ツーリングカー大国アルゼンチンの人気シリーズ、スーパーTC2000の第9戦が同国最大の国際サーキット、テルマス・デ・リオ・オンドを舞台に開催され、土曜クオリファイレース、日曜フューチャーレースともに現役王者のファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT)が勝利し選手権首位に肉薄。2位にはチームメイトのリオネル・ペーニャが続き、ルノースポールが2戦連続ワン・ツー・フィニッシュを飾った。
土曜予選レースのグリッドを決めるセッションで、見事にポールタイムを刻んだディフェンディングチャンピオンは、9月22~23日の開催ながら30度を超える酷暑のコンディションをモノともせずレースをけん引。フロントロウに並んだペーニャとともに、ブラック&イエローのワークス・ルノー勢が集団をコントロールしていく。
STC2000第8戦:雨の市街地ナイトレースはルノー・フルーエンスGTが勝利
一方、セカンドロウに並んでいたシボレーYPFのベルナルド・レイバー(シボレーYPFクルーズ)と、TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラ)はターン2でポジション争いを展開し、カローラのロッシがアウトサイドから並びかけ強引に前に出ることに成功。
しかしこの動きに乗じた選手権リーダー、5番グリッド発進のアグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)がインサイドから抜け出し、一気に2台の前3番手に浮上してくる。
全9周の予選レースは、4周目にトヨタのダミアン・フィネンチ(トヨタ・カローラ)とプライベーター・ルノーがターン7で絡みセーフティカー(SC)が導入されたものの、リスタートも無難にこなしたアルドゥソがトップチェッカー。2位ペーニャ、3位に2016年王者カナピノの表彰台に。
4位にトヨタのロッシ、5位にチーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナのマリアーノ・ウェルナー(プジョー408)、6位にシボレーのレイバーが続く結果となった。
このリザルトをもってグリッドが確定した日曜フューチャーレースは、気温35度と前日に続いて厳しい暑さのもとでスタート。23周のうち1度以上のピットインと“1輪以上のタイヤ交換義務”が勝負の条件となった。
ポールシッターの王者アルドゥソのルノーは酷暑による高い路面温度にも助けられ、序盤からスパート。一方、フロントロウのチームメイト、ペーニャのフルーエンスGTは3番手のシボレー、カナピノから執拗なプレッシャーを受け、オープニングラップの後半セクターではテール・トゥ・ノーズでの密着バトルに。ターン12ではとうとうバランスを崩し、2台ともにハーフスピンで失速を喫する肉弾戦を繰り広げる。
この動きにも助けられ、首位アルドゥソがみるみるギャップを拡大していくと、5周目には早くもピットウインドウがオープン。すると6番手を走っていたシトロエン・トタルのホセ-マヌエル・ウルセラ(シトロエンC4ラウンジ)を皮切りに、レイバーのシボレーYPFクルーズら4台が続々とピットへ。
続く6周目にはプジョーのウェルナーが5番手でピットへと向かうが、作業を終えてボックスを離れたところでアクシデントが発生し、ファストレーンを走行中だったマティアス・ミラ(シトロエンC4ラウンジ)にヒットし180度スピン。ピットエリア内でマシンが進行方向と逆を向く事故を引き起こし、3周後にブラックフラッグが振られることに。
さらに元WTCC世界ツーリングカー選手権レギュラーであり2014、2015年のSTC2000王者でもあるネストール・ジロラミ(プジョー408)がピットへと向かうも、こちらはホイールガンがスタックするトラブルで貴重な時間を失ってしまう。
その後、アンダーカット狙いの中団勢から少し間をおいて11周目にトヨタのロッシが。13周目にシボレーのカナピノがピットへと向かい、それぞれフロントタイヤ2輪のみ交換でコースへと復帰。その動きを見て14周目に首位アルドゥソが満を持してピットへと向かうと、ライバル勢に合わせてフロント2輪のみのチェンジで戦列へと復帰していく。
そして王者のチームメイト、ペーニャのルノーは引っ張りに引っ張って最後にピットへと向かうと、30.7秒の制止時間というこの日全体最速の作業でピットアウト。しかしコース上でのポジション争いは、アウトラップで攻めたアルドゥソが逆転を許さず、前日をリピートするかのようなワン・ツー・フィニッシュ。
トップバッターでピットへと向かい上位に進出していたシボレーのレイバーは、終盤に右リヤが悲鳴を上げバースト。なんとかコントロールを維持したものの2度目のピットを強いられることとなり、最後の3位表彰台にはトヨタのロッシが滑り込んだ。
これでアルドゥソは選手権首位のカナピノに対し2ポイント差に詰め寄り、173対171ポイントとし、残るは3戦。10月7日開催の第10戦サン・ニコラスは、首都ブエノスアイレスの北200kmに完成したばかりの新設トラックとなり、誰にとっても初戦という未知の1戦となる。
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