10月17日に栃木県のツインリンクもてぎで開催された2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦。予選3番手から決勝レースを5位で終え、最終戦前にドライバーズタイトルを決めた野尻智紀(TEAM MUGEN)がチャンピオン会見に出席し、自身初タイトルについての想いを語った。
野尻智紀(TEAM MUGEN)
2021年ドライバーズチャンピオン
【順位結果】2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ 決勝レース
「レース中は、僕たちがかなりドライ寄りのセットアップで行っていた関係で序盤のハーフウエット路面が結構厳しく、僕はコンサバなレースをしてしまっていました。そのなかでみんなレースをしているので、しっかりと前の順位を狙ってくるというところで、いろいろな選手が襲いかかってきました」
「ただ僕もコンサバとは言え、タイヤを温めるにはそれなりの負荷を掛けないといけないのでフロントタイヤ、リヤタイヤがロックしていたときもあり、結構厳しく頑張ってタイヤの発熱を促していた部分もありますが、そういったところがセットアップの関係というところも多少あり、ペースが上げきれませんでした」
「路面が乾いてきたときにはある程度落ち着いてレースをすることができましたが、関口(雄飛/carenex TEAM IMPUL)選手が牧野(任祐/DOCOMO TEAM DANDELION RACING)選手を抜いていき、そこからトップ2へ追いついたところを見ると、すごくあのあたりが自分に対して弱気になっていたポイントでした。すごく悪いイメージが自分を支配していましたが、フラッグを降って応援してくださる方もたくさんいました。そういったものがやはりセーフティカー中に目に入ってくる余裕も少しずつ出てきて、それが非常に力になりました」
「ですが何よりも、これまで頑張ってきたチームのみんなの想いを乗せて僕は走っているつもりなので、負けてはいけないなという気持ちをレース中に自分のなかに戻すことができました。後方の松下(信治/B-Max Racing Team)選手も必死にオーバーテイクシステム(OTS)を使いながら僕に競りかけていたのを見たときに、僕がやるべきことは『とにかくプッシュし続けないといけないんだ!』ということをレース中にもう一度思い直すことができたので、なんとか最後まで踏みとどまれたのだと思います」
「チャンピオンまでの過程を振り返ると、僕は8シーズン目ということで、それだけ長くやっていると、もちろんたくさんの方々が僕のクルマに触ってもらい、僕が走るために力を貸してくださった方、これはスーパーフォーミュラからではなく、カート時代からずっとそうです。そのなかで僕は、あまりいい走りをすることは少なかったかなというところで、自分に対して劣等感みたいなものを結構感じていました」
「それを、チームが変わって僕をもり立ててくれて、みんなに助けてもらいながらここまでたどり着くことができ、非常にうれしく、そして何より、たくさんの方々に感謝しなければいけないなと思います」
「(自分のどのあたりが変わったのかという質問に対し)今日のレースを見ていると、やはりまだ強くなりきれていないところも大いにありました。本当にたくさんの人に助けられ、そして支えてもらいながらここまでやってこれました。それが自分の強さに繋がっているかなと思います。なので『強くしてもらっている』という感じです。自分はとても弱い人間だと思うので、周りの力がすべてだと思います」
「今日のレースでも、自分が気づいたら8番手で、僕もタイトル争いにおいて『僕が何位で相手も何位』ということは頭に入っていたので、素直にヤバいと思っていました。ただ、そこである程度自分のペースも落ち着いてきましたので、意外と前方集団と変わらないペースに持ち直すことができました。そこから後はライバルたちのペースが落ちたので、そのあたりの展開が多少自分に向いてくれたところもあったのかなと思います。何とかそのチャンスを繋ぎ止めておきたかったので、今回のレースでも多少浮き沈みみたいなものが出てしまいましたので、そのあたりがまだまだ課題なんだろうなと思います」
「(体調についての質問に対し)寝れないというのがありました。朝も早く起きてしまうし、昨日も(夜中の)1時半くらいまで寝れなくて、寝たと思っても4時半に起きてしまったりしました。ですがそれを悲観的に捉えてもどうしようもないなと思い、初めてこういう状況になったらみんなこうなるんだと割り切り、朝ごはんも食べて普通に行こうと思って朝はリラックスしたつもりではありました」
「ただ、いつもレース前は仮眠を取るようにしていますが、今日は心臓もドキドキしていてまったく寝れなかったです。(チャンピオンは)こういうことなんだということが身にしみて分かったといいますか、だからこそ山本(尚貴/TCS NAKAJIMA RACING)選手など、たくさんチャンピオンに輝いた人がいますけど、過去チャンピオン争いをしてきた人たちの凄さというのも身を持って知ることができました。ここから、またさらに僕が速く、強くなるステップに繋げられるように、このタイトルを活かしていきたいと思います」
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