■GRが提案する“プロドライバーから走りを学ぶ場所”
トヨタのスポーツブランド「GR」は、2017年の発足以降、モータースポーツ活動で培った技術やノウハウを直接フィードバックした数多くのスポーツモデルを発売しています。その実力を最大限に引き出すためには、ドライバー自身の運転スキル向上が欠かせません。
【画像】超本格的! これがトヨタ新「GR・本気の運転教室」リアルな体験風景です! 画像を見る!
そこでGRが打ち出した答えが、クルマを売るだけに留まらず、走らせる“場”も提供する「GRドライビングエクスペリエンス(以下:GRDE)」です。
現役プロレーシングドライバーを講師に迎え、運転スキルに応じて受講できる体験型ドライビングレッスンですが、2026年4月に大幅リニューアル。一般募集に先駆けて、筆者(山本シンヤ)が体験してきました。
GRDEは昨年まで、「ベーシック」と「アドバンス」の2種類が全国のサーキットでスポット開催されていました。
しかし、ドライビングレッスンと言いながらも“体験”要素が強く、継続性やステップアップ要素が不足しているといった課題もあったそうです。
そこで新プログラムでは、開催場所を「モビリタ(富士スピードウェイ内のトヨタ安全運転センター)」に集約。
安全にクルマの限界を引き出せる環境で、段階的にスキルアップできるプログラムへと生まれ変わりました。
内容は、「憧れのプロドライバーから直接アドバイスを受けられる」「スポーツ走行初心者でも安心してスキルアップできる」という魅力はそのままに、体験コース(クルマの基礎を学ぶ)から始まり、GR4級(運転の基礎を学ぶ)、GR3級(車両挙動を学ぶ)、GR2級(車両挙動を操る)、GR1級(実践訓練)へと、段階的にレベルアップできる5つのメニューを用意しています。
ちなみに、体験コースからGR3級までは自分の愛車で参加可能ですが、GR2級とGR1級は条件を揃えるため、トヨタ「GR86」のレンタカーを使用。
今回はメディア向けGR3級/GR2級を各30分に短縮した特別バージョンで、教習車にはGR86が用意されていました。
GR3級では、モビリタ内の低μ路(雪上と同程度の滑りやすい路面)でアンダーステア/オーバーステアを学びます。
筆者の担当講師は、KYOJO CUPやFIA-F4選手権に参戦する翁長未希選手。参考までに他の講師との違いを聞くと、「褒めて伸ばすタイプです」とのこと。
まずは助手席に同乗し、お手本を見せてもらいます。翁長選手はオーバーステアを実に上手くコントロールしながら、丁寧に説明してくれます。
レッスンは、1人でコースを走行し、講師が管制塔やコース脇でチェック、無線でリアルタイムに個別アドバイスを送るという流れ。
いちおう、わたくし運転にはそれなりの自信がありますが、「モータージャーナリストって思ったより運転ヘタですね…」と思われてはマズいので、妙な緊張感の中で走り始めます。
ドリフトコントロールに関してはお褒めの言葉をいただきましたが、オーバースピードで進入すると、「突っ込みすぎなので、次のコーナーで挙動が乱れますね」と即座に指摘。
一般的なドライビングレッスンでは、走行後に総評としてフィードバックされることが多いですが、GRDEでは「今、失敗」「今、成功」がリアルタイムで分かるので、次の周回ですぐ修正できます。
ある程度周回を重ねると、翁長選手から「では、タイムを計測します」と一言。当然、ドリフトさせるとタイムは伸びないので、ドリフトさせない走り、つまりグリップ限界ギリギリを使うことを意識しますが、逆にそれが難しい。
タイム計測で冷静さを欠き、ブレーキングで突っ込みすぎ、挙動を乱し、前に進まず、結果的にタイムが出ないという、自身のメンタルの弱さを暴露する結果になりました(汗)。
ただ、「あーでもない、こーでもない」と運転に没頭していると時間を忘れ、正直な感想は「もう終わり?」でした(笑)。
ちなみに筆者と一緒に参加した編集部員N氏は、最初はスピンを連発し、1周まともに走れない状態でしたが、15~20分のレッスンで見違えるほど上達(驚)。
参加者のスキルに合わせ、できるようになるまで的確に教えてくれるので、上達も早いのです。
■「操る」感覚を磨くGR2級
続いてGR2級では、モビリタの広い敷地に設置されたパイロンコースを走行し、クルマの限界を知り、実際に「操る」感覚を習得します。
コースはドライエリアとウエットエリアに分かれており、タイヤグリップやブレーキングの違いも体験可能です。
こちらの担当講師は、スーパーGTやスーパー耐久、GR86/BRZ CUPに参戦する井口卓人選手。
井口選手は以前から取材していましたが、教わるのは初めて。こちらも妙な緊張感の中でスタートです。
先ほどと同じく助手席に同乗し、お手本を見せてもらいますが、井口選手のドライビングも無駄がなく丁寧なのに速い。さらに「シンヤさんなら簡単だと思いますよ」と、プレッシャー付き(笑)。
今回は、直線、タイトコーナー、ヘアピン、S字、パイロンスラロームなどを組み合わせたコースでしたが、個々のコーナーは上手く走れても、なかなか1周を通してまとめられません。
すると即座に無線で、「先のコーナーを考えた走りを!」「もっと遠くを見て!」とアドバイス。
講師からかなり離れた場所でも、まるで助手席に座っているかのような細かな指摘とレクチャーに驚かされます。
こちらでも「今、失敗」「今、成功」がリアルタイムで分かるため、次の周回ですぐ活かせるのが大きな魅力です。
今回走って意外だったのは、ドライ→ウエットよりも、ウエット→ドライのほうが失敗が多かったこと。
井口選手は、「ドライ→ウエットは“守り”に入る運転になりますが、ウエット→ドライは『イケるよね』とグリップを過信しやすいんです。しかもタイヤも冷えているので、最初のコーナーは特に気をつけましょう」と教えてくれ、納得。これは日頃の安全運転にも直結する教訓でした。
こちらも30分はあっという間。速度域も高く操作量も多いため、終了後はスポーツをした後のような心地よい“汗”もかけました。
走行後、井口選手に「マジでちゃんと走れていましたよ」と褒めていただき、別の意味でホッとしました。
ちなみに編集部員N氏は、こちらでは発進時にエンストし、講師陣から「大丈夫?」と心配されていましたが、周回を重ねるごとにみるみる上達。
井口選手も「最初と全然違うし、最後なんてプロみたいなブレーキングだったよ!」と、その伸びしろに驚いていました。
総じて言うと、GRモデルのオーナーはもちろん、クルマ好きならぜひ受講してほしい内容です。
運転が上手くなれば、愛車が持つ“個性”や“能力”をより深く理解でき、走りはもっと楽しくなります。
そして何より、「限界域を知る」ことは「安全への意識」に直結します。安全な環境で危険を体験するからこそ、公道で無理な運転をしなくなるし、仮に危険な状況になっても回避できる運転につながると思います。
モリゾウこと豊田章男氏が語る「プロドライバーは究極の安全運転」という言葉の本質を、この新生GRDEでぜひ体感してください。
ちなみに価格は、GR4級が3万8000円、GR3級が4万8000円、GR2級が9万8000円、GR1級が12万8000円。
どれもドライビングレッスンとしてはリーズナブルな価格設定ですが、GR2級とGR1級はクルマレンタル・タイヤ・燃料代込みと考えると、採算度外視かもしれません。
最後に一言。自己流で悩むより、プロから学ぶのが上達への最短ルートです。(山本シンヤ)
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ただトップドライバーは悉く公道で刺さってるけどね。