同国出身の元F1ドライバーが多数参戦する人気ツーリングカーシリーズ、SCBストックカー・ブラジルの2019年シーズン初戦がサンパウロ近郊のヴェロパークで開幕。記念すべきシリーズ40周年500戦目のメモリアルレースを制したのは、2017~18連覇の王者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC)となり、2014年チャンピオンのルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ)も天候急変の難コンディションを読み切り2位表彰台と、タイトル奪還へ好発進を決めている。
ブラジル南部リオグランデ州に位置するヴェロパークのトラックには金曜から散発的に降雨があり、土曜に開催された今季初予選も難しい路面コンディションでのアタックに。
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そのQ3で今季初ポールポジションを射止めたのは、シリーズ通算8勝の実力者チアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング)で、ワンメイク鋼管パイプフレームに特徴的ガルウイングを備えたシボレー・マリブでキャリア11度目の最前列を確保した。
その背後フロントロウ2番手には王者セラが並び、セカンドロウ3番手にバリチェロ、その隣にはフル参戦2年目で今季からトップチーム移籍のネルソン・ピケJr.(フルタイム・スポーツ)の元F1コンビがつけ、3列目にはこちらも強豪シムド・レーシングから心機一転、新興チームに移籍した2015年王者マルコス・ゴメス(KTFスポーツ)が5番手からのスタートとなった。
まだウエットパッチの残るダンプコンディションながら、ほぼ全車がドライタイヤでスタートした46周の決勝レースは静かな立ち上がりとなり、オープニングの1コーナーはトップグループにポジション変動なく進むと、2周目にゴメスがピケJr.のインをつき4番手に浮上してくる。
その後、トップ10圏内ではマックス・ウィルソン(RCMモータースポーツ)、セザール・ラモス(Blauモータースポーツ)、ガブリエル・カサグランデ(クラウン・レーシング)が熾烈なポイント争いを展開し、3ワイドの接近戦でスタンドのファンを沸かせると、トップグループでは一時セラの猛攻にさらされ防戦一方となっていたカミーロがじりじりとマージンを築き始め、セラを2秒半ほど引き離してクルージングモードに移行し始める。
しかし17周目に後続でアクシデントが発生し、タイヤバリアが破損するクラッシュでセーフティカー(SC)が導入されると、首位のマージンは一気に消し飛ぶことに。
21周目のレース再開後もファンのSNS人気投票により使用権が変動するオーバーテイクボタン、“FAN PUSH”を使用した攻防劇を繰り広げるトップ2台だったが、ここでコース上は再び無常の雨となり、首位争いに大きな影響を及ぼすことに。
先にピットへと飛び込んだ先頭カミーロがウエットタイヤへの交換を行ったのに対し、4番手ゴメスも同様の戦略で続き一時首位浮上に成功するが、その翌周にピットへと向かったセラ、バリチェロのふたりは、なんとここでスリックへの交換を決断。
雨粒が落ち続けるなかでのチョイスは一種のギャンブルではあったものの、この戦略がピタリとはまった2台は瞬く間に先頭のゴメスを抜き去ると、その後も王者セラは2番手のバリチェロに対して10秒以上のリードを構築する圧巻のスピードを披露しトップチェッカー。
ディフェンディングチャンピオンにふさわしいレース運びで開幕勝利を飾るとともに、元F1ドライバーでこのSCBシリーズの100戦目も制している父、チコ・セラとともにポディウムへと上がった。
2位のバリチェロに続き、3位はセラと同じ戦略を採用したチームメイトのリカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC)が逆転表彰台を確保し、前半戦を支配しながらウエットタイヤの選択が裏目に出たカミーロが4位、そしてゴメスは終盤のエンジントラブルで6位にまで後退する結果となった。
「なんて衝撃的な結果、なんて難しいレースだったんだ。これはもうほとんど勝利にも等しい成果だよ」と、表彰台で喜びの表情を浮かべたバリチェロ。
「雨が落ち始めた時、当然周囲のライバルたちはレインタイヤを選択するだろうと予測していた。でも僕は冷静に物事を判断し、ドライのままでいくと決めたんだ。セラが同じ判断をしたのもよくわかるし、この表彰台をみんなにプレゼントできてハッピーだよ」
開幕戦の週末は500戦記念のメモリアルレースとして1ヒートのみで開催されたが、5月5日開催の第2戦ヴェロチッタからはレギュラースケジュールの週末2ヒート制に復帰しての戦いが待ち受ける。
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