、委託事業者の車両を含めると町内では55台が利用できる。

2年前の豪雪では、この55台が24時間フル活動しても、除雪が間に合わないという状況だった。

除雪を担当する建設課を含めて、職員の多くが除雪車を運転できる免許を所有していて、日中は委託業者が除雪し、夜間から朝までは町職員が除雪車に乗った。

しかも、除雪の依頼や苦情など、町役場には1日約700件の電話での問い合わせがあり、その対応だけでも大変だったという。

「勤務体制は課によって違ったが、最も降雪が多かった1週間は、町職員の多くが睡眠時間は1~2時間程度だった」(総合政策課担当者)と、当時を振り返った。

5Gでなにかできるのか?

5Gを使うと、除雪作業がどうやって楽になるのだろうか?

5Gは、現在利用されている4G(LTE)と比べて、データ通信が高速かつ大容量で可能になる。

さらに、大きな特徴がデータ送受信で時間の遅延が少ないという点だ。

自動車など高速で移動する乗り物でのデータの送受信に適しているため、最近では自動運転の話になると、5Gが取り上げされることが多い。

NTTドコモでは、ラグビーワールドカップ開催時の2019年9月から、5Gのプレサービスを開始。2020年春から商業サービスを始めて、7月の東京オリンピック・パラリンピックを通じて利用を拡大させる予定だ。

では、今回の永平寺町での実証試験で、何を行ったのか?

まず、除雪車に搭載したカメラ映像を通じて、リアルタイムで道路状況を把握した。その映像をもとに、360°映像とVR(バーチャルリアリティ)を利用して、遠隔で運転の指導を行った。

運転者は若手職員で、ベテランが状況に応じて操作方法を指示する。

「例えば、マンホールを跳ね飛ばしてしまったり、車止めやコンクリート塀を壊してしまうなど、町の状況を詳しく知らないと、除雪は難しい」(ベテラン職員)。

今後は、こうした除雪に関する情報をデータベース化することで、さらに効率的な除雪が可能となる。

町民は自宅の近所の状況をリアルタイムで知りたい

効率的な除雪作業が、さらに一歩進めば、日夜を問わず無人の自動運転での除雪が可能となる。

実は、永平寺町では国のプロジェクトとして、自動運転の実用試験を行っていて、2019年には6か月間の長期実証を成功させた。

2020年中には、有料サービスとして実用化する。

こうした自動運転技術と5Gによる除雪効率化の技術が、将来的に融合すること期待されている。自動運転除雪については、北欧などで検討されているが、実用化の目途はたっていない。

自動運転除雪という大きな目標とは別に、いますぐにでも永平寺の町民に求められているのが、自宅周辺の除雪状況をリアルタイムで知ることだ。

今回の実証でも、試験的なデータを使って地図上での表示を行ったが、こうした町民向けサービスのハードルは比較的低い。

永平寺町で始まった、5Gを使った効率的な除雪作業。日本だけではなく、世界各国の降雪地域の住民が大きな期待をかけている。

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みんなのコメント

5件
  • 除雪のオペレーターはかなり感覚が必要です。
    路面の傾斜や微妙な凹凸、マンホールや路面の継ぎ目…
    機械が自動化されようが問題は出ると思う。
  • まだ当分先です。
    インフラ整備全然出来てません。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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