現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 実用的なスーパースポーツ──新型メルセデスAMG GT試乗記

ここから本文です

実用的なスーパースポーツ──新型メルセデスAMG GT試乗記

掲載 1
実用的なスーパースポーツ──新型メルセデスAMG GT試乗記

フルモデルチェンジしたメルセデスAMGの「GT」に、島下泰久がスペインで試乗した。新しいスーパースポーツの魅力とはいかに?

SLとは違う

ボルボのミニバン、新型EM90登場!──GQ新着カー

メルセデスAMGの自社開発スポーツカー、メルセデスAMG GTが実に9年ぶりのフルモデルチェンジをおこなった。通算2代目のメルセデスAMG GT、実は初代のファンなら動揺しそうな大きな変更を受けての登場となった。

1番のトピックと言えば、従来の2シーターに代わり2+2レイアウトを主軸とした点だろう。これはユーザーからの一層の利便性を求める声に応えたものだというが、念頭には間違いなくライバルと見据えるポルシェ「911」の姿があったはずだ。

リヤシートの乗員は身長150cmまでが推奨されている。つまりほぼ子供用、あるいは手荷物置き場ということになるだろう。バックレストは一体で前方に倒せるので、かさばるものも容易に積み込むことが可能になっている。

こうして日常の使い勝手はグンと高まったが、一方、ボディサイズは一気に大きくなった。全長は実に4728mm。従来と較べ180mmほども伸ばされている。これによって極端なまでのロングノーズ・ショートデッキのプロポーションは、よりエレガントな雰囲気を醸し出すようになった。サイズの大きさはさておき、好き嫌いで言っても間口が広がったことは間違いない。

もう一点の大きな変更がフルタイム4WDの採用だ。従来のトランスアクスルレイアウトのFR(後輪駆動)に対して、新型ではギヤボックスとして「AMGスピードシフト9G」がエンジン後方の一般的な場所に付き、「AMGパフォーマンス4MATIC+」によって駆動力を前後輪にフレキシブルに可変して伝達する。

4WD化も、やはりユーザーからの強い要望に基づくものという。最高峰モデルとなるメルセデスAMG GT 63 4MATIC+ クーペの場合、マイルドハイブリッドなどを組み合わせない純内燃機関のV型8気筒4.0ℓツインターボユニットは最高出力585ps、最大トルク800Nmという従来のメルセデスAMG GT Rに肩を並べるアウトプットを獲得している。これをある程度、安心して楽しんでもらうためにはFRでは限界だったというわけだ。

ここまで読んできて、「おや?」と、思った方も居るのではないだろうか。そう、このパッケージングは新たにメルセデスAMG開発となったメルセデス・ベンの新型「SL」と、きわめて似通っているのだ。いずれも2+2レイアウトで、実は2700mmのホイールベースも共通。パワートレインのレイアウト、出力数値も変わらない。

要するに新型メルセデスAMG GTは、ソフトトップロードスターのSLに対するフィックスドヘッドクーペ版。きっとそう思った人は多いだろうし、他でもない私自身も乗る前にはそんな想像をしていたが、スペインはグラナダ近郊の一般道、ワインディングロードで思い切り鞭を入れてみると、そこにはまったく違った世界があった。端的に言って、こちらはあくまでリアルスポーツ。先代と同じ匂いも、しっかり残されていたのである。

個性はしっかり継承違いは発進させた瞬間から、すでに感じ取ることができる。アクセル操作に対する反応がダイレクトで、強力なトラクションが即座に発揮され、素早いスタートダッシュを見せるのだ。0~100km/hの加速タイムは3.6秒で、出力数値は変わらないはずのSL63 4MATIC+の3.9秒を大幅に引き離す。最初は車重のせいかと思ったが、1970kgという数値は本国仕様同士で見た場合、SL63 4MATIC+と実は変わらないのだ。では一体何が違うのか?

まずタイヤサイズが違う。SL63 4MATIC+は標準で前265/40ZR20、後295/35ZR20に対して、メルセデスAMG GT63 4MATIC+は同じく前295/35ZR20、後305/35ZR20と、ひとまわり太くなっている。さらに、4MATICの制御が異なる。簡単に言えば、よりリヤ重視の駆動制御を行なっている。こうしたことが相まっての一段上のトラクション性能が、速さに直結しているのだ。

コーナリングは、操舵に対するノーズの反応が素早く、旋回スピードも凄まじく速い。1970kgもの質量は一体どこへいってしまったんだろう? そしてアクセルを踏み込めば、リヤからクッと押し出すような動きが出て、アンダーステア知らずで立ち上がることができる。FRだった先代よりも安心して全開に出来るけれど、駆動の主体はあくまでリヤ。右足で向きを変えられる走りである。

実際、駆動力制御がリヤ重視というだけではなく、太いタイヤに合わせてブッシュ類が強化され、サスペンションの制御も専用に。そして電子制御LSDが、ロック率を高めた別物になっているのだという。

要するに、AMG SLと基本アーキテクチャーは共用しているが、仕立てはまるで別物。メルセデスAMG GTはあくまでメルセデスAMG GTとして開発されている。2+2レイアウトや4輪駆動によって間口を広げながら、一旦ステアリングを握ってみれば個性はしっかり継承されているのだ。

結論としては新型メルセデスAMG GT、間違いなく従来よりも幅広い層にアピールする1台に仕上がっている。

一方、現行型のオーナーはじめ、そんな軟弱なのは要らない! という人も心配は要らない。きっと今後、さまざまなバリエーションが用意されるはずである。但し、さすがにロードスターの登場は無さそうだ。

文・島下泰久 編集・稲垣邦康(GQ)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
motorsport.com 日本版
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
motorsport.com 日本版
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
AUTOSPORT web
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
Auto Messe Web
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
AUTOSPORT web
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
くるまのニュース
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
VAGUE
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
WEB CARTOP
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
motorsport.com 日本版
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
レスポンス
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
motorsport.com 日本版
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
AUTOSPORT web
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2750.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

748.06000.0万円

中古車を検索
AMG GTの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2750.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

748.06000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村