空力性能に優れたEVを求めた結果
バッテリーEVの訴求力を高めるうえで、過去の名車の復活が相次いでいる。それでも、アウディA2の登場は、意外なものといえるだろう。
【画像】走る実験室じゃなくても成功は見える アウディA2 プロトタイプ 競合しそうなEVはコレ 全134枚
オリジナルのA2は、アルミ製スペースフレームを採用し、空力の磨かれたボディが与えられ、優れた居住性と燃費を叶えていた。技術的な水準は高く、売れたモデルとはいえなかったが、今でも高く評価するマニアは少なくない。
アウディはそもそも、回帰的にA2を作ろうと考えたわけではない。Q4 e-トロンより小柄で、空力性能に優れたEVを求めた結果生まれたのだ。フォルムを追求していくと、必然的に1999年のオリジナルへ見た目は近づくらしい。
平面的なフロントから、流れるようにルーフが伸びる。実用性を高めるため、リアは切り落としたように垂直。後方視界を確保するべく、リアガラスは上下に分かれる。
いうなればフォルクスワーゲンID.3のアウディ版
プラットフォームは、フォルクスワーゲン・グループのMEBがベース。最近生産が終了した、アウディA1やQ2の間接的な後継EVという役目も負うため、既存技術の利用で価格を抑える目的があったはず。
駆動用バッテリーは、充電性能に優れるリン酸鉄リチウム(LFP)の58.0kWhで、モーターはAPP350型と呼ばれる新ユニット。低粘度オイルを採用し、回転抵抗を抑えている。79kWhのニッケル・マンガン・コバルト(NMC)ユニットも、計画にはあるはず。
フォルクスワーゲンID.3の、アウディ版と考えられなくもない。実際、全長は約4.3mと予想され、それへ近い。目下の競合は、ボルボEX30やミニ・カントリーマンになる。
カモフラージュされた試乗車には、スポーツ・サスペンションが組まれていた。車高を低くすることで空気抵抗を抑え、電費向上を狙えるからだ。
インテリアの雰囲気はSUVのQ3へ近い?
インテリアは、偽装カバーの隙間から覗いた限り、全体的にブラック基調で最近のアウディへ近い雰囲気。メーター用モニターやステアリングホイール、ステアリングコラムなどは、SUVのQ3へ近いものに見えた。
操作感はソリッドで、製造品質は高そう。物理スイッチは殆どなく、タッチモニターはブラックのフレームが太い。ダッシュボード上部は、肌触りの良いニット調ファブリックで覆われる。往年のアウディのような、高級感はないかもしれないが。
クロス張りのシートは、調整が手動式ながら座り心地に優れる。目線は高めで、運転姿勢も理想的に思えた。後席側の空間は、特に上下方向に余裕がある。荷室容量は不明だが、クプラ・ブランドの兄弟モデルを鑑みると、385Lは得るはず。
ドアハンドルは操作しにくいボタン式で、外側も電子制御で動かないフィン状。細かい部分だが、もっとベーシックなデザインでも良かっただろう。
乗り心地はかなり硬めでも驚くほどの好電費
プロトタイプへ試乗したのは、北欧のデンマークとスウェーデン。穏やかな交通環境は、A2 e-トロンにはピッタリといえた。リアモーター・レイアウトで、ステアリングの感触は良好。適度な重みがあり、素直で滑らかな反応だと感じた。
他方、スポーツ・サスペンションの乗り心地は明らかに硬め。概ね平滑な舗装でも、骨へ響くように鋭い入力を伝える場面があったほど。姿勢制御は安定し、安価なモデルのような粗野な揺れはないとしても、長時間では疲れに繋がるはず。
電費は、高速道路や幹線道路を交えたルートで、8.6km/kWhと驚くべきもの。1充電で、現実的に約480kmは走れそう。活発に運転しても、7.0km/kWhへ届きそうだ。
高効率な運転を、簡単に引き出せる素地も備わる。アクセルとブレーキのペダルは、反応が滑らかで線形的。パドルとシフトセレクターを操ることで、回生ブレーキの調整幅も広く、惰性走行からワンペダルドライブまで選べる。
走る実験室でなくても20年前以上の成功は見える
大きめの走行音を生んでいたタイヤは、ブリヂストン・トランザ。乾燥したアスファルトでのグリップに不満はないものの、記憶の限り、ウェット性能は期待に届かない可能性がある。A2専用コンパウンドだから、性能は異なるかもしれないが。
初代のように走る実験室ではないとしても、アウディ版ID.3と呼ぶ以上の優れた印象を残した、新しいA2。既に、ブランドらしさはしっかり生み出されている。
まとまりの良い容姿と、上質な内装や走行感に加えて、磨かれた空力特性で電費にも優れる様子。量産版を試乗できる日が楽しみだが、20年前のオリジナル以上に、成功を収めるのではないだろうか。熱狂的なマニアを生むかどうかは、別として。
アウディA2 e-トロン 58kWh(プロトタイプ)のスペック
英国価格:3万3000ポンド(約710万円/予想)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:8.0秒(予想)
航続距離:563km
電費:8.8km/kWh(予想)
CO2排出量:−g/km
車両重量:1900kg(予想)
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:58.0kWh
急速充電能力:−kW(DC)
最高出力:190ps
最大トルク:35.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション/後輪駆動
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