目指すは地平線の彼方
絶対的なパワーを愛するなら、ハイパーカーしかない。ハイパフォーマンス・アートの頂点に立つエキゾチックで高価で爆発的に速いハイパーカーたちは、お金に糸目をつけない最先端のエンジニアリングによって、究極のスリルをドライバーに提供する。
【画像】パフォーマンスの飽くなき追求【ヴァルキリー、バッティスタ、エヴァイヤなど上位5車種を写真で見る】 全116枚
パフォーマンスカーの頂点に位置するハイパーカーの起源は、比較的新しい。ランボルギーニ・ミウラが60年代の最初のスーパーカーだとすれば、ハイパーカーの典型は間違いなく2005年のブガッティ・ヴェイロンであり、16気筒、4基のターボ、最高速度400km/hで新たな次元へ踏み込んだのだ。
ブガッティがセンセーショナルなデビューを飾ってから20年、ハイパーカーの数はヴェイロン並みのスピードで増えてきた。さらに、これらのマシンが最先端のスピード商人であることは、エンジニアリングに関しても妥協なき集団であることを意味する。純粋なガソリン車から、パワフルなPHEV、高エネルギーのバッテリーEVまで、さまざまな原動力を使って、可能な限り地平線に近づこうとしているのである。
今回は、パフォーマンスの限界に挑んだ最高のハイパーカーを10台紹介したい。そのどれもが、自動車史の殿堂に名を刻むべくスピード記録を塗り替えるようとする、スリル満点のハイ・オクタンな乗り物だ。
1. アストン マーティン・ヴァルキリー
アストン マーティン・ヴァルキリーのデザイン哲学については、「妥協がない」と表現するのがぴったりだ。レッドブルF1のテクニカル・ディレクターであり、エアロダイナミクスの天才であるエイドリアン・ニューウェイ氏が考案した驚異的な英国車で、究極のパフォーマンスを実現するために作られた。目標はラップタイムを塗り替えること以外の何物でもない。
ナンバープレート、ヘッドランプ、インジケーター(ウィンカー)をしっかり装着しているが、その実は純粋無垢なレーサーであり、たまたま車検を通すことができただけなのだ。軽量なカーボン製チューブは強度を重視して設計され、膝の高さしかないボディの表面は風洞データを基に彫刻され、アクティブ・エアロダイナミクスを備えている。
サスペンションも同様で、走行中に空力やコーナリングの負荷が加わっても、車高を一定に保とうとする。しかし、間違いなく一番のハイライトは自然吸気(ただし、マイルドハイブリッド)の6.5L V12エンジンで、回転数は1万1000rpmに達し、1155psの強烈なパンチで0-100km/h加速2.5秒、最高速度350km/hを達成する。
インテリアには必要最低限のものしか与えられておらず、2シーターにもかかわらずドライバーが入るスペースはギリギリだ。また、コスワース製V12が発する耳をつんざくような咆哮を防ぐには、ノイズキャンセリングヘッドフォンが必要である。
サーキットでこれほど速く走れるクルマはそうそうない。確かにアクティブサスペンションは重要なフィードバックを削ぎ落とし、標準装備のミシュラン・タイヤはヴァルキリーが発生させる驚異的な力に対応しきれていないが、直感的な自動車体験として、これに近いものはほとんどない。
2. ピニンファリーナ・バッティスタ
1900psの最高出力を誇るピニンファリーナ・バッティスタにとっては、カーボンを多用しながら2200kg近くなった車重も問題になることはないだろう。リマック・ネヴァーラと基本構造を共有するバッティスタは、内燃エンジンが廃止される未来を見据えた、新世代の高性能EVの先駆けである。0-100km/hは2秒以下、0-300km/h加速わずか12秒という加速は、試乗したマット・プライヤー記者が少年のように笑い声を上げたほどだ。
しかし、バッティスタでは、この爆発的なスピードと、ドライバーとの真の対話を融合させている。最大1222psを2基のリアモーター(フロントにはもう1基)で発生させるため、サーキットではスロットル調整が非常にしやすく、あらゆる角度からコーナーを抜けることができる。一般道では、ピニンファリーナのブランドである「GT」の名に恥じない、余裕あるパフォーマンスと500kmという航続距離、そしてアダプティブダンパーによるコントロールされた乗り心地を実現している。
カーボンファイバー製の構造により、サスペンションが発する「カタッ」という音や「ドスン」という音が多く、少々うるさいのが気になる。しかし、全体的に見れば、不思議なほど魅力的なデバイスであることがわかる。しかし、200万ポンド(約3億200万円)前後という価格からすると、むしろそうであるべきなのだろう。
3. ロータス・エヴァイヤ
ハイパフォーマンスカーというものが、これからどこへ向かおうとしているのか。今回2台のEVを取り上げたことからも、その風向きは明らかであろう。AUTOCAR英国編集部は、高回転で騒々しい、速くてドラマチックな内燃エンジン車を心から愛しているが、瞬間的に激しくトルクを発生させる電動車の魅力も否定できない。ロータス・エヴァイヤでは、その美点がはっきりと描かれている。
今のところ、マイク・ダフ記者が英ノーフォーク州ヘテルにあるロータスのテストコースで、量産前プロトタイプに乗っただけだが、ファースト・インプレッションは有望だった。EVであろうとなかろうと、このクルマの性能数値は偶然の産物ではない。70kWhのバッテリーと4基の電気モーターを搭載し、車重は約1700kg。ピーク時には約2000psを発揮し、ピレリPゼロ・トロフェオRタイヤを履くと、0-300km/h加速をわずか9秒で達成すると謳われている(ブガッティ・シロンより4秒以上速い)。
テストコースにおけるプロトタイプ試乗では、低速からの発進はあまり印象的ではなかったものの、3桁を超えるスピードでは容赦なく加速し、四輪駆動でありながらロータスらしいバランスと落ち着きを感じさせるハンドリングを実現していた。量産車に期待が持てる兆候である。
4. ブガッティ・シロン
フォルクスワーゲン・グループのトップブランドであるブガッティは、2005年に世界最速の市販車を世に送り出し、歴史にその名を刻んだ。W16エンジン、最高出力1000ps、四輪駆動のヴェイロンは、400km/hの壁を突破したのだ。しかし、究極のパフォーマンスカーとして永遠に評価されることはなかった。2016年、シロンが登場したのである。
ヴェイロンがアルミニウムのスペースフレーム構造を採用していたのに対し、シロンはもっと軽量なカーボンファイバー製モノコックを採用している。ヴェイロンは最終形態で1200psの出力にとどまったものの、シロンでは1500ps近くまで向上した。そして、ヴェイロンの最高速度記録431km/hを乗り越え、1600psのスーパースポーツ仕様で市販車の速度記録を480km/h以上に引き上げ、現在は490km/hに達している。
記録的なスピードを簡単に達成できるハイパーカーを望むのなら、シロンがおすすめだ。ブガッティの16気筒エンジンは、確かにターボラグがあり、甘美な響きもなく、クルマというよりはホバークラフトや特急列車のそれに近い。しかし、いざ加速が始まると、まったく謙虚さのないものであった。
乗り心地は硬く、ハンドリングはほんの少し物足りないかもしれない。しかし、自動車史に名を残すような信じられないスピードを味わえるというのは、この上ない体験である。
5. マクラーレン・セナ
マクラーレンが、世界で最も尊敬され、悲劇的な運命をたどったF1ドライバーの名前を、最新の「アルティメット・シリーズ」のモデルアイデンティティとして採用したとき、モータースポーツ界と自動車業界は一斉に息をのんだ。アイルトン・セナという伝説のレーシングドライバーの名を冠し、それを新車販売という企業活動に利用することは、果たして良いことなのだろうか? 彼の名は、本当にマクラーレンが使うべきものだったのだろうか?
そのネーミングや機能優先のデザインについては、さまざまな意見があることは十分承知している。しかし、このセナというクルマに乗れば、その考え方が変わるかもしれないのだ。最も速く、最も先進的で、最もエキサイティングで、最も理に適った公道走行可能なサーキットカーを、マクラーレンが作り上げることができたのだから。
セナは、まさに驚異的なサーキット走行を可能にするクルマである。パワーにおいてこれに勝るクルマは少なくないが、2018年にテストを行った際には、ドライハンドリング・サーキットのラップレコードを1秒半も更新するほど驚異的なグリップ力を備えていた。ピーク時には約800kgのダウンフォースを発生し、最高出力800psのV8が唸るこのクルマは、サーキットですら神経をすり減らし、一般道ではほとんど運転できないだろうと予想される。しかし、事実はそのどちらでもない。
プロトタイプ・レーサー並みのスピードを出すと、フィードバック、安定性、ドライバビリティに包み込まれる。運転するのは肉体的な試練だが、精神的には忘れられない最高のご褒美になる。同価格帯の多くのハイパーカーに比べれば、使い勝手の良さは劣るものの、サーキットを素早く回るという任務に対するその献身的な姿勢は、まったくもって魅力的なものだ。
6. フェラーリ・ラ・フェラーリ
フェラーリの最高級ハイパーカーは、パフォーマンスカーが到達した最高にセンセーショナルなピークに他ならない。背筋が凍るような最高出力800psの自然吸気6.3L V12エンジンを搭載し、163psの電力がリアホイールに直接供給されるパワートレインは、合計963psという信じられないパワーを発揮する。フェラーリは、0-100kmm/h加速2.4秒、0-300km/h加速を15秒としている。
しかし、その圧倒的なパフォーマンスと気の遠くなるほど複雑な機構にもかかわらず、驚くほど穏やかで、限界を超えたハンドリング・マナーを備えているため、サーキットでの運転は想像以上に親しみやすく、エキサイティングだ。
価格は1台あたり100万ポンド(約160億円)以上。500台の限定生産で、2015年に最後の1台が完成し、今のところレース仕様のFXX Kとコンバーチブルのアペルタだけが継承している。ラ・フェラーリは、フェラーリが唯一無二の存在であることを示す記念碑であり、今でも世界のハイパーカーの旗手として君臨している。
7. マクラーレンP1
マクラーレン初のアルティメット・シリーズは、世界的名声を築いた伝説の名車F1の足跡をたどる必要があった。しかし、マクラーレンはF1の模倣品を作る誘惑に負けず、最高出力915psのハイブリッドパワートレイン、2シーター、最先端のサスペンション技術、軽量構造、競技用レベルのエアロダイナミクスを備え、想像以上に速く、最も刺激的なパフォーマンスカーとして、前例のないスリルを提供するP1を完成させた。
P1がもたらす特別なスリルは、信じられないほどの速さときっぱりとしたスタンス、そしてレーシングドライバーだけが体験できるレベルの挑戦と報酬をドライバーに与えてくれる。一般道では、マクラーレンのイメージほどではないが、驚くほどおとなしく、運転しやすい。技術面においてこれほどまでに先進的で、容赦なく効果的で、絶妙なスタンスを持ったパフォーマンスカーは、世界中のどこを探しても見つからないだろう。
8. ポルシェ918スパイダー
フェラーリやマクラーレンといったライバルよりも重く強力な電気モーターと、大容量のバッテリーを搭載したポルシェ918スパイダーは、21世紀のゼロ・エミッション技術をライバルよりも活用し、ドライバーズカーとしての魅力はどちらも及ばないほど奥深いものとなっている。
電気だけで約24km走行することができ、自宅での充電も可能だ。ポルシェのスーパーカーらしく、718ボクスターより運転は難しいうえ、しかもコンバーチブルである。しかし、モータースポーツから派生したV8エンジンは9000rpm近くまで回転し、生き生きとしたエキサイティングな走りを披露する。さらに四輪駆動、120kg-mを超えるトルクで、静止状態からの発進加速が実に凶暴である。
918スパイダーは重量級でありながら、サーキットでは非常に速い。ドライハンドリング・サーキットの元ラップレコード保持車であり、マクラーレンP1の地位を揺るがす存在なのだ。
ラ・フェラーリのように息を呑むような要素はないし、P1のようにル・マン予選に参加したような気分にさせるものもないが、それでも918の存在自体が特別な功績だ。
9. パガーニ・ウアイラ
パガーニは、かつてローマ司教の祝福を受けた革製のドライビング・アクセサリーを提供していたほど、希少でエキゾチックな自動車メーカーである。
その現行モデルは2012年に発表されたウアイラで、当時はロードカーでありながら最高出力730psと最大トルク102kg-mの後輪駆動車というのが耳目を集めたようだ。
メルセデスAMG製の6.0L V12ツインターボを搭載したウアイラは、昔ながらのドライバーズカーであり、ハンドリングには敬意を払い、スタビリティ支援を解除すればあらゆる集中力をすべて要求されるという、肉体的に厳しいクルマである。しかし、ドライバーとのコミュニケーション能力に優れ、誠実で、どのような速度で走っても酔いしれてしまうほど、豊かで没入感がある、特別なものだ。
万が一、標準車で十分な爽快感が得られず、路上での使用も考えていないのであれば、ウアイラRがある。重いツインターボを取り除き、850psの自然吸気6.0L V12を積んだウアイラRは、本格的なサーキット専用仕様だ。
10. ゼンヴォTSR-S
そのワイルドなルックスと1193psという驚異的なパワーで、ゼンヴォTSR-Sは真のハイパーカーと呼ぶにふさわしい素性を備えている。一方で、実にユニークな「傾斜リアウイング」が話題を呼んでいる。コーナリング時に左右どちらかが持ち上がり、空力によってボディロールを抑え、グリップを高める効果があるのだ。
ツインスーパーチャージャー付き5.8L V8を搭載し、0-200km/h加速を6.8秒(マクラーレン・セナと同程度)で駆け抜けるなど、デンマーク生まれのTSR-Sはかなり刺激的である。また、モータースポーツスタイルの7速シーケンシャル・トランスミッションを搭載し、ストレートカットギア(動力伝達のロスを減らすために歯を斜めではなく直線状にカットしたもの)を介して後輪を駆動するため、パワーロスの低減には有効だが、洗練性には劣る。
編集部はゼンヴォをサーキットで走らせたことがあり、その速さは折り紙付きだが、性能を最大限に引き出すには努力と慣れが必要で、ステアリングの動きが鈍いのが気になった。しかし、リアウィングの助けを借りて、大きなコーナリングスピードを生み出すことができ、グリップ限界でも驚くほどフレンドリーかつ親しみやすいフィーリングを得ることができる。その反面、非常に騒々しい運転体験でもあり、インテリアは美しく仕上げられているものの、長距離移動では深刻な腰痛に悩まされることになりそうな予感がする。
そして、100万ポンド(約1億6000万円)をはるかに超える価格も、ゼネラルモーターズのエンジンを搭載したほぼ無名のブランドとしては、かなり高額な部類に入る。しかし、毎年5台しか生産されないため、その希少性は確かであり、品質、性能、そして人目を引くスタイルはまさにハイパーカーそのものである。
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