ホイールにこびりつく「鉄粉」
走行性能だけでなく、見た目の印象を大きく左右するのが自動車のホイールだ。日常の運転で、気づかないうちに“茶色い汚れ”がこびりついていた経験を持つ人も多いだろう。この汚れの正体は「鉄粉」である。ホイール表面に付着する、サビのような茶色や黒の微細な粒子だ。主な発生源はブレーキシステムにある。
【画像】IQ高い人が選ぶ「自動車メーカー」が判明! 衝撃のランキングを見る!
ブレーキは、金属製のブレーキローターをブレーキパッドで挟み、摩擦によって減速する仕組みだ。その際、パッドやローターの表面がわずかに削れ、鉄の粉が発生する。これが空気中に舞い、ホイールに付着する。
この鉄粉は非常に厄介な存在だ。通常のカーシャンプーでは落としきれない。専用の除去クリーナーを使う必要があるのはなぜか。
本稿では、鉄粉がホイールにこびりつくメカニズム、専用クリーナーの働き、さらに放置することで生じるリスクについて、市場データも交えながら解説する。
「鉄粉」が洗っても落ちにくい理由
鉄粉はブレーキ制動時に飛散する微細な鉄の粒子だ。摩擦によって数百度に達する高温状態で発生する。この熱せられた鉄粉は、ホイールの塗装面に突き刺さるように固着する。さらに空気中の酸素や水分と反応し、酸化が進行する。いわゆるサビの状態になる。
問題は、単なる表面の汚れではないという点だ。鉄粉は熱と衝撃で塗装面に食い込み、化学反応によって酸化鉄となる。この状態になると、通常のカーシャンプーでは太刀打ちできない。
カーシャンプーに含まれる界面活性剤は、本来、油や泥といった汚れを対象としている。酸化鉄のように化学的に安定した物質を分解する能力はない。
そのため、スポンジでこすっても鉄粉はほとんど落ちない。ホイールの鉄粉汚れが通常の洗車で除去できない主な理由がここにある。
専用クリーナーが落とせる理由
通常の洗車では落ちない頑固な鉄粉も、専用の除去クリーナーを使えば、驚くほど簡単に除去できることがある。その理由は、クリーナーに含まれる特殊成分による化学反応にある。
多くの鉄粉除去クリーナーは、「チオグリコール酸アンモニウム」などの還元剤を主成分として配合している。この成分は、ホイールに固着した酸化鉄と化学反応(酸化還元反応)を起こす性質を持つ。
具体的には、酸化鉄を水に溶けやすい「錯体」と呼ばれる状態に変化させる。反応が始まると、クリーナーの液体は赤紫色や紫色に変色する。これは鉄イオンがチオグリコール酸と反応し、特有の色を示すためだ。視覚的に鉄粉が分解・溶解されている様子を確認できる。
この化学反応によって、塗装面に突き刺さり酸化して固着していた鉄粉が溶かされた状態になる。強く擦る必要はなく、水で洗い流すだけで除去が可能になる。物理的な力ではなく、化学的に鉄粉そのものを変質させることが、専用クリーナーの最大の特徴だ。
かつては酸性クリーナーも存在したが、アルミやメッキなどホイールの素材を傷める恐れがあった。人体への刺激も強く、安全面で課題が残っていた。
現在はチオグリコール酸アンモニウムを主成分とする中性タイプの製品が主流となっている。素材への攻撃性が低く、安全性にも配慮された製品が増加。ユーザーは、より安心して鉄粉除去を行えるようになっている。
鉄粉を放置するデメリット
ホイールに付着した鉄粉は、長期間放置すれば深刻なダメージへと発展するリスクがある。鉄粉が塗装面に突き刺さったまま酸化(サビ)が進行すると、塗膜を内側から侵す。初期段階では茶色いシミに見えるが、さらに放置すれば塗装の浮きや剥がれを引き起こす。
とりわけアルミホイールでは注意が必要だ。塗装が剥がれてアルミ素材が露出すると、白サビと呼ばれる腐食が発生しやすくなる。アルミは鉄のように赤サビにはならないが、白く粉を吹いたような腐食が進行する。これにより、ホイールの強度や耐久性が損なわれる可能性がある。一度発生した腐食は除去が困難で、場合によってはホイールの交換が必要になることもある。
美観の劣化も無視できない。ホイールは車両の外観で目立つパーツのひとつだ。鉄粉やサビが目立つ状態では、オーナーの管理意識を疑われかねない。結果として、
「愛車の査定価格」
に悪影響を与えるおそれがある。だからこそ、鉄粉除去専用クリーナーを使った定期的なケアが重要になる。これは外観を美しく保つだけでなく、塗装の保護や素材の腐食防止につながる。長期的に見れば、愛車の資産価値を維持するうえで欠かせない対応といえる。
こうしたホイールケアの重要性は、市場の動向にも表れている。調査会社Verified Market Reportsによれば、ホイールクリーナー市場は2022年時点で15億ドル。2030年には28億ドル(約4040億円)まで拡大すると見込まれている。このデータが示すのは、ホイールケア製品への関心が世界的に高まっているという事実だ。特に、環境配慮型やナノテクノロジーを活用した高機能製品が市場をけん引している。
近年では、中性タイプのクリーナーに加え、鉄粉の発生自体を抑えるブレーキパッドも登場している。市場の拡大と技術革新が重なり、ホイールケアに対するユーザーの意識は確実に高まっている。
愛車の足元を美しく保ち、ホイールそのものの寿命を延ばすためにも、鉄粉の付着状況を定期的に確認することが求められる。手遅れになる前に、専用クリーナーを使った適切なケアを実践すべきである。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「免停の女」が駐車場で事故して逃走… 「場内は運転したらダメなの?」衝撃発言も! 「免許与えるな」「2度と運転しないで」の声も! ネット騒然の“事件”一体何があった?
「そっちの路線は要らない」国に買ってもらえず12年で廃止された「電気鉄道」とは? 今も残る痕跡
渋滞しているのに「謎の車間距離を開けるクルマ」が前に…。なぜ適切な距離を保てないのでしょうか?
日産の「1リッターで“33km”走る」スポーツカー! 美しすぎる「“2ドア”クーペ」にパワフルな「ターボエンジン」搭載! 日産流の「超・低燃費マシン」全長3.7mの“サイパクトコンセプト”が斬新カッコイイ!
都心「巨大再開発」もういらない? 新宿駅南口プロジェクト「工期未定」の大波紋――建設費1.4倍が示す“都市開発モデル”の限界
ホンダ新型「フィット」まもなく登場!? 3年ぶり顔面刷新で「斬新顔」に? 細スギ「ヘッドライト」がカッコイイ「新モデル」に登場に期待
「免停の女」が駐車場で事故して逃走… 「場内は運転したらダメなの?」衝撃発言も! 「免許与えるな」「2度と運転しないで」の声も! ネット騒然の“事件”一体何があった?
渋滞しているのに「謎の車間距離を開けるクルマ」が前に…。なぜ適切な距離を保てないのでしょうか?
日本にはタイヤメーカーが4社もあるのに…ドイツには1社しかないワケ【Key’s note】
「電車が止まるストライキ」はなぜ消えたのか? 「20万人が線路を歩いた日」から半世紀──今や全面運休すらないその理由とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
記事とは無縁の錆びたスチールホイルじゃないか