12月にウズベキスタンのタシュケントで行なわれるFIA総会にて、FIAの次期会長が選出される。ただ、現職のモハメド・ベン・スレイエム氏を退けようとする対立候補の望みはほぼ絶たれたと言える。彼らはいずれも立候補要件のひとつとなるリストの提出ができない見込みだからだ。
アラブ首長国連邦出身、63歳のベン・スレイエム氏は2022年から4年の任期を終えるところで、2期目の当選を目指している。その他に立候補を表明したのは、元F1スチュワードのティム・メイヤー、スイス人女性レーサーのローラ・ヴィラール、そしてベルギー人TV司会者のヴァージニー・フィリポの3人だ。
■カルロス・サインツSr.がFIA会長選挙への出馬を辞退。“お騒がせ”ベン・スレイエム現会長続投の可能性高まる
候補者は10月3日から24日までの間に立候補を提出する必要があり、その際には併せて“会長リスト”なるものを提出しなければならない。このリストには評議会議長、自動車モビリティおよび観光担当副会長、競技担当副会長といった会長と共に働く主要ポストに就く人たちのチームを記載しなければいけない。
その中の競技担当副会長は7人指名する必要があり、その内訳はヨーロッパから2人、残りの地域(中東・北アフリカ、アフリカ、北米、南米、アジア太平洋)からそれぞれ1人ずつと定められている。
上記ポストの候補者は、複数の会長リストに名を連ねることはできず、全員が世界モータースポーツ評議会(WMSC)の候補資格を持つ必要がある。そのWMSC候補者リストが公開されたが、重要なのは南米地域の代表が1名しかいない点である。
その1名とはブラジル人のファビアナ・エクレストン。かつてF1の最高責任者バーニーの妻だ。彼女は現在もベン・スレイエム氏の下で南米担当副会長を務めており、彼の再選チームにも名を連ねている。したがって、他の候補者はそもそも要件をクリアしたリストを組むことができないのだ。
WMSCの候補者はASN(各国のモータースポーツ統括団体)から推薦される。FIAは6月13日付でASNに書簡を送り、9月19日を候補推薦の締切としたが、すでに期限が過ぎているため、ここから新たに南米代表を追加することはできない。
FIAの規定によると、WMSC候補者は選挙日当日に75歳未満でなければならず、職業倫理に疑義を生じる経歴があってはならないとされている。要するに、メイヤー氏ら対立候補は南米の関係者を期限内に確保できなかったか、あるいは推薦したもののFIAによって却下されたかのどちらかである。
南米での盤石な支持基盤
機密保持のためFIAは詳細を明らかにしていないが、今年5月にすでにこの結果を示唆する出来事が起きていた。
ラリー界のレジェンド、カルロス・サインツSr.が会長選への関心を表明。最終的には出馬を見送ったものの、レース界で著名な彼の動きはメディアからの関心を集めた。
その数週間後、スペイン語圏にある36のFIA加盟団体およびアメリカ大陸の自動車クラブが連名でベン・スレイエム再選を支持する書簡を送付。エクレストン夫人もそこに署名していた。
特筆すべきは、南米11ヵ国の連盟会長全員がその書簡に署名していたことだ。これによりベン・スレイエム氏の対抗馬たちは、南米の連盟を説得し支持に回ってもらうことが事実上不可能となった。支持を得られないということは、WMSCに候補者を擁立することも不可能ということだ。
実はメイヤーは最近、自身の選挙運動において支持を集めるために南米を訪問している。彼は自身のサイトに「チリ、ボリビア、アルゼンチンにある我々(FIA)の加盟クラブを訪ねるべく、南米で忙しい日々を送った。各国で温かく迎えられ、地域ごとに異なる課題に対してFIAが独自の解決策を提供する必要があると再認識した」と記していた。
しかし、ベン・スレイエム氏がアジアやアフリカでも強力な支持を得ていることから、メイヤーは当初から苦戦を予想していた。FIAの149の加盟国はそれぞれ同等の投票権を持ち、モータースポーツ部門とモビリティ部門に分かれているが、現会長は多くの加盟クラブを味方につけていたのだ。
メイヤーは7月にこう述べていた。
「加盟クラブが価値を感じ取れることが重要だ。正直に言えば、モハメドは彼らのために何ができるかの説明が上手かった。しかし彼はそれを一部のクラブだけではなく、組織全体に対して行なう必要がある」
賛否両論の1期目
ベン・スレイエム氏の支持者たちは、彼が強力なリーダーシップを発揮し、コロナ禍後のFIA財政を立て直したと評価している。一方で、その統治手法には批判も多い。
今年3月、モータースポーツUKのデビッド・リチャーズ会長は公開書簡でベン・スレイエム氏を批判。FIAの統治構造が不透明になり、権限が会長個人に集中していると指摘していた。
この書簡が出されたのは、FIAの要職に就く人物が続々と組織を離脱していた時期。メイヤーもそのひとりであり、他にもCEOのナタリー・ロビン、テクニカルディレクターのティム・ゴス、スポーティングディレクターのスティーブ・ニールセン、コンプライアンス責任者のパオロ・バサーリ、女性モータースポーツ委員会会長のデボラ・メイヤーら数々のスタッフがFIAを辞任、もしくは解任となっていた。
さらに4月には、競技担当副会長ロバート・リードが「統治基準の崩壊」および「正当な手続きを経ずに重大な決定が下されている」として辞任。6月にはベン・スレイエム会長主導でFIA憲章及び倫理規定が改正され、会長の影響力がさらに強まったと共にWMSC候補者の審査プロセスが厳格化された。
FIA側はこの変更について、「統治と機密保持のプロセスを強化するためのもの」と説明。WMSCメンバーの指名を慎重に検討することで、選挙の一貫性と厳格性を保つとしていた。
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