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アスファルトへ吸い付く低さ EJS-クライマックス(2) 1950年代のロータスへ劣らぬ仕上がり

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アスファルトへ吸い付く低さ EJS-クライマックス(2) 1950年代のロータスへ劣らぬ仕上がり

アスファルトへ吸い付くように低いボディ

エドウィン・ジョセフ・スナッシャー氏が作ったワンオフのスポーツレーサー、EJS-クライマックスが目前にある。歩み寄ると、そのコンパクトさへ驚かずにいられない。

【画像】1950年代のロータスへ劣らぬ仕上がり EJS-クライマックス 同時期の英国スポーツたち 全140枚

サイズ的には、1950年代のロータスMk VIIIへ近い。しかしテールフィンがないぶん、一層小さく見える。

アスファルトへ吸い付くように低いミストラル・ボディへ、スナッシャーは独自のディティールを与えた。ヘッドライトは、フロントフェンダー上へ据えられるのが一般的だったが、彼はそもそも装備しなかった。両サイドに、小さなマーカーランプが灯る。

サイドのエアアウトレットは、ミストラル本来のデザインだが、穴は開けられなかった。ウエストラインのストライプは、彼がペイントしたもの。ノーズのエアインテーク内に備わるヘッドライトと、ロールオーバーバーは、最近になって追加されたものだ。

長年放置された結果、エンジンは過熱しやすい状態とのこと。フロントのエアインテークは小さく、エンジンルームはほぼ密閉状態。冷却系が完璧な状態にない場合は、水温は簡単に上昇してしまう。

筆者が全力を発揮させられた時間は、あいにく限られた。操縦系は、レーシングカーらしくダイレクトで容赦ない。だが同時に、攻め込んでも不安を感じさせる要素はほぼない。

レーシングカー的な気まぐれさはない

バケットシートはタイトで、クラッチペダルは極めて重い。エンジンは即座に反応し、優しい発進を試みてもリアタイヤは軽く空転する。車重は405kgしかないが、ピットレーンの速度域ではステアリングホイールも重い。

クライマックス・エンジンは、しっかり回さないと充分なトルクを生まない。とはいえ一度走り出せば、レーシングカー的な気まぐれさはない。コーナリングはニュートラル。ボディロールは殆ど伴わない。

充分には開発が煮詰められていない、独自設計のサスペンションだから、高負荷時の特性にはある種の癖が現れる。しかし、スナッシャーのアプローチが正しかったことは、間違いないだろう。

EJS-クライマックスの走行距離は、800km程度だと推定されている。もっと走り込まれ、開発へ時間が割かれていれば、更なる修正は可能だったように筆者は感じる。

ブランズハッチ・サーキットのイベントで、どの程度のクラッシュに至ったのかは明らかではない。怪我は軽微なものだったとしても、恐怖は相当に大きかったのだろう。

彼は、優れたスポーツレーサーの創出に挑んだが、抜きん出たドライバーを目指したわけではない。ル・マン24時間レースの優勝経験を持つルイ・ロジエ氏が、1956年11月にスポーツカー・イベントで命を落としたことも、判断へ関係したように想像できる。

1950年代のロータスへ劣らない仕上がり

自分の理想のスポーツレーサーを作ることは、カーマニアにとって追い求めたい夢の1つといえる。1950年代のグレートブリテン島には、まさにその黄金期が到来していた。

技術的には、ガレージにこもって個人的に組み立てられるほどシンプルな水準ではあった。それでも、エンジンやトランスミッションなど、有能なコンポーネントを簡単に入手できた。現実的な予算で、充分な戦闘力を引き出すことは不可能ではなかった。

EJS-クライマックスには、大きな可能性を感じる。歴史への影響は小さくても、当時の羨むような環境と独創的な挑戦で体現された、出色のスポーツレーサーだといっていい。1950年代のロータスへ、劣らないくらい。

協力:ニック・アールダーリング氏、ギャラリー・アールダーリング社

番外編:コベントリー・クライマックスの4気筒

1903年にリー・ストロイヤー社として創業し、1917年に改称された自動車メーカーが、コベントリー・クライマックス社。その数年後にはエンジン製造へ軸足を移し、スポーツレーサーだけでなく、発電機や南極探検車まで幅広い動力源として活躍した。

その後、ジャガーのXKエンジンに携わったウォルター・ハッサン氏と、もとBRMレーシングチームのハリー・マンディ氏によって、英国で量産されていた4気筒と一線を画すユニットが生み出される。英国モータースポーツの、育ての親のような1基と呼んでいい。

それが、1955年のFWAユニット。FWとはフェザーウェイトの略で、重量は82kgと軽い。オールアルミ製のオーバーヘッドカム直列4気筒エンジンで、充分に温まらずとも高回転域での連続運転が可能だった。

その頃、ジョン・クーパー氏やコーリン・チャップマン氏といった錚々たる人物は、BMCやフォード由来のスチール製アンダースクエア・ユニットに代わるエンジンを望んでいた。彼らにとって、格好の選択肢になったことはいうまでもない。

排気量は1097ccで、最高出力はチューニング次第で77psから97psを引き出せた。クーパーやチャップマンは、1955年から1957年の3年間に、FWAユニットを搭載したマシンでル・マン24時間レースへ参戦。ロータスは、1956年に総合7位を果たしている。

F1での優勝も飾ったFWユニット

続いて登場した1460ccのFWBユニットは、F2用マシンに登用。744ccのFWCユニットはロータス・イレブンに搭載され、ル・マンのインデックス・オブ・パフォーマンス賞を獲得している。

FWDは、4気筒のディーゼルエンジン。ロータスがエリート用に1216ccの排気量で発注したものが、FWEユニット。最高出力は、106psまで引き上げることが可能だった。

FWMユニットは、ルーツ社へライセンス提供。ヒルマン・インプの動力源となり、40万基以上が組み立てられている。他にもツインカムのFPEユニットに加えて、F1用FWMV V8ユニットへ派生。クーパーとロータスで、優勝を勝ち取っている。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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