ビッグマイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツの新型Eクラスに、サトータケシが試乗した。
1.5リッターでも問題ナシ!
若返った! というのがマイナーチェンジを受け、9月より日本でのデリバリーが始まったメルセデス・ベンツEクラスの第一印象だ。
上下方向に薄くなり、わずかに切れ上がったヘッドランプが精悍な印象を与える。ラジエターグリルは台形になることで、ロー&ワイドな雰囲気が強まった。
Hiromitsu Yasui顔ヨガでリフトアップしたかのようなフロントマスクの変化に目を奪われがちであるけれど、リアビューも変わった。コンビネーションランプが、ボディ外側に向かうにつれて広がる形状になったことで、実際の長さは寸法的には変わっていないのに、よりワイドに見える。
全体に、「走るぜ!」という意思が感じられる姿形になった。
Hiromitsu Yasui試乗したのは1.5リッターの直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載するE200 Sport。「Eクラスのサイズにテンゴのエンジンで走るのか?」という疑問をお持ちになるのはごもっともです。しかしこのクルマは、信号待ちからのゼロ発進でも、気持ちよく加速する。
一般にダウンサイジングしたエンジン、つまり排気量を落として力不足をターボで補ったエンジンは、ゼロ発進からのタイヤの1回転、2回転に物足りなさを感じるものが多い。クリープ状態からの加速に力強さと滑らかさが足りない傾向がある。
Hiromitsu Yasuiけれども、このクルマの場合はそんな不満は感じない。理由は魔法を使っているからではなくて、BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)というメカニズムを搭載しているからだ。
簡単にこのメカニズムを解説すると、エンジンスターターとジェネレーター(発電機)の役割を兼務するモーターが、ベルトを介してクランクシャフトとつながっている。このモーターが発進加速をアシストしてくれるのだ。
Hiromitsu Yasuiエンジンは、ある程度回転数を上げないと力を発揮しない。一方、モーターは電流が流れた瞬間に最大の力を発揮するから、エンジンの苦手な領域をカバーしてくれるのだ。
減速時、今度はモーターがジェネレーターとして働いて発電をおこない、そこで生まれた電力をリチウムイオン電池に蓄える。そしてこの電力を発進時などに使うのだ。ポイントは定格電圧を48Vにしていることだ。かつて一般的だった12Vより出力を高くできるから、エネルギーを蓄えるにしろ使うにしろ、より効率がよくなるのだ。
EV走行はできないものの、コスト抑制と効率向上をバランスさせたハイブリッドシステムである。
ただし、走り出しは滑らかであるものの、パワーの余裕がたっぷりあるわけではない。だから高速道路で追い越すときや、ワインディングロードでちょっとペースをあげようというときには、真面目に、かつ丁寧にアクセルを操作する必要がある。ふんぞり返っていても加速するエンジンとは違う。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiでも、これが楽しい。まず4気筒エンジンがさわやかに回って、3500rpmより上ではちょっといい音が聞こえる。「ヨンパツもキレがあっていいじゃないか」と思わせる、溌剌としたエンジンだ。
あり余るパワーはないけれど、このエンジンと接していると限られた資源を無駄なく使い切っている気がして、清々しい気分になる。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui若返ったのはルックスだけではない
もうひとつ、トルコン式の9ATのがんばりも、好印象につながる。ここで加速がほしい、とアクセルペダルを踏み込むと、ドライバーの意図を察したかのようにギアを落として、エンジン回転をあげる。しかも変速は素早いのにショックがほとんど感じられないから、同乗者に不快な思いをさせる心配はない。
そしてなにより感銘を受けたのが、正確なステアリングだ。ステアリング・ホイールを操作すると、狙った通りにピタリと針路が決まる。とにかく身のこなしが軽くて、ステアリングホイールを握っていると2クラスぐらいコンパクトなモデルに感じる。
Hiromitsu Yasui乗り心地は予想していたしっとり系ではなく、ソールの薄いスニーカーでカツン、カツンと走るようなドライ系。ただしハーシュネス(路面からの突き上げ)自体は押さえられているから、ドライバーは軽快感だけを享受できる。
マイチェン前のEクラスは舗装の荒れた山道などでハーシュネスが強くて、いくらアジリティ重視でもちょっとやりすぎじゃないかと感じていた。けれども新しいモデルは高い敏捷性はそのままに、乗り心地が劇的に改善した。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui1980年代に運転免許を取得した筆者は当時のミディアムクラスの刷り込みが強くて、Eクラスには大人がゆったりと乗るとか温和な実用車であるとかの印象が強く、それがいまも抜けきらない。けれども現行モデルはそういうクルマではない。
サイズはゆったりとしているけれど、敏捷性に富んだ足まわりと、活発なエンジン、そしてしつけの行き届いたトランスミッションの組み合わせによって、若鮎のようにピチピチと走る。一所懸命にアクセルペダルとステアリング・ホイールを操作すると、それにきっちりと応えてくれる清新なドライブフィールが特徴だ。
若返ったのはルックスだけではない。メルセデス・ベンツの新型Eクラスは走りも若々しくて颯爽としたのだ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.)
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