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未知なる戦場へ。トヨタの中嶋一貴&小林可夢偉が語る“不安要素”/WEC第2戦直前インタビュー

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未知なる戦場へ。トヨタの中嶋一貴&小林可夢偉が語る“不安要素”/WEC第2戦直前インタビュー

 6月13日に決勝レースが行なわれるWEC世界耐久選手権第2戦ポルティマオ8時間レース。現地時間の11日午前、FP1の走行開始を午後に控えたトヨタGAZOO Racingの中嶋一貴と小林可夢偉が、ポルトガル・ポルティマオにあるアルガルベ国際サーキットからリモート形式で日本メディアの質問に答え、レースへの抱負などを語った。

 まずは取材の冒頭、8号車GR010ハイブリッドをドライブする一貴が第2戦のレースへ向けた意気込みを語った。

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「開幕戦のスパでは、8号車はハイパーカー初優勝を遂げることができましたが、チームとしてはいろいろと課題の残るレースでもありました」と一貴。

「その後テストもあり、チームとしてクルマやオペレーションなど、見直せる部分は見直して今回のレースに臨んでいるので、前回以上にいいレースをしたい。8時間という長いレースとなりますが、最後までしっかりとミスなく、出すべき結果を出し、優勝目指して頑張っていきたいと思います」

 続いて7号車陣営の可夢偉は、「スパでは残念ながらトップを走っていたのですが、走行経験不足からブレーキに問題を抱え、グラベルにはまって3位になってしまいました」と開幕戦を振り返るところから語り始めた。

「速さ自体は見せられたのですが、まだまだ生まれたてのくるまでレースをしているということを、改めて認識させてもらった。ここではそれを踏まえて練習走行からクルマ作りをしていき、最終的にはしっかり1位で帰ってこられるようにしたいです」

 可夢偉が今回のポイントのひとつとして挙げるのが、「暑さ」だ。走行前日の木曜日は気温が30度、路面温度は50度近くまで上がっていたという。予報では土日の気温は多少落ち着く方向のようだが、スパでは寒い時の気温が1桁だったことを考えれば、開幕戦とはまったく異なる路気温での戦いとなることは間違いない。

「このクルマが暑いところでどう機能するのかというのも含めて、しっかりと(セットアップを)やっていきたいと思います」と可夢偉は語る。

 なお、コクピット内の環境について一貴は「GR010では暑いコンディションをまだ走っていないので何とも言えませんが、クーリングという部分ではTS050のときよりもだいぶドライバーには“優しく”なっていると思うので、暑さは(ドライバー的には)問題ないんじゃないかと期待しています」という。

 ただ、暑ければタイヤには厳しくなることが予想される。とりわけハイパーカークラスのライバルや、LMP2に比べて車重が重いGR010ハイブリッドにとっては、暑いコンディションのなかタイヤをWスティントもたせるよう走ることが、大きな課題となりそうだ。

「車重が重いので、温度が高ければ僕らの方がタイヤ的には厳しい部分があると思う」と可夢偉。

「今回、僕らはBoP(性能調整)でクルマが重くなってパワーも落とされているんですけど、LMP2はパフォーマンス的には変わっていないので、僕らが安パイかというと、まったくそうではない、というのが正直なところです」
■気になるグリッケンハウスと、BoPの“真意”

 第2戦はハイパーカークラスのライバル、グリッケンハウス007 LMHのデビューレースともなる。走行前の取材機会ゆえ、「パフォーマンスは正直走ってみないと分からない」(一貴)状況ではあるが、同じ規定で参入するライバルを一貴は歓迎しているという。

「同じルールで一緒に走るライバルが増えるというのは、僕らにとっては歓迎したいことですし、レースを見ている方にとってもどれくらい彼らが走るのか、楽しみな部分だと思うので、僕らがどうこうというより、見ている人が少しでも楽しんでもらえる展開になればいいなと思います」と一貴。

「ライバルが増えるのはもちろん大変ではありますが、その中でできる限りの力を出して優勝できるようにするのが僕らの仕事だと思います」

 グリッケンハウスについて可夢偉は「まだクルマを見てないんですよ。だから何とも言えないんですが」と前置きし、次のように語った。

「今回のレース直前に出たBoPを見ると、正直『そんなにパフォーマンスが出てないから、こちらが付き合わされたのかな』とも感じるところなのですが、そこは練習走行を走ってから。(最終的には)1レース終わってみないと、分からないですよね」

 なお、WEC初開催となるポルティマオだが、TS050ハイブリッド時代にふたりともテストで走行した経験がある。GR010ハイブリッドのテストは昨年12月に行なわれたが、ふたりは国内レース参戦のため参加できていなかった。

「ここは何度かTSの時にテストでは来ていますが、その時とは路面の状況が(アスファルトが張り替えられているので)全然違うのではないかと思います」と一貴は言う。

「(GR010の)テストも冬だったので、路面のスムーズさとあいまって、あまりタイヤのデグラデーションが無かったという話を聞いていますが、今回は路温がまったく違う状況になるので、その時のことはあまりアテにならないかなと。これからトラックウォークなので、路面の状況を含めて、チェックしようと思います」

 可夢偉は「このコースは結構バンプが激しかったので、そういうところで(張り替えられてスムーズになっていれば)クルマの信頼性という部分ではちょっと助かるかなと思います」と語る。さらに、コースレイアウトの影響ついて、次のように述べた。

「残念ながらLMP2とのタイム差が少なく、僕らの方が車重が重いので、LMP2の方がコーナリングは速いところがある。直線が少なくてコーナリングが多いサーキットだと、どこでLMP2を抜けるのか走ってみないと分からない。不安要素はそのあたりかな」

 これについては一貴も「ほとんど同じ意見です」とし、次のように付け加える。

「トラフィックをどこでどう抜いていくのかっていうのは、テストでも経験がない部分ですし、GR010になって今までとは違うところもあるので、そこの難しさが一番大きな問題になるのかなと思っています」

「多少、(ポルティマオでの他カテゴリーの)過去のレース映像とかは見ていますけど、参考程度だと思うので、フリープラクティスを走っていくなかで少しでもいろいろな状況を経験し、レースに向けて活かしていくしかないかなと思います」

 気温、タイヤ、コース特性、そして新たなライバルの存在など、未知なる要素が多い第2戦ポルティマオ。長丁場のレースは、多数のファクターが絡み合う、見どころ満載の戦いとなりそうだ。

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