■実用化に向け進化したe-Paletteを公開
トヨタは、未来のモビリティサービスを実現するAutono-MaaS専用EV「e-Palette」の実用化に向け、そのサービス提供を支える運行管理システムを公開しました。
また、トヨタはさまざまなパートナーとともに、2020年代前半の複数エリア・地域での商用化を目指すとともに、あらゆるモノやサービスがつながる実証都市「Woven City」での運行も計画しているとしています。
【画像】これがトヨタの描く未来? 走る!e-Paletteを見る!(41枚)
e-Paletteは、2018年1月のCESにて、同社の代表取締役社長・豊田章男氏がモビリティカンパニーへの変革を宣言した際に、「クルマの概念を越えて、お客様にサービスを含めた新たな価値を提供できるモビリティの象徴」として発表されました。
2019年の東京モーターショーでは、自動運転の機能を備えた車両を披露し、2021年7月に延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック大会では選手村内で巡回するバスとして、選手や大会関係者の移動をサポートする予定だといいます。
さらに、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大により人々の生活様式が変化し、「人と接触せずに移動する」、また「人が移動するのではなく、モノやサービスが来る」など、モビリティへのニーズは多様化しています。
また、少子高齢化に伴うさまざまな移動の課題に対して、e-PaletteをはじめとするAutono-MaaS(Autonomous VehicleとMaaSを融合させた造語)などの新しいモビリティサービスが社会に必要とされる機会が増えてくるという社会全体のニーズの変化が予想されます。
今回、公開された運行管理システムは、それらの期待に応えるため、「必要な時に、必要な場所へ、時間通りにいける」また「必要な時に、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される」というジャスト・イン・タイムなモビィリティサービスの実現を目指すトヨタ生産方式の思想に基づいたものです。
この運行管理システムは、「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」の新たな機能として、クルマとつながる“Autonomous Mobility Management System(AMMS)”とヒトとつながる“e-Palette Task Assignment Platform(e-TAP)”で構成されています。
これにより、ユーザーの待ち時間短縮や混雑緩和が可能となり、安全・安心で快適な移動をサポート。
AMMSは、TPSによる究極の“ジャスト・イン・タイムモビリティ”を目指し、「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」e-Paletteを配車。
リアルタイムの移動ニーズに基づき運行計画をフレキシブルに変更し、自動で車両を投入・回送します。
追加投入によって生じる運行間隔のバラツキを防ぎ、等間隔ピッチでの運行を実現。
また、車両の異常を自動で検知した場合、自動で車庫へ回送し、代替車を即座に運行ルート上に投入することで安定した運行を支えるといいます。
さらに、緊急時には遠隔での車両停止/復帰が可能であり、二重で安全管理ができ、ユーザーがより安心して利用可能です。
トヨタのコネクティッドカンパニーのプレジデントである山本圭司氏は、次のように述べています。
「先日の決算発表で社長の豊田がトヨタフィロソフィーとしてご紹介した通り、我々のビジョンは『可動性を社会の可能性に変える』であり、『幸せを量産するために、トヨタに働く一人ひとりが、人類の幸せにつながる行動を起こすこと』だと考えています。
これを実行する基盤のひとつがe-Paletteです。運行管理システムにより進化したe-Paletteは、未完成で常に成長し続ける街『Woven City』で鍛えられ、共に成長し続けます」
■話題の「Woven City」でもe-Paletteを展開!
e-TAPは、TPSにおける“自働化”の考え方に基づき、「目で見る管理」を導入しました。
これは、車両やスタッフの「異常の見える化」により、車両を一人一台常時監視するのではなく、一人で複数台管理をすることができるため、限られたスタッフでの運行を可能にします。
搭乗員、保守員など、運行に必要なスタッフに対し、自動的に作業指示をおこない、遅れ/進みなどのタスク管理を実現することで、メンテナンスのリードタイムを短くでき、限られたスタッフでも高品質なサービスを提供することが可能です。
また、静岡県裾野市に設置される実証都市「コネクティッド・シティ」の「Woven City」では、人を中心に据え自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを導入・検証する実証都市であり、e-Paletteはそこでの運行を計画しているようです。
トヨタは、今後の展開について、次のように説明しています。
「人々が生活を送るリアルな環境のもとで走らせることでさまざまな学びを得ながら、お客さまにより安全・安心・快適なサービスを提供できるよう、進化を続けていきます。
また今後、パートナーの皆様に支援を頂きながら、2020年代前半の複数のエリア・地域での商用化を目指していきます」
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