モトGPマシンに採用されているウィングレット(ウイング)と呼ばれるエアロパーツ。近年、多くの市販モデルにも装着されるようになってきた。そのスタイルに魅力を感じる人も多く、カウンタック、特にLP500が好きだったスーパーカーブーム世代には刺さること請け合いだ。
子供時代からの憧れだった“大きなウイング”
北海道の大地を走った──イタリアのSUVで大自然を満喫「ランボルギーニ ウルス」
子供の頃に憧れたマシンはランボルギーニ カウンタック。
「スーパーカーブーム」は生まれ故郷である宮城の片田舎にも到達しており、サーカスが街にやってくる! といった様相で、スーパーカー軍団も地方巡業にやって来たものだった。ハナタレ小僧たちの一番人気はフェラーリではなく、ダントツでランボルギーニ カウンタック。そのスタイリングはもちろん、ランボルギーニという社名もカウンタックという車名も、ハナタレ小僧たちにはスペシャルなものであった。そして、カウンタックのなかでもLP400ではなく、LP500がダントツの人気であった。
その理由は、単純に大きなリアウィングが装着されていたから。当時の「ガンダムブーム」もなにか関連もあったのだろうか? カクカクとしたデザインとともに、あの“大きな羽根”が田舎の少年たちに強烈なインパクトを与えたのだ。
なんのために必要なのか、当時は全く分からなかったのだが、“大きな羽根”の存在は輝き続け、下手くそな絵を描くときもリヤには必ず大きくウィングを描く、という始末。
マシンを路面に張り付かせ、グリップ力の高いタイヤに圧力をかけることによって、より高いグリップ力を発揮させるというパフォーマンスパーツ。後になって、ウィングのもっとも大きな狙いはダウンフォースを稼ぐということを知ったのだった……。
そんなダウンフォーステクノロジーは昨今、バイクにも使われはじめている。
モトGPで威力を発揮するエアロパーツ
実は過去にもレースシーンにおいて、各メーカーが様々なトライをしていた時代があったという。しかし、スピード域が現在と異なったこと、4輪と異なりマシンがバンクしていくので空力のコントロールが難しいということで、あまり一般的にならなかったようである。
しかし、ここにきて空力の解析が進んだのだろう。レースシーンの最高峰、モトGPにおいてすべてのメーカーがフロント(というかサイド)カウルに大きなウイングレット(ウィング)を装着するようになってきたのである。そのパイオニアであるドゥカティは、2015年頃からは毎戦のように異なった形状のウィングレットを装着してきた。ところが、2016年に安全性の理由でそれが装着禁止となってしまう。とはいえ、禁止となっても、かなりグレーな形状でウィングレット的フェアリングを採用し続けている。
いずれにしても、空力、とくにダウンフォースを利用してウィリーを抑えたり、マシンを安定させたりという効果が想像以上だったようで、各メーカーが試行錯誤しながらパフォーマンスパーツとして採用している。
モトGPマシンともなると、最高出力は300psにも迫るともいわれ、最高速は350km/hを超える。加速中にフロントホイールを地面から離れないようにするのは至難の業である。これに威力を発揮していたのが電子制御だが、レギュレーションで全メーカーが共通ECUを使うようになってからは細かい制御が難しくなっている。そんな中、ウィングレットの担う役割がさらに大きくなってきたようだ。
市販モデルでもブームに
この流れは、市販車にも受け継がれるようになってきている。過度な突起物はストリートリーガルとしてNGではあろうが、レギュレーションで縛りをうけていないだけに、市販車用パーツは自由な発想でデザインされている。
モトGPでも、もっとも力を注いでいたドゥカティは空力学においてアドバンテージがあったのかもしれない。市販モデルとして最初に装着したのは、スーパーバイクのレースベース的マシン、パニガーレV4R。続けて、現行型パニガーレV4にも装着されている。
スペイン・バレンシアサーキットにて行われた初代パニガーレV4の発表会の際、圧倒的加速力を持つそのマシンは、超高速域でフロントエンドがフラフラするような症状があった。こういった症状を低減するのにも有効だという。ドゥカティも当初、初期型のパニガーレV4にウィングだけ装着してテストをしたとのことだが、これは逆効果だったという。すべてのカウルをトータルでデザインしないと効果が生まれないとのことでなかなかに難しいとのことだった。
メリットとしてはウィリーが抑えられることに加え、高速域でのフロントの接地感。ターンイン時の安定性。反対にデメリットとしては、高速域での切り返しでハンドリングがやや重くなることだという。
現在、市販モデルでは多くのマシンが採用するウィングレット。アプリリアのRSV4や、BMWのトップガンであるS1000RRをベースとしたM1000RRにも装着されている。国産モデルでも、ホンダ CBR1000RR-RやZX-10RRだけでなく、ミドルクラスのCBR600RRにも採用。また、ネイキッドマシンでもドゥカティ ストリートファイターにウィングレットが装着されている。KTMの場合、1290スーパーデュークRには明らかなウィングレットは装着されていないが、燃料タンクやサイドカウルはダウンフォース効果を考慮して設計していると開発者が語っていた。と、ウィングレットがブームとなっているのだ。
それらのウィングレット、実は低速ともいえる30km/hあたりから効果を発揮するとのこと。しかし、その本来の実力を発揮するのは超高速域。となると、公道におけるメリットはあまりない、ともいえるのであるが……。
とはいえ、そのような究極のパーツに魅力を感じるライダーも少なくないはず。普通の人から見たら、デザインの邪魔をしている「取って付けたような」異物感があるかもしれない。しかし、あのLP500に心を躍らせたスーパーカー世代は、性能以上にその形状にドハマりすること請け合い。今後、どんな形状に進化していくのか、興味は尽きない。
文・鈴木大五郎 写真・本田技研工業、ドゥカティジャパン、ピアッジオ グループ ジャパン 編集・iconic
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