3月24日、アメリカ・テキサス州オースティン郊外に位置するサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われたNASCARカップ・シリーズ2024年第6戦『エコーパーク・オートモティブ・グランプリ』。トヨタ・カムリXSEでスポット参戦した小林可夢偉は2度の接触によるスピンとポジションダウンを喫したが、30位で完走を果たした。
2023年8月、インディアナポリス・モーター・スピードウェイでの一戦でNASCARデビューを果たした可夢偉は、今年もWEC世界耐久選手権、全日本スーパーフォーミュラにフル参戦するかたわら、北米ストックカーレースの最高峰シリーズへの二度目の参戦が決定。2023年と同じ23XIレーシングからの出走で、今回はMobil 1の50周年記念カラーリングをまとっての出走となった。
2度目の挑戦迎える小林可夢偉「NASCARはドライバーのひとつの目標」カギは“超・短時間”での攻略
この第6戦は、今季36戦中4回予定されているロードコースの、最初の一戦。過去に可夢偉はF1およびWECで、COTAの走行経験を持っている。
シミュレーターでも走り込んできたという可夢偉は、23日土曜のプラクティスでは39台中8番手と、好位置でレースウイークをスタートさせた。「昨年の8月以来、久しぶりにこのクルマに乗ったわりにはすぐに対応できたなと思いましたし、ポジティブな気持ちで予選に入れました」という。
プラクティス直後、予選にB組で出走した可夢偉は、1回目のアタックで2分10秒832を記録。2回目には2分10秒513とベストタイムを更新し、総合25番手で予選を終えた。今年の開幕戦デイトナ500ウイナーで、COTAのプラクティス・予選ともに最速となったウィリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー)からは、1秒以内という位置につけた。
「予選では新品タイヤのパフォーマンスをうまく引き出せず25番手に沈んでしまいました。ただ、練習走行から非常にレースペースの安定したタイムを刻めていますし、僕自身すごく悔しい予選結果にはなりましたが、レースではしっかり巻き返せると思っています」と予選後に可夢偉はコメントした。
■ステンハウスJr.との接触、スピン
決勝は68周。15周目にステージ1が、30周目にステージ2が決着してポイントが与えられる3ステージ制となる。
スタート直後の1コーナーをアウトから無事にクリアした可夢偉は、チームメイトのブッバ・ウォレスら一部マシンに接触のあった1周目を無事に走り、オープニングラップではポジションをキープ。その後、5周目には23番手へと順位を上げる。
ステージ1終盤には可夢偉含む6台が1パックとなり、19番手争いが展開。数台がピットインすると20番手へとポジションを上げた可夢偉は、その直後に1回目のピット作業を行った。6台の車両がピットインしないことを選択して上位を固めるなか、可夢偉は28位でステージ1を終える。
ステージ2中盤には18番手を走行したが、ターン7~8でリッキー・ステンハウスJr.(JTGダハティ・レーシング/シボレー)に後方から当てられる形となりスピン。このときスピン状態となった可夢偉のマシンのフロント部もステンハウスJr.の車両に接触する形となり、ピットへ向かいタイヤを交換することとなった。
これにより順位を大きく下げた可夢偉は、ステージ2を36位で終えると、そのままステージ終了後のコーション中に3度目のピット作業も済ませた。各車がルーティンピットを行ったステージ3中盤のタイミングでは一時14番手まで上げていくが、このレースではステージピリオドのタイミング以外ではなかなかコーションが出ず、51周目に可夢偉は最後のピット作業へと向かった。
そしてピットアウトすると、またも悲劇が。ジョシュ・ベリー(スチュワート・ハース・レーシング/フォード)に左リヤからプッシュされる形でスピンを喫した可夢偉は、さらにポジションを落とすことに。
2023年に出場したインディアナポリス戦では、2周目に追突されて「いきなりNASCARの洗礼を受けた」と語っていた可夢偉だったが、2回目の挑戦でもNASCARの厳しさを味わう形となってしまった。
しかしながら、スピン後も走行を続けた可夢偉は、順位としては昨年出場時の33位を上回る30位でチェッカーを受け、2度目のNASCAR挑戦を終えた。
レースは序盤からポールポジションのバイロンが首位をキープしリードを保つが、最終ステージ3に入るリスタートではロス・チャスティン(トラックハウス・レーシング/シボレー)がバイロン、タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ)との攻防に打ち勝って首位を奪う。
その後、1コーナーへの飛び込みでチャスティンを再逆転したバイロンは、最終盤に背後に迫ったクリストファー・ベル(ジョー・ギブス)を抑え込み、今季2勝目を挙げている。
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