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6年で6メーカーが優勝/「失望」に終わった母国戦/ジネッタも新型披露etc.【スパ24時間決勝後Topics】

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6年で6メーカーが優勝/「失望」に終わった母国戦/ジネッタも新型披露etc.【スパ24時間決勝後Topics】

 ル・マンから始まった、狂気とも思える“24時間レースの3週連続開催”が、ニュルブルクリンク24時間の翌週にレースが行われたベルギーのスパ・フランコルシャンで幕を閉じた。ここではランボルギーニの初優勝に湧いた、スパ・フランコルシャン・サーキットからレース後のさまざまなトピックをお届けする。

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戦略変更が奏功し優勝争いに名乗り。ポルシェが勝つには「リスクを冒す必要があった」とニーダーハウザー

 ランボルギーニは、GRTグラッサー・レーシング・チームによる歴史的勝利によってスパ24時間レースで総合優勝を飾った4番目のイタリアブランドとなった。ランボルギーニが加わる以前は、マセラティ(3勝)、フェラーリ(4勝)、アルファロメオ(7勝)の3社だった。

 今年で78回目の開催を数えるアルデンヌ地方での耐久クラシックレースでは、6年連続で異なるブランドが勝利を収めることとなった。ポルシェが2019年と2020年に最後の連勝を達成した後、フェラーリ/21年、メルセデスAMG/22年、BMW/23年、アストンマーティン/24年、ランボルギーニ/25年と続いている。

 ランボルギーニに加え、GRTグラッサー・レーシング・チーム、そしてドライバーのミルコ・ボルトロッティ、ルカ・エングストラー、ジョーダン・ペッパーもそれぞれスパ24時間レースで初の総合優勝を果たした。ペッパーはとくに、このイベントで総合優勝を飾った最初の南アフリカ人ドライバーとなっている。

 ランボルギーニのスパ24時間でのこれまでの最高成績は昨季2024年の総合5位で、これもGRTとペッパーによるものだ。当時はマルコ・マペッリとフランク・ペレラがチームメイトだった。


■決勝会見欠席の理由

 ランボルギーニのモータースポーツ責任者であるマウリツィオ・レスキウッタは次のように述べた。「ランボルギーニに入社して最初の年にスパ24時間レースで優勝できたことを大変うれしく思う。ドライバーとチームが本当に特別なことを成し遂げてくれたことに感謝したい。また、長年にわたり完璧な仕事をしてきたランボルギーニ・スクアドラ・コルセのチームにも感謝している。彼らが、我々を今日あるべき場所に導いてくれたんだ」

 勝利を収めた63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2をドライブしたボルトロッティは、レース後の記者会見を欠席した。ランボルギーニの広報担当者はSportscar365に対し、イタリア人ドライバーは脱水症状のため、予防措置として現地の医療センターに運ばれたと語った。ゴールドカップウイナーの33号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(フェルスタッペン・ドットコム・レーシング)の一員だったハリー・キングも、同様の理由で記者会見に出席しなかった。

 ペッパーは決勝後の記者会見でボルトロッティに敬意を表し、ランボルギーニGT3プログラムへの10年間の貢献を称えた。「彼が長年にわたってこのプログラムに注いできた努力が、最終的に実を結んだのだと思う。彼はきっとすぐに回復するだろう。彼は強靭で健康で、それに充分に若いから大丈夫だと信じている。上機嫌で表彰台に立っていて、とても幸せそうだった。だから、きっと大丈夫だろう」

 記者会見が終了するとすぐに、ペッパーは同胞でBMWドライバーのケルビン・ファン・デル・リンデに抱きしめられ、祝福された。ファン・デル・リンデはレースを7位で終えた。このふたりの南アフリカ人ドライバーは、それぞれのキャリアの初期段階でルームメイトとして一緒に暮らしていたこともあり、現在も親密な関係にある。


■地元のチームWRT撃沈

 ランボルギーニはIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジの登録メーカーではないため、総合2位となった96号車ポルシェ911 GT3 R(ルトロニック・レーシング)が認定車の最高位となった。この結果、ポルシェがメーカー選手権で25ポイントに6ポイントを加え合計31ポイントを獲得したが、2台のプロエントリーのおかげで33ポイントを稼いだフェラーリには及ばなかった。

 BMWは最初の3ラウンドで90ポイントを獲得し、メーカーランキングで首位を維持している。同2位は76ポイントのポルシェで、フェラーリが61ポイントで3位。メルセデスAMGが57ポイントで続いている。

 アレッシオ・ピカリエッロはレース後、彼とルトロニック・レーシングがレースで直面した課題、とくに2025年用に新しく導入されたピレリのP-Zero DHGタイヤについて言及した。

「現時点では、誰にとっても間違いなく挑戦だった」とピカリエッロは記者団に語った。「しかし、ピレリはそのことを認識している。ピックアップに苦労し、周回ごと、コーナーごと、スティントごとに一貫性がない。これが誰にとっても最大の課題だった。何が起こるか予測できないため、つねに緊張してドライブしていた。しかし、ピレリは素晴らしいブランドなのできっと改善するだろう。タイヤの最初の年だから、もう少し手を加える必要があるのも当然だ」

 チームWRTのボスであるヴァンサン・ボッセは、ベルギーのチームのホームレースでのパフォーマンスを「失望した」と評した。というのも、チームの3台のプロカーはいずれもトップ5に入れず、総合7位(32号車)、8位(31号車)、11位(46号車)に終わった。とくに8位でフィニッシュした31号車BMW M4 GT3エボは、CSAレーシングのマクラーレン720S GT3エボとの接触によりリヤバンパーが破損し、後にディフューザーの交換を余儀なくされた。


■初優勝から一転……

 クラウドスライク・バイ・SPSオートモーティブ・パフォーマンスは、レース初期の複数の問題とペナルティから立ち直り、昨年のカテゴリ優勝者であるジョージ・カーツ/コリン・ブラウン/ニッキー・キャツバーグ/イアン・ジェームス組がプロ・アマカップでクラス3位の成績を収めた。

 クラウドストライク社の創設者兼CEOであるカーツは次のように述べた。「表彰台に立ったことは、私たちにとって大きな勝利だ。いくつかの問題に見舞われたが、私たちは立ち直り、一時的にリードすることもあった。SPSチームは素晴らしい仕事をし、非常に良いクルマを提供してくれた。表彰台に上がれて最高の気分だ」

 ウインワード・レーシングの81号車メルセデスAMG GT3エボもブロンズカップで表彰台を獲得したが、シュトゥットガルトのブランドは総合トップ10に1台しか入っていない。カスタマーレーシングの責任者であるステファン・ウェンドルは、ブランドが「潜在能力を発揮できなかった」とコメントした。

 ウェンドルは次のように続けた。「予想どおり、今年のスパ24時間は戦略的に大きな挑戦だった。優勝者には『おめでとう』と言いたい。多くのフルコースイエロー(FCY)フェーズが、残念ながら私たちのチームにともっとも不利なタイミングで発生した。しかし、それもこのレースの一部だ。与えられた状況下で私たちは可能な限り最高の準備をしていた。とくに日中のコンディションでは速さがあったと思う。残念ながら、私たちはその潜在能力を充分に発揮して上位争いに加わることができなかった」

 ニュルブルクリンク24時間レースのプロ・アマカップで、ヨーロッパでの24時間レース初優勝を収めた1週間後、HRTフォード・パフォーマンスの2台のフォード・マスタングGT3は、ともに完走できずにレースを終えた。64号車は48号車メルセデスAMG GT3エボ(メルセデスAMG・チーム・マンフィルター)との衝突によってリタイアを喫し、姉妹車の65号車はレース終盤に飛び石でラジエーターに穴が開いた。


■3つの24時間レースすべてで観客増加

 ロマン・ルルーは、彼とマッテオ・ビラゴメス、オリバー・ソーダーソトロームによるシルバーカップでの勝利は、フラッグシップの34号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボがスーパーポールでのクラッシュ後に撤退するという困難な週末の終わりに、ワーケンホルスト・モータースポーツへの「完璧な贈り物」となったと述べた。

 ルルーは次のように語った。「間違いなく、決して楽な一週間ではなかった。プロカーには間違いなく良いペースがあったので、レース開始前にそれを失うのは、いつだって非常に辛い。チームはそこからよく立ち直ったと思う。私たちは集中力を失わずクルマが持っているペースを発揮して、チームにふさわしい結果をもたらした」

 AOレーシングのエンジニアであるチャズ・クレランドは、総合2位でフィニッシュしたルトロニック・ポルシェのレースエンジニアを務めた。IMSAミシュラン・エンデュランスカップのレースでAOのサードドライバーを務めるアレッシオ・ピカリエッロも、両プログラムの共通のつながりだった。

 もうひとりのアメリカを拠点とするベテランのストラテジスト、フライング・リザード・モータースポーツで有名なトーマス・ブラムは、ゴールドカップで勝利を収めたフェルスタッペン・ドットコム・アストンマーティンに加わっていた。

 ベルギー王室のルイーズ王女、ニコラ王子、アイメリック王子が、グリッドを離れるクルマに特別なベルギー国旗を振った2025年のイベントでは、1週間で12万8000人の観客動員が報告された。これは9万9000人だった前年から3万人近く増加している。1週間前のスパ24時間と、2週間前に行われたル・マン24時間レースも、スパと同様に前年以上のファンがサーキットに訪れていた。

 スパではフェラーリが新型GT3カーとなる『296 GT3エボ』を発表したが、ジネッタも最近発表したGT2カーをパドックに展示していた。ジネッタの販売およびマーケティング責任者であるケビン・シンプソンによると、イギリスのメーカーは年末までに6台の製造を目指しており、G56ベースのこのクルマの価格は32万5000ポンド(約6380万円)で、もっとも手頃なGT2カーのひとつになるという。

 ニュルブルクリンク24時間とスパでの2週連続のレースの後、IGTCは数カ月の休止期間に入る。シリーズの次戦第4戦は、9月12日から14日にかけて日本の鈴鹿サーキットで開催される鈴鹿1000kmだ。

[オートスポーツweb 2025年07月02日]

文:AUTOSPORT web
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みんなのコメント

2件
  • そにー製パスタ
    なんでこっちはBoPだなんだって騒がれないのかね。
    GT3だって立派なメーカーとしての威信だろうに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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