日本の自動車産業の歴史は第一次世界大戦(1914-1918年)後の軍用トラックの生産まで遡る。
そこからおよそ100年。いまでこそ、国内メーカーはトヨタをはじめとして世界を舞台に各国メーカーと鎬を削っているが、そこに至るまでの道のりが平坦でなかったことは誰しも容易に想像がつくことだろう。
業績低迷の今の日産を救うのはコイツかも! 粋な3列シートクロスオーバー「ダットサンクロス」
だからこそ、過去、世界と自動車史とに深いインパクトを与えた国産車たちには単なる「名車」という称号にとどまらない、特別な感情を抱かずにはいられない。
モータージャーナリスト 片岡英明氏に、そんな世界に衝撃と影響を与えた国産車 5台を選んでもらった。
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※本稿は2020年5月のものです
選出と本文/片岡英明
初出:『ベストカー』 2020年6月26日号
■新たなジャンル・ムーブメントの引き金となったモデルも
日本車のなかで最初に海外の自動車メーカーに大きな衝撃を与えたのが、1969年秋に登場した初代フェアレディZだ。
日産 初代フェアレディZ 240Z(1971年)…日本では1969年にSOHCのL20型、DOHCのS20型の2種の直6エンジンで登場し、1971年に2.4L車が登場。写真は240Z-G
海外向けモデルは当初から2.4Lの6気筒エンジンを積んでいたから高性能だったし、快適性も高い。そしてリーズナブルな販売価格だったため、240Zは北米を中心に大ブレイクしている。
初代S30型フェアレディZは55万台が世に出たが、そのうち日本での販売は8万台だ。ほとんどが海外のユーザーに渡ったのである。日本人が誇れるスポーツカーだ。
1989年にセンセーショナルなデビューを飾ったマツダのロードスターも、世界中のクルマ好きを感動させたスポーツカーである。
マツダ 初代ロードスター(1989年)…すでに市場は存在しないと見られていたライトウェイトオープンの需要を掘り起こし、世界中の自動車メーカーに多くのフォロワーを発生させた名車中の名車
絶滅の危機にあったフルオープン、FR駆動のライトウェイトスポーツの分野を再び開拓した。
エンジンは1.6Lの4気筒DOHCだ。1993年夏に1.8LのDOHCに換装し、力強い走りを手に入れている。
人馬一体の痛快なハンドリングを安価に楽しめたから、ロードスターは爆発的なヒット作となった。
43万台以上の生産を誇り、ギネス記録にも認定されている。欧米の自動車メーカーのクルマ作りにも大きな影響を与えた傑作だ。
高級車の分野ではレクサスブランドのLSが衝撃を与えている。日本ではセルシオの名で1989年に発売されたが、工作精度が従来のクルマとはまるで違っていた。
トヨタ 初代セルシオ(1989年)…圧倒的な高品質をもって北米で人気となり、日本にも導入。自発光式メーターなど、後発モデルに多く採用される装備を、先んじて装備していた
精緻な作りが生み出す異次元の静粛性や快適な乗り心地は、乗り手に大きな感動を与え、口うるさい海外のVIPも絶賛した。
スバルのレガシィに2代目から加わったグランドワゴンも海外のクルマ好きに衝撃をもって迎えられた4WDワゴンである。
スバル レガシィ グランドワゴン(1995年)…200mmの最低地上高を与えられ、悪路も走れるワゴンとして登場。1997年には副変速機付き5速MTモデルも追加され、名前も「ランカスター」に変更
海外ではアウトバックを名乗り、クロスオーバーSUVブームの引き金を引いた。舗装路も悪路も余裕で走れ、快適性も高い。
ハイブリッド車のプリウスも世界中の人に感動をもって迎えられた。
初代プリウス(1997年)…1.5Lの1NZ-FE型エンジンをベースにしたパワーユニット「THS」を搭載。10.15モード燃費は28.0km/Lと、当時としては驚異的
地球に優しいファミリーカーで、頑固な欧米のクルマ好きを納得させるだけの実力を秘めている。
【番外コラム】編集部が選ぶもう1台 トヨタ 初代ヴィッツ(1999年)
トヨタ 初代ヴィッツ(1999年)
価格の安さが最重要とされていた当時のコンパクトカー界において、車内の広さや安全性能の高さを訴え。海外でも大ヒットしたモデル。
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他の車はまあ納得だけど。