海外専売モデルも合わせれば、40車種を超えるクルマを開発・販売し、2017年には、グループ全体の販売台数が世界第二位となった自動車メーカー日産自動車。
“技術の日産”をキャッチコピーに、軽自動車デイズからスポーツカーGT-Rまで、多岐にわたるクルマを世に送り出してきた日産。
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プロパイロット2.0やe-POWORなど素晴らしい技術をもつ日産が、どんなクルマでも作ろうと思えば作れるのだろうか。
元日産社員である筆者が日産には真似できないであろうクルマたちを考えてみた。
文:吉川賢一
写真:日産、スズキ、マツダ、トヨタ、ダイハツ、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】技術の日産によるクルマたち
スイフトスポーツからみる日産スポーツカー事情とは?
スズキ スイフトスポーツ
スイフトスポーツは、国産のスポーティなコンパクトハッチという今や絶滅危惧種ともいえるクルマである。モータースポーツへも積極的に参加し、ラリーやダートレースなどでもお馴染みだ。
日産にも、ノートNISMOやマーチNISMOといったスポーティグレードはあるが、あくまでその成り立ちが乗用車であり、スイフトスポーツの様な生粋のスポーツモデルではない。
また、日産はフェアレディZやGT-Rで、スポーツカーはビジネスにならないことを嫌というほど実感している。
これ以上、スポーツモデルに手を出すほどの冒険心は、日産にはないであろう。
ギネス世界記録を持つロードスターとの違い
言わずと知れたマツダを代表とするスポーツカーロードスター。
2015年にデビューした現行モデルの4代目を含め、累計販売台数は100万台以上、世界でもっとも売れた2シーターオープンカーとしてのギネス世界記録にも認定されているクルマだ。
※ロードスターは、2000年5月に 2シーターオープンカー生産累計世界一(531,890台)としてギネスに認定されている。2016年には生産累計100万台達成した。 (マツダ公式サイトより)
マツダ ロードスター
マツダロードスターと同様の2シーターオープンカーであったフェアレディZロードスターは、米国で細々と販売され続け、2019年モデルをもって廃止された。
両車を比べると、スポーツカーにとって重要である車重が圧倒的に違うことがわかった。
マツダロードスターが約1000kgに対し、V6 3.7リットルの大排気量エンジンのフェアレディZロードスターは1540kgもあった。クーペよりも50kg以上も重たい。
また、2000年から2002年までの短期間販売されていたS15シルビア(マニュアル車)も車重は1330kgであった。
尖った性能が無いように作りたい日産には、ロードスターのように割り切った軽量な車両は、絶対に開発できないであろう。
プリウスのようなハイブリッドカーは生まれるのか
トヨタ プリウス
日産にはe-POWERがあるから不要だと思われるかもしれないが、プリウスのような超高効率のハイブリッドシステムは、今でも日産が欲しいと思っている技術であろう。
現行型プリウスの燃費は37.2km/L(JC08モード)、日産ノートは34.0km/L(JC08モード)と、プリウスよりも車格が下なのに燃費性能が届いていない。
現行型ノートは2012年登場とすでに9年目に突入しており、そろそろモデルチェンジがなされるタイミングだ。果たして、次期型e-POWERでは効率をどれだけ上げられるのか、注目である。
売れる軽スーパーハイトワゴンは日産で開発されるのか
日産にもデイズルークスという車種が一応はある。
しかし、2014年に発売開始した現行デイズルークスは、三菱との共同開発(NMKV)であり、日産の開発が存分にかかったクルマではなかった。
2019年1月に登場した日産側が設計開発を担当した新型デイズ/デイズハイウェイスターは、静粛性が高く、走りの質感もあり、そこらの軽自動車たちを駆逐した勢いであった。
しかし、その後わずか半年ほどで登場したホンダのN-WGNはその上を達成しており、軽自動車の開発力では、日産はホンダに負けている。
軽自動車王者 N-BOX
数年後には、日産の息のかかったデイズルークスが登場予定だという。経験値の少ない軽自動車開発で、日産がどこまで王者N-BOXに迫れるのか?
今後、大変に面白い戦いになっていくだろう。
まとめ
経営危機で、グローバルでの従業員数の約10%にあたる人数の人員削減をし、モデル数もグローバルで10%を削減すると発表している日産。
筆者が日産に入社したときは、ゴーン元会長のもと、V字回復の真っただ中だった。
今回もきっと持ち直してくれるという願いをこめて、時には厳しい意見もさせていただきながら、日産に関する記事を書き続けていきたいと思う。
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