9月17日、トヨタは「カローラ」および「カローラ ツーリング」をフルモデルチェンジして、販売開始した。
カローラ(セダン)の2倍の売り上げを誇るステーションワゴン、カローラ ツーリングを試乗した印象をレポートする。
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【主要諸元(ハイブリッド W×B 2WD)】全長×全幅×全高:4495mm×1745mm×1460mm、ホイールベース:2640mm、車両重量:1390kg、乗車定員:5名、エンジン:1797cc直列4気筒DOHC(98ps/5200rpm、142Nm/3600rpm)+モーター(53kW/163Nm)、トランスミッション:電機子無段変速機、駆動方式:FWD、タイヤサイズ:215/45R17、価格:279万9500円(OP含まず)。W×Bのホイール(17インチ)はダークグレーメタリックの専用デザイン。歴代のカローラは、大衆車として成長してきた。しかし、カローラ ツーリングに乗ると、「新しい時代の大衆車とはなんだろう?」と、考えさせられるクルマだった。
近年、日本を含む自動車先進国の市場において、ステーションワゴンの人気は低い。かつて、注目を集めたステーションワゴンは今、SUVに人気を奪われている。
筆者は試乗会場で、「SUVにステーションワゴンが負けているという説もあるけれど……」と、カローラシリーズの開発を総指揮したトヨタ自動車の上田泰史チーフエンジニアに水を向けてみた。すると、上田チーフエンジニアは、必ずしも同意しなかった。
「使い勝手の面で、必ずしもSUVばかりが評価されているわけではありません。ことは欧州でも米国でも日本でも同じで、高い全高はいい面もありますが、車庫の高さなどの問題で、やはりステーションワゴンやハッチバックでないと…と、考えているお客さまは一定数いらっしゃいます」
ラゲッジルーム容量は通常時392リッター。通常時も9.5インチのゴルフバッグを4個積める。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。脱着タイプのトノーカバーは、簡単に取り外せる。リアシートのバックレストは、ラゲッジサイドにあるレバーを操作し、格納出来る。ラゲッジルームフロアは、表面がファブリック、裏面が樹脂製のリバーシブルタイプ。裏面(樹脂製)にすれば、濡れたり、汚れたりした荷物も気兼ねなく積める。ラゲッジルームのフロア下には、工具およびパンク補修キット、小物入れ用の収納スペースがある。筆者も、セダンやステーションワゴンの乗り心地のよさは好きだし、ハッチバックの機能性も高く評価している。都市部の立体駐車場(旧式)で苦労しないのも、上田チーフエンジニアの指摘とおりで、みすごしてはならない特長だ。
今回のカローラ ツーリングは、ステーションワゴン本来の使い勝手のよさを追求するとともに「30代のファミリーに乗ってもらい、クルマの楽しさを再発見してもらえたら」という思いのもと開発したという。実際乗ると、完成度の高いクルマだった。
プロスムーズの効果は絶大スタイリングは、ルーフの前・後長がたっぷりとられているいっぽう、サイドウィンドウ下端のいわゆるベルトラインが後ろのほうでキックアップしていることに注目したい。ゆえに、まとまりがよい。エレガントさとスポーティさのバランスがうまくとれていて、BMWのツーリングモデルをも連想させる仕上がりだ。
ボディは全長×全幅×全高:4495mm×1745mm×1460mm。ボディカラーはメーカーオプションのホワイトパールクリスタルシャイン(3万3000円)。走りも、期待を裏切らない仕上がりだった。「2ZR」というトヨタ自動車が長年熟成を重ねてきた1.8リッター直列4気筒エンジンとモーターを使ったハイブリッドモデルは、とりわけスポーティさを強く印象づける。それでいて、乗り心地はかなりよい。
ハイブリッド・システムは、72kW(98ps)の最高出力と142Nmの最大トルクを持つエンジンに、最大トルク163Nmを発揮する電気モーターを組み合わせている。リアにも駆動用モーターを積んだ「E-Four」と呼ぶ全輪駆動モデルもあるが、試乗したのは前輪駆動のグレード「WxB」だ。
W×Bはハイブリッド仕様のほか、1.8リッター直列4気筒ガソリン・エンジン、1.2リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンが選べる。ハイブリッド仕様が搭載するパワーユニットは、1797cc直列4気筒DOHC(98ps/5200rpm、142Nm/3600rpm)+モーター(53kW/163Nm)。加速はナチュラルで、伸びもよい。燃費は実際の使用状況にかなり近い「WLTCモード」でリッター25.6km/Lをうたう。が、たんなる燃費重視のモデルではないように感じた。
なぜなら、新型カローラは、トヨタの新しいクルマづくりであるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)思想によって開発されているからだ。結果、車体の低重心化はもとより、コーナリング性能と乗り心地を向上させたとうたう新開発のダンパー「プロスムーズ」を採用するなど走りに相当こだわっている。
ハイブリッド仕様のシステム最高出力は122ps。トランスミッションは電気式無段変速機。シフトセレクターはオーソドックスな形状。電動パーキンブレーキ(オートホールドモード付き)は標準。ボディ・コントロール(振動のおさまりのよさ)と乗り心地は相反するが、その両立を目指し、開発されたのがプロスムーズという。トヨタの技術者は、摺動部のベアリングブッシュをはじめ、ピストン・バンドとオイルを改良して、両立を目指したそうだ。
ダンパーなど細かなクルマの成り立ちを知らずに試乗しても、プロスムーズの効果は分かると思う。しっかりとした手応えあるステアリング、ライントレース性の高さ、それにレーン・チェンジやコーナリング時における揺れのおさまりのよさと安定感は、乗ればすぐにわかるともうし、大いに感心するはずだ。
ハイブリッド仕様のWLTCモード燃費は25.6km/L。ミリ波レーダーと単眼カメラを使う先進安全装備群「Toyota Safety Sense」は、全車標準。カローラ ツーリングには最高出力103kW(140ps)、最大トルク170Nmを発揮する1.8リッター直列4気筒ガソリン・エンジンの設定もある。試乗すると、スムーズな回転マナーなどが好印象だったが、乗り心地のよさといった快適性の面では、ハイブリッド・モデルに軍配があがる。
ディスプレイ オーディオ搭載の意味カローラ ツーリングを含む、新型カローラ シリーズは、コネクテッド・サービスを充実させ、新たなユーザー層の取り込みに余念がない。
ひとつは、新開発の「ディスプレイ オーディオ」(7インチが標準、9インチはオプション)の搭載である。手持ちのスマートデバイスを接続すれば、Apple CarPlayなどが使えるという(オプション)。
ディスプレイオーディオ付きのインテリア。上級グレードのメーターパネルは、スピードメーターおよび車両情報がデジタル表示になる。7インチのディスプレイオーディオは全車標準。Apple CarPlayやAndroid Autoを使うには、オプションのテレビ機能が必要になる。さらに、「LINEカーナビ」にも対応する。音声認識も使えるそうで、たとえば「近くの駐車場を探して」と言えば、すぐに駐車情報を検索するという。慣れると使い勝手はよさそうだ。いや、若いユーザーなら”慣れる”までもなく、直感的にすぐ使えるはずだ。また、高価な純正カー・ナビゲーションも必要なくなるから、購入のハードルも少しは下がると思う。
先代モデルの平均ユーザー年齢層は、ワゴンで60代、セダンでは70代だったそうだ。高齢化を解消すべく、一時、新しいユーザー層にアピールするためカローラの名を変更する案も提案されたという。が、トヨタの豊田章男社長は、「カローラの名を簡単に捨てないで」と、言ったそうだ。
ディスプレイオーディオはオプションで、画面サイズを変更できる(7インチから9インチ)。ナビゲーション機能も追加出来る。ディスプレイオーディオに代表されるコネクテッド・サービスは、カローラにぴったり合っているのではないか?
大衆車は、気軽に使え、かつ日常生活において機能面で優れているのが重要である、と、筆者は思うからだ。新型カローラは、長い距離を乗るには、軽自動車よりはるかにすぐれているし、運動性能も高い。
さらに、スマートデバイスと連動し、ドアロックが遠隔操作できたり、内蔵する地図アプリケーションをディスプレイオーディオに表示出来たりするなど使い勝手の高さは、本来カローラに求められてきた機能性の進化形だ。
W×Bのシート表皮は合成皮革。シート表皮カラーが一部ホワイトになるタイプはオプション(2万8600円)。シートヒーターは、2万7500円のオプション。W×B以外のグレードのシート表皮はファブリック。リアシートはセンターアームレスト付き。ステアリングホイールは、オーディオ用および操舵支援系のスウィッチ付き。フューエルキャップとトランクリッドの開閉は、ケーブル式。欲をいえば、ダッシュボードをはじめとするインテリア・デザインが、もうすこしアップデートされればいいのに……と、筆者は感じた。ステッチを見せるなど、いわゆる“上質感”が強調されているのだけれど、その価値観は旧来のものかもしれない。
たとえば、iPhoneなどといったスマートデバイスのようなデザインレス・デザインというのも、新しい大衆車のありかた、デザインとしてアリではないか?
カローラ ツーリングの価格は、ハイブリッド・モデルが248万円から299万7500円。1.8リッター直列4気筒ガソリン・エンジンモデル(前輪駆動のみ)が201万3000円から236万5000円。そして、1.2リッター直列4気筒ターボ・エンジンに6段マニュアル変速機を組み合わせた前輪駆動モデルが245万8500円。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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