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ヤマハ新型XSR900開発陣インタビュー「2代目のテーマは、乗り味でも歴史を表現できるか?」【コンセプト編】

2代目に進化したヤマハ XSR900

2016年モデルとして登場した初代XSR900。スポーツネイキッド MT-09をベースに、丸型ヘッドライトやティアドロップ型タンクを組み合わせ、XSR700とともに「ネオレトロ」というスタイルを確立した。
そのXSR900が初のフルモデルチェンジを受け、2022年モデルとして登場。日本では6月30日から発売開始となる。

【画像15点】「80年代のYZR500がヒントに!」ヤマハ新型XSR900を写真で解説

よりレトロなイメージが強調されたデザインとなったが、エンジンや車体は現行型MT-09がベース。スポーツ性能も高められている。
それでいて興味深いことに、開発陣によれば「乗り味にもヤマハの歴史を表現できないか」というのが2代目XSR900開発の発端としてあったそうだ。一体どういうことなのか。
以下、開発チームの6名に話を伺った。

*当記事は八重洲出版『モーターサイクリスト2022年4月号』を再編集・再構成したものです。

安田将啓さん
クリエイティブ本部プランニングデザイン部。先進国、アセアン、中南米向けモデルのデザイン企画を担当。先代TMAX、NIKEN、2代目MT-09や初代XSR900、最新のMT-09やトレーサー9GTを手掛ける。ひと目ぼれされるようなヤマハデザインの企画が目標。

益崎達男さん
MC事業部GB統括部。国内営業を経て、スペインでの駐在を経験。その後は商品企画として欧州向けモデル全般のマーケティングおよび商品開発を担当している。「小排気量でもいいので二輪の本質的な楽しみを若者が味わえるモデルの提供」の実現が夢。

大石貴之さん
PF車両ユニットPF車両開発統括部/プロジェクトリーダー。これまでに、YBR125、FZ15、YS250、FZ25など主に新興国向け小型ストリートモデルの車体設計、およびプロジェクトリーダーを担当。「手に届く価格で魅力的なバイクの開発」がモットー。

野原貴裕さん
PF車両ユニットPF車両開発統括部/車体設計プロジェクトチーフ。外装設計や車体設計を担当。これまでMT-09 トレーサーやクルーザーのスターベンチャー、2代目および最新のMT-09などを手掛けた。現在は電動バイクの魅力的なパッケージを思案中。

松本 亮さん
MC事業部GB統括部。XT1200Zスーパーテネレや初代MT-09およびMT-07 などでマーケティングを、海外営業部、カナダ駐在時もマーケティングを担当し、現在はマーケティングコミュニケーション全般を担当。「ヤマハ車の数字に表れない魅力をお客様に具現化」が身上。

瀬戸正毅さん
PF車両ユニットPF車両開発統括部/車体設計プロジェクトチーフ。欧州駐在時にテネレ700やXSR700、MT-07トレーサーの車両実験を担当。初代XSR900、MT-09やMT-10などでは車体実験をまとめるプロジェクトチーフに。ヤマハ的乗り味の追求が自身のテーマ。

新型XSR900が追求したのは人機官能なカタチの具現化

──そもそものXSR900のコンセプトと、新型を開発するにあたって、そのコンセプトから何を継承し、何を新しくしたのかを教えてください。

益崎 「XSRのコンセプトを分かりやすく表現すれば、それは普遍的なスタイリングと新しい走行性能や機能を組み合わせて、新しい価値を持ったバイクを造ることでした。スタイリングにおいては、過去のヤマハスポーツモデルのデザイン要素を反映しながら、車体を構成する各パーツの本物の質感、金属パーツの素材感を大事にしているところが特徴です」

安田「新しい価値を提供するという最初のミッションは、達成できたと感じています。当時は、一過性の流行ではないかと見方もありましたが、多くのライバルが参入し、その中のいくつかはモデルチェンジやモデル拡充を行い、それによってネオクラシックはひとつのカテゴリーとして確立されました。
その中で、ヤマハは先陣を切ってこの市場を開拓したこともあり、時間の経過とともにXSRのメッセージ性がその中に埋もれてしまいました。そこで、もう一度我々が伝えるべきメッセージやストーリーへと立ち返り、新型XSRを開発すべきではないか、と考えたのです。
伝えたいこと自体は初代からそれほど変化していません。しかし、もう一度原点に立ち返り、今やるべきこと、未来に引き継ぐべき原点は何だろうかと再考しました。また、我々が作り上げたカテゴリーが確立されたことで、我々はそれを育てていかなければならないという使命感が強まったのも根底にあります」

松本「新型XSR900では、ヤマハの挑戦の歴史と『ヘリテージ』を表現すると決断しました。ただ我々を含め、ヤマハの社員はヤマハの熱狂的なファンであるので、ヘリテージの捉え方が個人的でバラバラです。
そこで、我々が意図する『ヘリテージ』とは、ヤマハが創造し、後世に残すべき価値であるものと再定義したのです。それは単に昔を懐かしむのではなく、ヤマハの文化であり思想であり歴史を、スポーツライディングから街乗り、そして磨いたり眺めたりという、普遍的な楽しみ方を長く実現できるバイクを、最新の技術で表現する、と」

安田「 MT-09のプラットフォームを見直したときに気付いたんです。新たに設計したフレームは、 1980年代にヤマハがロードレース世界選手権(WGP。現在の MotoGP)を戦うために開発した車両に使っていたダイヤモンド型フレーム、我々はそれをデルタボックスフレームと呼んでいましたが、それにルーツがあると……。
これは我々の表現したいこと、つまりヤマハの文化、歴史、思想であり、ヘリテージだと。当時のエンジニアたちが魂を込めて、いかに速いバイクを作るかを考えに考え抜いた結果生まれた技術、それに裏打ちされたカタチなのです」

益崎「デルタボックスフレームが登場したのは、1982年春にザルツブルグで行われたWGPオーストリアラウンド。GP500クラス用のヤマハのファクトリーマシン YZR500に初めて採用しました。そのフレームは、形状的にはダイヤモンド型でしたが、ヘッドパイプ上下とスイングアームピボットを直線的に結ぶと三角形(=デルタ形)であり、フレームのメイン部材の断面が箱型(=ボックス型)であったことからデルタボックスと名付けました」

大石「前輪の荷重を受けるヘッドパイプと後輪の荷重を受けるピボット軸を三角形につなぎ、エンジンを高い剛性で保持することで合理的な剛性バランスが可能となりました。ゆえ、クイックなハンドリングと高い走行安定性を引き出すことができたデルタフレームによって、YZR500は飛躍的に進歩したのです。1985年以降は排気量を問わず、スーパースポーツモデルに熟成を進めながら採用しています。市販スポーツバイクのポテンシャルを高め、そのカタチも大きく変化させたのです」

安田「参考にした形で言うと1980年代のYZR500が出てきますが、形をトレースしたいわけではありません。当時のエンジニアがどう考えて、どうあのYZR500の形に行き着いたのか。その想いややり方を継承し、世に伝えたかったのです。そしてそれをMT-09のプラットフォームに乗せたとき、最も人機官能な形とはどのようなモノか。その答えが新型XSR900というわけです」

従来型XSR900同様、新型もMT-09をベースに開発されているが、それを「外装が違うだけ」と捉えるのは大きな間違いである。
1980年代のレーシングマシンをイメージしたというライディングポジション、ポジションに合わせた操縦性など、XSRらしい乗り味=個性が造り込まれているのだ。
同車用に新開発したリヤフレームの採用なども、その一例といえるだろう。

ヤマハ XSR900主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:78.0mm×62.0mm 総排気量:888cc 最高出力:88kW(120ps)/10000pm 最大トルク:93Nm(9.5kgm)/7000rpm
[寸法・重量]
全長:2155 全幅:790 全高:1155 ホイールベース:1495 シート高:810(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:193kg 燃料タンク容量:14L
[車体色]
ブルーメタリックC、ブラックメタリックX
[価格]
121万円

レポート●河野正士 写真●河野正士/ヤマハ

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