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なぜトヨタ「GR86」を元ロータリー使いが購入? 輸入車ディーラーマンが国産車にこだわる理由とは

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なぜトヨタ「GR86」を元ロータリー使いが購入? 輸入車ディーラーマンが国産車にこだわる理由とは

輸入車のプロが送る国産スポーツカーライフ

 長年、正規輸入車ディーラーに勤め、現在はサービスフロントを担当しているAさんは、2021年10月に1度も試乗することなく「GR86」の購入を決断し、2022年2月に納車された。これまでスポーツカーを中心に数々の愛車を所有してきたがAさんだが、なぜGR86(RZ・6速MT)を購入したのかをうかがった。

「2000万円出すと言われてもこれだけは手放さない」! オーナーが語る「AE86に惚れ込んだ理由」

 まずAさんがGR86の前に所有していたクルマはマツダ「RX-8」であった。グレードはタイプS(6速MT車)で、2003年4月の発売直後に即購入。マツダスピードのフルエアロこそ組んではいたが、それ以外はほぼノーマル。それから17年、走行距離12万kmを相棒として付き合ってきた。その間、何度か買い替えを検討するも、結局欲しいクルマが見つからず。驚くことにエンジンを1度もオーバーホールすることなく、17年間乗り続けた。

次なる愛車にGR86を見初めた理由とは

 そんななかでGR86を購入した理由は、「(RX-8の車検に)50~60万円かければ乗り続けることができますが、それだけのコストをかけても次の車検でもっとお金がかかるかもしれないと思い、家族と話し合いながら今後のコスパも考えてGR86の新車購入に落ち着きました」

 もちろんほかの車種も検討したが、デザインが気に入らなかったり、走りが納得できず……と迷っていたなかで、GR86の新車発表があった。早速、2021年10月にオーダーを入れて2022年2月末の納車となったのは前述のとおりだ。納車からすでに4カ月経つが、通勤で使用しながらも現在の走行距離は2500km程度。そのため、性能を満喫できたわけではないが、非常に満足しているという。

レシプロに浮気するもその後はロータリーライフを堪能

 Aさんの愛車履歴を振り返ると、アウトビアンキ「A112アバルト」から始まり、その後AE86型「スプリンタートレノ(後期型)」に出会い、走りの楽しさを追求。サスペンションやLSDなどのチューニングを施し、さらにモアパワーを求めてFC3S型「RX-7」のGT-Xに買い替える。このFC3Sには、300万円を超えるチューニング費用をつぎ込み、強化クラッチやタービン、インタークーラーやバケットシートなど、自分好みのカスタムを追求。公認車検も取得して愛車との蜜月時代を送っていた。つまりAさんは走り屋だったのだ。

  そんな折、結婚を機に奥さんが「サイバーCR-X」のMT車を所有していたことから、FC3Sから「アコードワゴン」に買い替え。その後、2台持ちから1台に減車するためにBG5型「レガシィツーリングワゴンGT-B」に乗り替えた。奥さまもMT車に慣れ親しんでいたことから、5速MT車を購入する。

 しかし4WDを必要としてなかったことから、2.2L DOHC VTEC搭載の「アコードワゴンSiR」に買い替えるも、ターボ車のパワーを知ってしまった身体では満足できず……。結局ターボのMT車が欲しくなりFD3S型RX-7の4型を購入し、ロータリーに回帰する。ちなみにアルミホイールとECU以外はほぼノーマルのまま、7年間をともに過ごしたそうだ。そんなAさんにとって、クルマの絶対条件はMTのFR車だったわけで、幸い家族用のクルマとしてコンパクトミニバンとの2台体制が整っていたこともあり、FD3Sでの通勤生活を7年間堪能することになる。

ロータリー乗りがGR86を選んだ理由とは

 あらためてRX-8からGR86を選んだ理由を聞いた。理由はまずスタイリングだったそうだ。GR86は2ドアクーペのスポーツカーとしてカッコいいフォルムであったこともあり、さらにフロントまわりが先代と比べて洗練されたことがポイントになったそうだ。AE86からFC3S→FD3S→RX-8と、国産スポーツカーを乗り継いてきたAさんにとって、外観は妥協できない。

 そしてFRのMT車であることに加え、後席があることも加点ポイント。ただ残念だったのは、RX-8は観音開きドアゆえにフロントドアの長さが短いことから、ドアの開閉に気を遣う場面は少なかった。しかしGR86は2ドアクーペらしくドアが長いため、そこが難点だという。

 また、GR86用には豊富なカスタマイズパーツがリリースされているが、それでもチューニングやカスタマイズする予定はないそうだ。ただ、「サイドスカートがもっと後部まで伸びていればカッコいいのに……」と、カナード風のサイドスカートの跳ね上げ形状のデザインはお気に召していない様子。「あえて付けるならトムスのフロントディフューザーが気になりますね」とも。

輸入車のクオリティを知っていると国産車の粗が気になる……

 インテリアについては、「操作系も含めて整理されていて、ステアリングは流行りのDシェイプではなく、握り具合も太すぎず細すぎずちょうどいい。扱いやすさにも満足しています」と語る。最近のスポーツモデルではステアリングが太すぎるうえにDシェイプにする傾向にあるが、こだわり派のAさんはそれらが苦手であり、その意味でもGR86はピッタリだったわけだ。

「ただ、不満があるとすれば2速へのギヤの入りが悪いこと。もちろん、まだまだ慣らし運転中なのでもう少し様子を見たい……」そうだ。ほかにも、リヤウインドウがプライバシーガラスではないことや、輸入車ディーラーに勤めるプロ目線で言えば、ヘッドライトやナンバーの取り付け部のちり合わせが均一でないことが残念だと辛口。

子どもたちとの間にある愛車への愛情の温度差が寂しい

 走行面についてはどうだろうか。「RX-8と比べると、低回転からトルクがあるので走りやすくて速いのは間違いなさそう。もう少し走行距離が伸ばせれば馴染んでくると思うので、もっと良くなることに期待。可能であれば税金が安い2Lのままでレギュラーガソリンが理想ですが、燃費はRX-8の2倍近く走ってくれるので動力性能や燃費性能に不満はないですね」

 多くのお父さんが新しくクルマを購入するときに問題になるのが家族からの同意だが、「(家族から)反対はなかったですね。子どもたちはすでに社会人ですし、みなMT車が運転できる免許を取得させました。自分に何かあったときにMT車を動かせないと困りますから……」

 ただ、動かせるのはいいが、その子どもたちがGR86を愛車と認識してくれないことに困っていると言う。同じような経験をしているお父さんも多いと思うが、クルマに対して愛情不足だと、少しがさつな扱いをしてクルマを汚したり、傷付けられたりすることがあるそうだ。とくにAさんはクルマに対する愛情が深く、納車から4カ月の新車ということもあり、とてもキレイに所有されていた。

「傷を付けても平気だという感覚は私には理解できない。数万円のバッグは雑に扱うことはないのに、数百万円もするクルマは傷が付いても気にならない……。GR86を購入するための数百万円を稼ぐのがどれほど大変なのかがわかっていないんですよね……」と、話す姿は笑顔ながらも説得力十分だった。

 RX-8のころから子どもたちには「大事にできないなら乗るな、触るな!」を要求してきたが、このGR86でもそのスタンスは変わっていない様子。でも子どもが成人して奥さまとふたりで納車ドライブに出かけた際には、運転を交代してもらうなど、そこには信頼関係が見え隠れする。もちろんMT車を苦手としない奥さまがいるからこその話なのだが。

フロアマット下の内張り色にもこだわるほど潔癖級のキレイ好き

 そのキレイ好きはシートカラー選びにも現れている。なぜ? と思うかもしれないが、RZでは内装色にブラックとブラック×レッドから選ぶことができ、Aさんはあえてブラックを選択した。その理由を聞くと、「赤ステッチは魅力的でしたが、それだとフロア(フロアマット下の内張り)まで赤くなってしまう。キレイに維持するのが大変そうでしたので、ブラックを選ぶしかありませんでした。フロアがブラックで赤いステッチが施されている仕様があればそれが良かったですが、いつも愛車はキレイにしておきたいのでインテリアはブラックで、ボディカラーはクリスタルホワイトパールを選んだというわけです」。ちなみにAE86白黒に始まり、Aさんのこれまでの愛車遍歴のほとんどがホワイトなのだ。

数々の愛車遍歴のなかで辿り着いたGR86があるカーライフ

 FRのスポーツカーでMT車、さらに後席を持つクルマという選択肢で選んだGR86だが、『理由はほかにもありますよね?』と聞くと、至極真っ当な答えが返ってきた。「お金があればいくらでもあります。魅力的な輸入車も沢山あり、それでも仕事柄、ある程度の維持費が想像できるから輸入車は簡単には手が出せない。というか出すつもりもありません。それにRX-8の車検に何十万円でも出せるのであれば、今もRX-8に乗ってましたよ!!  オーバーホールしてダメな箇所を全部交換して乗り続けるのが理想ではありますが、費用対効果があります。私もメカ上がりなので必要な金額がわかりますから」

 数十年にわたり点検や車検、メンテナンスで数々のクルマを見て触れて、お客さまとやり取りする月日を経験してきたなかで選んだGR86。そこには積年の思いと過去の愛車遍歴の忘れられない思い出も影響しているようだ。

「AE86はめちゃくちゃ楽しかった。スキルのないころのクルマ(愛車)でしたが、ハチロクは本当に走っていて面白かったな~」と、少年のような笑顔を見せながら話す。AE86から始まり、トヨタとスバルが作り出した先代86&BRZが歴史をつなぎ、現在のGR86&BRZにつながる。いずれも後輪駆動の2ドアクーペのスポーツカーだが、トヨタとスバルとではクルマの味付けが大きく異なる。同じようなクルマでありながらも性格が違う兄弟のような関係で、GR86と2代目BRZではさらに違う個性を持つクルマになった。

 Aさんは「GR86の次のモデルが発売されるころにはもう定年ですね……」と笑っていたが、なんの根拠もないが、AさんとGR86の物語は続いていくだろう。AさんがRX-8のように長く乗り続けるクルマとなれるのか? それとも次期型GR86が登場したとして、未来の新型に目を奪われるのか? いずれにせよAさんとGR86の蜜月は始まったばかりだ。

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