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プロモーター探索を経て、FIAがWorldRX運営権を取得「良い変化を期待している」

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プロモーター探索を経て、FIAがWorldRX運営権を取得「良い変化を期待している」

 昨季2024年より、新たに持続可能燃料採用の内燃機関(ICE)搭載モデルと、電動最高峰のRX1eが混走する“バトル・オブ・テクノロジーズ”のコンセプトを採用してきたWorldRX世界ラリークロス選手権だが、シーズン終了後にラリークロス・プロモーターGmbHの運営権が切れたことで、FIA国際自動車連盟は同シリーズの新しいプロモーターを模索してきた。しかし3カ月の検討を経て、FIAは「サービスプロバイダーの支援を得て」と但し書き付きではあるものの「即時発効」で運営権を取得すると発表した。

 ここまでプロモーターを務めてきたレッドブルを母体とする組織は、2014年の創設以来シリーズを運営してきたIMGが撤退した後、2021年に同シリーズの運営権を取得。エントリー数の減少と選手権の健全性に関する不確実性が続くという難しい数年間を経て、前述のとおり昨季よりシリーズに新規軸のコンセプトを打ち出していた。

 しかしトルコのイスタンブール・パーク・サーキットで開催された2024年最終戦のダブルヘッダーを終えた時点で運営権を放棄し、その後のWorldRXは新たなプロモーター探しに奔走する状況となっていた。

 これにより、すでに発表されていた2025年カレンダーのうち、年明け早々の1月23日から25日の週末にカナダのモンタリグレ・トロワリビエールで予定されていた選手権史上初めて氷上でのアイスレースと、5月30日から6月1日まで、イギリスのコベントリーにてイギリス最大の無料モータースポーツイベント『モトフェスト・コベントリー』にジョイントしたストリート戦はキャンセルとなった。

 長年、このWorldRXでプジョー208を走らせてきたハンセンWorldRXチームの代表であるケネス・ハンセンは、アメリカのモータースポーツ専門サイト『RACER.com』に対し「今起きていることは、FIAが本当に責任を持って我々を未来へと導いてくれるという、最高の結果だと思う」と語り、このFIAの決断を歓迎する。

「彼らは『よし、良くないからやめよう』と言うこともできただろう。そうすれば世界選手権はなくなっていたはずだ。しかし、彼らはそうは考えていないことを示したんだ」

 ハンセンは、このFIAの動きが前向きな結果をもたらし、プロモーターという追加の当事者が議論に関与することなく、意思決定が合理化されるとの見通しも語った。

「良い方向への変化を期待している。なぜなら話し合う相手がひとつ減ったからね。以前はFIAとプロモーターを相手に話し合い、組織化していたが、今は我々とFIAだけになった。完全に好転することを確信しているわけではないが、チームの信念とともに、シリーズを良い方向に導いてくれると期待している」


■ラリーとラリークロスの行き来が容易になる可能性

 またFIAは、このWorldRXが採用する車両の技術規則に関して、昨年12月には現行のWRC世界ラリー選手権の『ラリー1』に基づくものとして、2027年より導入するアウトラインを示しており、この動きがグリッド拡大に繋がることも望んでいる。

「FIAの発表が、躊躇していたチームを納得させてくれることを願っている。うまくいけばフルグリッドになるかもしれないね」と続けたハンセン。

「つまり(2027年には)ラリーの技術規則にもっと結びつくべきだと、すでに発表されている。数年前を振り返ると、ラリーカーが手元にあれば、ラリークロスに行くのはずっと簡単だったんだ。だから、このふたつの選手権の密接な関係は、我々をより強固にしてくれると思っている」

 同じくFIA会長のモハメド・ビン・スライエムも「FIAはラリークロスだけでなく、このスポーツの未来にも投資している」と応じた。

「我々は世界的に新たな視聴者を確保し、ドライバー、チーム、商業パートナー、そして何よりもファンのために、より良い競技の機会を提供することで、このカテゴリーを次のレベルに引き上げることに全力で取り組んでいる」と続けたビン・スライエム。

「私が選出されたとき、私は強力な規則とより強力なFIAを実現し、あらゆるレベルでモータースポーツの成功に不可欠な基盤を築くことを誓った。世界選手権の将来の成長を確保することは、まさにこれを実行するという私の決意を反映しているんだ」

 同じくハンセンも世界選手権の強さこそが、カテゴリー全体の基盤を築くうえでの重要な鍵になると強調する。

「草の根レベルのクロスカーも実現できれば、若者たちがラリークロスに参戦することを夢見るだろう。そのためには、非常に優れた世界選手権の存在こそが不可欠だ。誰もがいつかはそこに参戦し、プロのドライバーになることを夢見られるようにね」とハンセン。

「彼らは、いつかWRCやF1のように世界選手権に参戦できると信じていたから、夢はそこになければならないし、底がなければ頂点はあり得ないし、その逆もまた然りだ。すべてのルートが機能する必要があるが、フルグリッドと良いレースが行われる世界選手権は、間違いなくすべての人に利益をもたらすだろう」

[オートスポーツweb 2025年03月14日]

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