車のニュース [2026.04.06 UP]
i3に投入されたBMWの次世代技術を解説【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
文●石井昌道 写真●BMW
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BMWは3月18日にノイエクラッセ第2弾となる「i3」のデザインを公開した。
BMWの本拠地であるミュンヘンで行われた発表の場に行ってきたのだが、驚くほどに大規模で面食らった。メディア関係者だけではなくBMWの社員も招かれていて約4000人が参加。しかも数日に渡って開催されていた。単なる新型車発表ではなく、時代の“転換点”であることを強く印象づけるイベントとなっていた。
BMW i3ワールドプレミア
2023年に発表されたコンセプトカーから使われているノイエクラッセ(英語ならニュークラス)は車名ではない。次世代BMWの総称であり、再構築の概念やコンセプトだ。デザインや電動パワートレーン、プラットフォーム、E/Eアーキテクチャーなど、あらゆる面が刷新されている。その中核が「i3」だ。3シリーズの電気自動車バージョンという位置づけだが、昨年発売されたノイエクラッセ第一弾の「iX3」以上に大々的に盛り上げたということは、SUV全盛の時代にあっても、BMWの軸はあくまでセダンであるという意思表示でもある。そもそも「iX3」が先に発売となったのは、モデルサイクルのタイミングの他、背の高いSUVのほうがスムーズに開発が進んだという事情があるという。
BMW i3
新型バッテリーは円筒型セルを採用し、セル・トゥ・パック構造としている。一般的に円筒型セルは、耐久性や熱マネージメント、コスト面で優れる一方、隙間ができるので体積効率では不利とされる。しかし、セル→モジュール→パックという三元系リチウムイオンバッテリーでは一般的な手法ではなく、セル・トゥ・パックとしたことで弱点を解消し、パッケージング効率を高めている。結果として「i3」はWLTPモードで900km以上という一充電走行距離を実現した。正確なバッテリー容量はまだ発表されていないが、おそらく100kWhクラス。ちなみに「iX3」のバッテリー容量は108kWhで800kmとなっているが、低全高用のバッテリーパックは薄型なので、容量は少し低いだろう。近年のBEVの一充電走行距離は700km級も増えてきたが、ノイエクラッセは明確にトップレンジと言える。
BMW i3
注目は集中型ECUとした新しいE/Eアーキテクチャーだ。“スーパーブレイン”と呼ばれる4つの統合ECUによって、ドライビング・ダイナミクス、自動運転、インフォテインメント、ベーシック&コンフォートなどのドメインごとに集中制御する。処理能力は従来比で最大20倍に達するという。BMWファンにとって嬉しいのは、これによって走りが大きく進化することだ。例えばDSC(横滑り防止装置)などの制御は約10倍も早くなるという。
ノイエクラッセからは“Heart of Joy”と呼ばれる車両統合制御システムが加わる。駆動、制動(回生含む)、ステアリングアシスト、エネルギー管理などが一体化し、従来の分散制御で生じていた遅れを取り払う。起きた現象に対してフィードバックで制御するというよりも、最初から理想的な挙動をつくるアプローチとも言える。
発表会後に試乗した「i3」は、ドライバーの操作に対しての追従性が良く、すべての動きが滑らかで、無駄な修正がいらないなど、ノイエクラッセならではの走りを確認できた。
BMW i3
E/Eアーキテクチャーの刷新で実現したもう一つの目玉が新たなインフォテインメントだ。2001年から採用されているiDrive は、パノラミックiDriveへと進化。フロントガラス下部の室内幅いっぱいに広がるパノラミック・ビジョンに3Dアニメーションが投影される。ドライバーの眼前は速度計や燃料計など運転に必要なものが固定されているが、その他はカスタマイズ可能で様々なコンテンツを表示可能。さらに17.9インチのセンターディスプレイと3Dヘッドアップディスプレイで構成される。メーターやカーナビなどの情報を得るためのドライバーの視線移動は最小限に、運転中にステアリングから手を離しての操作もほぼなくなるという、iDriveが目指してきた理想を追ったものだ。
8代目となる新型3シリーズのトップバッターとなる「i3」は、スーパーブレインおよびHeart of Joyによって電気自動車であっても“駆けぬける歓び”を追求した、BMWらしいモデルだ。遅れて加わるエンジン搭載車の3シリーズも、同様のテクノロジーが採用されるので期待がもてる。ノイエクラッセは単に世代が新しくなるというだけではなく、BMWを再構築するための概念なのである。
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