現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【EV LIFE】クラシックカーを電気自動車に蘇らせるコンバートEV【石井昌道】

ここから本文です

【EV LIFE】クラシックカーを電気自動車に蘇らせるコンバートEV【石井昌道】

掲載 3
【EV LIFE】クラシックカーを電気自動車に蘇らせるコンバートEV【石井昌道】

車の最新技術 [2023.03.27 UP]


【EV LIFE】クラシックカーを電気自動車に蘇らせるコンバートEV【石井昌道】
文●石井昌道

【フィアット 500】イタリアの街中でカーウォッチ【九島辰也】

 自動車雑誌ル・ボランが主催する電気自動車のイベントEV LIFE。春は東京・二子玉川、秋は兵庫県・神戸で開催し今年で3年目。国内外の最新のBEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)の展示および試乗もできるとあって、いつも賑わっているが、今回は一風かわった展示車両が注目を集めていた。クラシックカーをコンバートしてBEVにしたコンバートEVだ。


OZ MOTORS e-BUG
 フォルクスワーゲン・タイプ1をコンバートしたe-BUG(イーバグ)と1966年式日産セドリックをコンバートしたe-CEDRICの2台を出展したOZ MOTORS(オズモーターズ)は、コンバートEVを数多く送り出してきたリーディングカンパニーで、基本的にはどんなクルマでもカスタムに応じるという。

 コンバートEVは、ベースのエンジン車からエンジンや燃料タンクなどを外してバッテリー、モーター、コントローラーなどを追加。たいていの場合、トランスミッションは元からあるものを利用している。出展されたe-BUGは40kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電走行距離は実質で約250kmとされる(WLTCモードなどのカタログ値ではなく実用電費での参考値)。モーターは最高出力80kW、最大トルク254Nmで最高速度120km/hと立派なスペックだ。BEVは自動車メーカーの最新モデルでも2WDならRWD(リア駆動)が多いが、タイプ1はもともとRR(リアエンジン・リア駆動)なのでリアのエンジンルームにモーターを搭載し、もとの駆動系をいかしてRWDのコンバートEVとなっている。4速のマニュアル・トランスミッションだが、モーターはトルクが強大なため、1、2速は必要なく、3速で発進から通常走行までOK。高速域では4速も使うという。加速も強力で、もとのエンジン車よりも数段は速いそうだ。また、タイプ1は愛好家が多いため、パーツ等も揃っているため、コンバートEVの製作やメンテナンスも比較的に容易いようだ。


OZ MOTORS e-CEDRIC
 e-CEDRICは20kWhのバッテリーを搭載して一充電走行距離は約100km。モーターは最高出力100kW、最大トルク235Nm。EV専門誌のEV Magazineの企画で2019年にコンバートしたもので今でも現役の足グルマとして活躍しているという。以前はエンジン車のクラシックカーとして愛でていたが、故障が多く修理もたいへんだったそうだが、EVにしたことでその頻度がかなり減ったそうだ。


OZ MOTORS e-CEDRIC
 オズモーターズではカスタムメイドを受け付けているが、費用は約500万円~。バッテリーは日産リーフのリユースバッテリー等を使い、バッテリー容量も12kWh、24kWh、48kWhなど要望に応じることが可能。e-BUGの標準の12kWhで一充電走行距離は約60kmほど。1kWhあたり5km走行できるという計算であり、WLTCモードよりも辛く見積もっている。急速充電器(CHAdeMO)への対応、エアコンなどオプションも取り揃えている。手作業によるカスタムメイドなので費用はそれなりにかかるが、クラシックカーを末永く愛でるにはいい選択肢となるだろう。旧いエンジン車はメンテナンスがたいへんなうえ、いざドライブするときには暖機運転等も必要で手間がかかるが、コンバートEVにすればそれが一気に解消するのだ。


チンクエチェント博物館 フィアット500ev
 もう一台、出展されていたのがチンクエチェント博物館のフィアット500ev。イタリア・トリノのカロッツェリアでレストア、コンバート化されたとあって美しい仕上がりの一台だ。ダッシュボードのスイッチ類なども、EVを意識してスマートで整然と並べられ、こだわりを感じさせる。熟練の職人が丁寧に仕上げるので、1年間に数台しか造れないとのことだが、キーレスエントリーやデジタルオーディオのオプションなどさまざまな要望に応えてくれるそうだ。


チンクエチェント博物館 フィアット500ev
 エンジン車のフィアット500もファンが多いが、運転するのは意外とたいへん。正確に言うと走らせること自体はそれほどたいへんではないものの、エンジンが非力なので、現代の交通の中をスムーズに走らせるには、けっこう頑張ってアクセルを踏まねばならず、それなりに慣れなければならないのだ。ところがコンバートEVならば、加速力が桁違いにあるので楽になるという。モーターの最高出力は10kWだが車両重量は640kgと軽く、0−100km/hは7.0秒と一般的な実用車よりも速い。一充電走行距離は約100kmとされる。車両価格は726万円。メーカー製の新車のBEVに比べると高く感じるかもしれないが、このテのクラシックカーをフルレストアすると、1000万円ほどかかってもおかしくはないので、リーズナブルと言える。

 じつは自分も2001年に、当時いた自動車雑誌の編集部の企画で、日本EVクラブの協力のもとコンバートEVを製作したことがある。ベース車両はダイハツ・ミゼットIIという1人乗りの軽トラックで、一般的な乗用車用の12V鉛バッテリーを荷台に10個直列搭載していた。フル充電しても50km程度しか走れず、まただんだんとパワーダウンしてくるので、たいへんだったし、充電にもかなりの時間がかかったが、トルキーで静かな走りには感動していた。荷台にバッテリーを搭載したので重心が高く、コーナーではちょっとおっかなかったのも甘酸っぱい思い出だ。

 ところが日本EVクラブでは、ミゼットIIをベースにリアサスを独立懸架にして、バッテリーを床下に搭載できるよう大改造したコンバートEVも製作。すさまじく低重心化されたので、サーキットで走らせても痛快なハンドリングに仕上がっていた。きっと近い将来はEVの時代がきて、メーカー製のモデルはみなバッテリーを床下搭載するからハンドリングがいいんだろうなと想像していたが、その通りになってきている。

 以前のコンバートEVは鉛バッテリーなどを使っていたので性能が低かったが、いまは自動車メーカーのEVと同等の高性能なリチウムイオンバッテリーが比較的容易に入手できるようになった。クラシックカーを末永く愛でていくための手段として魅力的なものになったのだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
motorsport.com 日本版
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
motorsport.com 日本版
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
AUTOSPORT web
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
Auto Messe Web
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
AUTOSPORT web
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
VAGUE
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
くるまのニュース
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
WEB CARTOP
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
motorsport.com 日本版
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
レスポンス
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
motorsport.com 日本版
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
AUTOSPORT web
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

3件
  • 近い将来ガソリン車が乗れなくなる・・としたって、コンバートEVが500万~・・・だとキツイなあ・・・・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.0451.0万円

中古車を検索
リーフの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.0451.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村