大ヒットSUVのヴェゼルに念願のRSが設定された。2モーターハイブリッドの俊敏さと、RS専用チューニングが生むキレ味をまとい、全高は1545mmを達成。近年問題になっている立体駐車場のハードルをクリアして、都市ユーザーに寄り添う。
文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】ヴェゼルRSはスポーティな内装もウットリ!! 低くなったボディと合わせてご覧あれ!!(7枚)
キモは低さとRS専用の味付け
ホンダの屋台骨であるコンパクトSUV、ヴェゼルに大本命RSが帰ってきた。ベースはe:HEV Z。そこに専用ローダウンサスペンションと電動パワステの専用ソフトまで作り込む本気っぷりだ。
ステアリングを切った瞬間の応答のよさ”を高めるため、バネやダンパー特性を詰め、路面をいなすセッティングで操縦安定性とリニアリティを磨き上げたという。
さらに今回は、先代RSにはなかった初の4WD設定を用意。北海道や東北のように4WD比率が9割超の地域では、まさに待望の一手だ。ブランドとしての「走りの矜持」と生活の実利を、1台でつないだのがこのRSである。
デザインテーマはアーバン・スポーツ。専用グリル、ダーククロームのバンパーモール&ドアロアガーニッシュ、ブラックドアミラーで精悍に。
室内は黒基調に赤のアクセント。本革巻きステアリングや各部のレッドステッチ、インパネ&ドアのレッドガーニッシュ、そしてラックス スェードコンビシートが触れてわかるスポーティテイストを演出する。
都市のリアルに刺さる全高1545mm
都市でクルマを持つ最大の関門のひとつが機械式立体駐車場。ヴェゼルRSは全高1545mmに抑え、「入庫可能」ゾーンを一気に広げた。実際、都市部の駐車場では1550mm以下枠が空いていても、背高SUVはハネられがちだ。
また地方でも、古い仕様の立体駐車場は1550mm超が非対応というケースが多い。そうなると、どれだけヴェゼルに興味があっても、そもそも選択肢から外れてしまう。
そんな近年のあるある問題を、RSはズバッと解決。先行受注の声でも「立駐に入りたいからRSを指名」という層が約2割いたという。これは数字以上に大きな意味を持つ。さらに、全高1540mmだったジェイドRSからの乗り換えユーザーも多いとのことだ。
スポーティと実用性の二刀流
加えて、「低い=走りが良い」はクルマ好きの共通言語。投影面積の低減は燃費に、重心の低さは安心感に効いてくる。RSは背の低いSUVという武器で、運転好きの心と毎日の暮らしの両方を射抜いてくる。
平日の街中で流してみると、e:HEVの滑らかさと電気のトルクで押し出す気持ちよさに、RS専用の足回りとステアリングが重なって、日常速度域から楽しさが立ち上がるキャラクターが伝わってくる。
比較車両としてZグレードも試乗したが、RSのほうが乗り味はしなやか。スポーツ性だけに寄らず、街中での“ちょうどいい”を具体化したフィーリングこそ、RSが伝えたいメッセージだと思う。
11月3日時点で受注台数は2644件。年間計画は1万台(=月800台)だが、この勢いなら早期達成も現実味がある。コアターゲットは30から40代の「ひと味違う」を求める層。スポーティと実用という二面性は、まさにこの世代のリアルにフィットする。
機械式立駐をクリアする1545mm、専用チューンの気持ちよさ、そして追加された4WDの安心感。数字で語れて、乗って熱くなれる。低いSUVはやっぱりいい。ヴェゼル e:HEV RSは、そのシンプルな真理を今日の都市に最適化して届けてくれる。
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ヴェゼルRS=400万円弱
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