この記事をまとめると
■普通二種免許の教習日数が現行6日から3日に短縮される方針が発表された
「現場」を知らない的外れな施策! タクシー&バス業界の「運転手不足」解消にならない「二種免許」受験資格の緩和
■教習期間短縮では根本的な人材確保につながらないとの声もある
■制度緩和が進むなかで二種免許の意義そのものが問われているといえる
タクシードライバーになるために必要な二種免許の取得要件を緩和
警察庁は2025年4月17日(木)に道路交通法施行規則の改正案を発表した。そしてそのなかには、普通二種免許取得について、現行の最短6日となっている教習日数を3日に短縮されることが盛り込まれた。
警察庁はタクシー業界における運転士不足の深刻化への対策という社会的な要請があるなか、「教習期間を半減するよう求める要望がある」とし、教習日数の最短3日という、現行から日数を半減させる大変更に踏みきったとしている。
当然、学科や技能教習時間も半減になるが、これへの不安について警察庁は「タクシーなどの普通旅客自動車を運転するために必要な運転技能に係る教習項目については省略することなく実施する」として、普通旅客自動車を運転するにあたり必要な運転知識・運転技能は十分に習得可能であるとしている。
スマートフォンによるアプリでのタクシー配車サービスの導入は、保守的といわれるタクシー業界において、まさに働き方を180度変えるような革命をもたらした。「いままでなら、駅前ロータリーにつけてお客を待ち、目的地まで乗せたら空車で駅に戻るということを繰り返していました。しかし、アプリの導入により片道だけお客さまを乗せるということが格段に減りました」とは、首都圏でタクシー事業を運営する関係者の弁。
さらに、「たとえば、日常的にメインとして乗務している地域を離れた場所にお客さまをお届けすると、戻るまでは当然ながら所属事業者の無線も入らないので、空車で戻ってくることにもなりますが、いまではそのような遠方に運ばれても、スマホアプリ配車により運ばれた先で新たな配車要請がかかることになりました」と、その稼ぎ方が大きく変わったことを話してくれた。
日本でもっとも稼げるとされる東京23区内ではなく東京隣接県の都市部でも、平均月給にして60万円ほどは楽に稼げるようになったとのこと。地域やスマホアプリ配車をやっているか否かなどで変わってはくるものの、タクシー運転士はいまでは「稼げる仕事」となっている。しかし、タクシーの稼働状況は不足傾向が続いている。それでは教習日数の短縮は現状の運転士不足解消へ向け効果が期待できるのか、前出関係者に聞くと、「教習日数の増減という問題は、さほど状況改善効果は期待できないものと考えております」と答えてくれた。
この関係者によると、タクシー運転士へ転職したいと思っても、いま就いている仕事を続けながらではタクシー運転士になるための準備がなかなかできないことも教えてくれた。運転士となるには、まずだいたいが二種免許をもっていないので、養成乗務員として雇用し、指定した教習所に入所して二種免許を取得してもらうことになる。しかし、教習所はすぐ入所できないどころか、入所まで数カ月待つこともあるとのこと。さらに健康診断など、平日しか動くことのできない準備をしてもらわなければならないのだが、これも前職を辞めていないと、行ける日の確保がなかなか難しいのが実状となっている。
つまり、タクシー運転士になるには前職との間に数カ月間無職のような状態を設けなければならないところで、せっかく稼げる仕事なのにひとが集まりにくくなっているようなのである。
二種免許の形骸化が進むことへの懸念も残る
警察庁は、従来と比べて問題のないレベルの教習を確保できるとしているが、6日必要だったものを3日にしようとなると、二種免許の存在自体に疑問符がつくともいえる。つまり、二種免許の形骸化が進んでしまうのではないかということである。
一種免許があればクルマは運転できる、それではなぜ二種免許が必要なのか? これを教習を通じて知る、ある種悟りを開かないと真の二種免許所持者とは呼べないし、安心・安全に乗客を目的地まで運ぶ自信はつかない。筆者は実地試験免除、つまり技能検定試験を教習所で行えるようになった時点で、二種免許の形骸化を危惧していた。
また、一種免許で長いことクルマを運転してきた間に、道路の真ん中を走ることができないなど独特のクセがついてしまったひともいるので、そのようなひともクセが抜けないなか二種免許を取得し、タクシー運転士として独り立ちしてしまうことにもなりかねない。
つまり、教習日数を削減しても、教習所へ通い二種免許の取得が必要となっていれば、状況は大きく変わらないなかで二種免許の形骸化というものも進んでいきそうなのである。
あるひとが日本型ライドシェアを、「タクシー業界の新たな規制緩和」とたとえてくれた。ライドシェアということでドライバーは一種免許取得後1年が経過していればOK。ドライバーはタクシー会社が雇用し、車両やドライバーなどの運行管理もタクシー会社が行うことになっている。車両は原則自家用車もち込みとなっているが、タクシー会社が車両を用意し、保険なども万全として貸し出すといったケースも意外なほど耳にする。つまり、二種免許を必要とせず自家用車の使用もOKという以外は、タクシーと大きく違わないのである。
日本型ライドシェアが存在し、二種免許取得に必要な教習日数が短縮化されるならば、二種免許という制度自体を廃止し、業界団体公認として業界内ライセンス(従事している間だけ有効)を与えて自主管理したほうが、希望者を時間もかからずにタクシー運転士にすることも可能で、運転士不足解消にも効果が期待できそうだと筆者は考えている。
大昔には、運転免許をとると自動的に二種免許もついてきた。その後、運転免許試験場の構内コースのみでの実地試験の導入となり、さらに運転免許試験場での一般公道も加えての検定実地試験導入となり、そして現在の実地試験免除となっている。
大型二種免許についても実地試験は免除となっているが、あるバス業界関係者いわく、「実地試験免除の前後では、あきらかに実地試験免除後に二種免許を取得した運転士のほうが社内研修を行っても手がかかるケースが目立ってきている」とのことだ。
乗用車では、各種安全運転支援装置の装備が当たり前となっており、タクシーでもいまは車両選択が自由となっているので、安全運転支援装置が充実してきている。それゆえ、「根性論」的なものを教える必要はないとの声もあるし、事実、若い世代の運転士は客観的なデータなどに基づいた指導が有効との話を聞いたことがある。
くれぐれも「数(タクシーの稼働台数)は確保できたけど、事故が目立って増えた」とならないことだけは祈りたい。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
235万円! トヨタ新「ステーションワゴン」発売! “高級感&渋さ”アップの「レトロ仕様」な豪華内装あり! 「懐かしい」装備もり沢山で“昭和感サイコー”な「カローラ ツーリング」の組み合わせとは?
総武線はなぜ「へ」の字なのか? 却下された「幻の直線ルート」 線路曲げたらなぜか“OK”に!?
ハコスカ「170km/hぐらいは楽々と出せます」だけど燃費は…? ときにはリッター5km…「旧車は燃費が悪い」は本当なのか。
車のガラス「拭いたら余計汚れる」にイライラ…高額商品に代わってピカピカにできる「意外な“日常”アイテム」とは!? 実は「毎日捨てる物」に答えがあった
トヨタの斬新「スライドドア」SUVに期待の声!? 全長4.3m級の「ちょうどいいサイズ」がスゴい!? “カクカク”ボディの「Tjクルーザー」コンセプトの「発売希望」が絶えない理由
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
ある程度収入があるのは、都心部と外国人バブルの観光都市だけですよ!
地方なんていけば、閑古鳥がないてます。
昔から、タクシーと警備員は、最後にやる仕事でしたからね。
他にいい仕事ありますから。わざわざやる仕事ではありません。
現場も何も知らない人が、色々決めるから改善どころか改悪になる一方。