この記事をまとめると
■2007年に登場したR35GT-Rが2025年8月で生産終了へ
イジるの厳禁! サーキット走行もNG! R35GT-R発売直後の「厳しすぎた制約」とは
■18年のモデルライフで常に進化を続けた
■欧州勢と並ぶブランド価値を築いた日本を代表する孤高のスーパーカーである
日産GT-Rがいよいよその歴史に幕を下ろす
まもなく生産終了の日産R35型GT-R。18年におよぶ長い歴史を駆け足で紹介したい!
2025年8月に生産終了することが日産自動車からアナウンス!
2007年12月にスタートし、日本を代表するスーパースポーツとして世界の名だたるパフォーマンスモデルの向こうを張っていたR35型日産GT-R。その歴史も2025年8月で幕を閉じる。今回は延べ18年間におよぶ「KING OF SPORTS CAR」のヒストリーを駆け足で振り返る。
カルロス・ゴーン元社長の直轄で2003年12月に開発開始
2001年10月の東京モーターショーに、前触れもなく突如姿を現した「GT-Rコンセプト」。左ハンドルの2ドアクーペ風フォルムは、これまでのスカイラインの1グレードから脱却し、新たなGT-R伝説の幕開けを感じさせた。
本格的に開発に着手したのは2003年12月。目指すは「誰でもどこでも速いマルチスーパーカー」で、当時のカルロス・ゴーン社長直属のプロジェクトとしてカリスマ・エンジニアである水野和敏氏がタクトを振るい、開発も従来の部門制ではなく、各部門から精鋭を集めたチーム制とするなど、すべてのプロセスがこれまでの常識を覆すものであった。2005年には「GT-Rプロト」を公開。新生GT-Rのプロジェクトは時間をかけて進められた。
そして、2007年10月24日、満を持して東京モーターショーに姿を現した量産型は、「日産GT-R」として姿を現す。スカイラインの名を捨て専用設計されたボディのボンネットの下には、匠と呼ばれる職人の手により組み上げられた3.8リッターV6ツインターボのVR38DETTを搭載。そのスペックは480馬力/60kg-mを誇り、0-100km/h加速は3.6秒の俊足だった。
6速DCT(GR6)のミッション、トランスファーは前後の重量配分を最適化するためにリヤに置く世界初の独立型トランスアクスル方式を採用し、トルクスプリット四駆は電子制御式となった「ATTESA E-TS」へと進化している。この専用設計のプレミアム・ミッドシップ・プラットフォームは、高剛性シャシーと相まって、「量産車の枠を超えた」高次元の走行性能を実現した。
世界の量産スーパーカーに匹敵する性能をもちながらも、価格は777万円~とまさにバーゲンプライス。2007年12月6日に発売が始まると予約が殺到し、日本では発売前に3000台以上の注文があった。2008年7月には北米で、2009年3月では欧州で販売がスタート。グローバルで正式発表されたGT-Rとなった。
デビュー後も毎年進化を続けた
日本車としては数少ないモデルイヤー制を採用し鍛え上げた
また、R35はモデルイヤー制を採用し、欧州スポーツカーのように絶え間なく進化を続けることを水野氏が宣言。その証明として、毎年ニュルブルクリンク北コースでタイムアタックを実施。デビュー直前に記録した7分38秒54は当時の911ターボ(997型)を凌駕するものであったことから、このタイムにポルシェサイドが反応。物議を醸したことでGT-Rの存在が世界に広く知れ渡ることになる。2009年モデルでは出力を485馬力へと微増し、ミッショントルク管理やローンチコントロールの制御ソフト面で刷新。シャシーとサスペンションのチューニングにも手が入れられた。
2010年秋、初のマイナーチェンジモデルとして登場した2011年モデルは、開発責任者の水野氏がR35の新車発表時に「GT-Rの本当の姿は3年後に見せる」と語ったとおり、エンジンだけでなく、シャシーやトランスミッション、空力性能、インテリアに至るまでプレミアムスポーツカーとしてトータルでメスが入れられた。とくに心臓部は内部の精度向上、インレットの新設計、燃焼効率の見直しなどで性能が530馬力まで飛躍。日常域のコンフォート性や燃費性能を高めながら、ニュルのタイムを7分24秒台まで短縮するなど、マルチパフォーマンス性をさらに底上げした。
続く2012年モデルでは、エンジン出力はさらに高められ550馬力へ。足まわりには左右非対称セッティングという新たな試みが採用され、コーナーリング時の安定感や滑らかなステアリング特性などの向上を果たした。加速の安定性やトルク特性も改善されている。2013年モデルでは、ロールセンターを下げるとともにサスペンションや駆動系の見直しを図るなど、さらに熟成は進められた。
2013年の大改革。1台ですべてを満たすクルマから、目指すべき方向性に合わせた開発に分離
2013年は、統括責任者が水野和敏氏からR34GT-Rの開発、GT-Rコンセプトの製作にも関与した田村宏志氏へと変わる。これにともない開発プロセスもチーム制から従来の部門制へと変わり、GT-Rの性格も、1台で一般道からサーキットまでこなすオールインワンなこれまでの作りから、速さを追求し、サーキットで楽しみたいユーザーにはNISMO、ストリートにおける快適性を考慮しつつ、欧州のプレミアムスポーツと対峙する質にウエイトを置いた基準車と明確に仕様がわけられるなど、まさに日産GT-R史において変革というべき出来事だった。
ちなみに2014年2月、正式に販売を開始したGT-R NISMOはIHI製大型ターボを装備することで600馬力まで出力を向上。スーパーGTのノウハウが活かされた専用エアロパーツを装着するなど、ひと目で高性能車というビジュアルを得たことで人気が出た。また、NISMOによるニュル北コースのタイムアタックを実施。Nアタックパッケージと呼ばれる専用オプションを装着したGT-R NISMOは、当時として量産車最速となる7分08秒679を記録し、新たな金字塔を打ち立てた。
最高出力は480馬力から600馬力まで大幅にアップ。熟成により速くて扱いやすいマシンに
2016年に登場した2017年モデルはR35.5というべき大幅なマイナーチェンジを実施した。当時の日産共通デザインであるVモーショングリルを採用。空力性能をさらに磨き上げたエクステリア、制御を見直すことで570馬力まで向上したエンジン、ボディ補強など、変更は多岐におよんだが、とくにインテリアは運転席に座るとフルモデルチェンジしたのかと思うほどの変化。現代風のデザインへと刷新されたことで、「プレミアムGTカーとしての格を高めた。そのほかトータルで熟成が図られたことで、世界基準のスポーツカーへと返り咲くことに成功している。
2020年モデルではGT-R NISMOに手が入れられた。ボディはこれまで前後バンパー、リヤスポイラー、サイドシルカバー、アンダーカバーのみだったカーボンパーツが、フェンダー・ルーフなどにも採用し、ボンネット、ルーフ、フロントフェンダーにまで拡大。さらにカーボンセラミックブレーキを標準採用することでバネ下重量を低減することで、高い運動性能と安定したブレーキ性能を担保。まさに公道のレーシングカーというべき存在に昇華した。
2022年年末にはR33の伝説カラー「ミッドナイトパープル」とR34の最終限定車Nürに採用された「ミレニアムジェイド」を纏ったT-Specが数量限定で登場。100台の枠(最終的に120台まで拡大)であったが、抽選の倍率が40倍にも及んだこのモデルには、NISMOに採用されたボンディングボディやカーボンブレーキなどの特別アイテムを装備。トータルバランスが磨かれ、洗練された乗り味が好評を博した。
NISMOには精度を合わせた部品を選定して組み上げたファインチューンエンジンを搭載する「スペシャルエディション」を設定。専用色のステルスグレーとともに人気を博した。
モデル末期まで進化しつづけた
日産開発陣の執念で規制をクリアし、R35GT-Rは最後まで進化の手を緩めなかった
2022年モデルで終了と噂されたGT-Rであったが、2023年1月の東京オートサロンに2024年モデルを発表。最大のトピックはジェット機エンジンの技術を用いた新構造のマフラーの採用。これにより当時の社外騒音規制をクリアしたことで、継続生産を可能とした。加えて前後バンパー、リヤスポイラーを変更。最新フェイスリフトにより、ダウンフォースを最大13%向上。空力性能を大幅に強化した。さらにNISMOには扱いやすさも加味したメカニカルLSD付きフロントデフが導入され、トラクション性能と旋回性能を進化させるなど、ドライビングプレジャーの追求は最後まで続けられた。
また、18年間で数多くのグレード、限定車も用意された。いくつか例を挙げると、サーキットを含むスポーツ走行を楽しむために用意され、国産車初のカーボンブレーキ装着車となった「スペックV」、サーキット専用車両の「クラブトラックエディション」、オーダーメイドのようなインテリアを楽しめた「エゴイスト」、スペックVに変わるスポーツ走行好きのユーザー向けの「トラックパック」や「トラックエディションエンジニアードbyNISMO」などをリリース。多様化するオーナーの要望に対応したモデルを設定した。
限定車は、開発責任者が田村氏に変わった2013年以降にも登場。前述した「T-spec(限定は2022年のみ)」のほかに、100台限定で登場した「スペシャルエディション」を皮切りに、R34のシリカブレスを採用した「45thアニバーサリー」、3色のカラーと3色の内装が選択できた「大坂なおみ選手日産アンバサダー就任記念モデル」、50周年を記念した「50thアニバーサリー」などが登場。GT-Rの歴史に華を添えている。
R34型のような最終限定車はなしだが、ブランド価値を欧州スポーツに近づけたのが一番の功績
最終型となった2025年モデルは、プレミアムエディションのファッショナブルインテリアに新色のブルーヘブンの追加と、T-specにNISMO スペシャルエディションと同じ、高精度重量バランス部品を組み込んだファインチューンエンジンを搭載したのみ。R34型GT-RのNürのような最終限定車は用意されることはなかったのは残念だ。
2007年から2025年に至る18年間、R35GT-Rは一度もフルモデルチェンジせずに存続した。その理由はさまざまあるが、継続的な熟成と改良により、すべての粒が揃い、このパッケージでは完成形と呼ぶにふさわしい領域まで磨き上げられ、昇華した。R35GT-Rの一番の功績は欧州の歴史あるスポーツカーとブランド価値を近づけたことにある。つまり、R35はひとつの時代を象徴するスポーツカーになったのだ。
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