京急電鉄(京浜急行電鉄)および横浜国立大学、横浜市が2018年より行っている、神奈川県横浜市金沢区富岡エリアにおける「地域交通課題解消に向けた 乗合型移送サービスの実証実験」に、新たに日産自動車が加わり、2020年10月11日から今年度の実証実験が開始される。従来よりもサービス品質を改善し、実用化へ向けた有償サービスの検証も実施する。
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急な坂道、高齢化……。地域活性化に向けた実験横浜市の南部に位置する金沢区の富岡エリア(富岡西・能見台)は、都心などへの通勤圏にあることから、京急電鉄が開発したいわゆるニュータウンである。急な勾配が多く、バス停や鉄道の駅へのアクセスが容易ではない地域が多くあり、高齢化が進むなかで、移動が苦になるケースが増えてきている地域でもある。
こうした交通課題を抱えた地区において、より移動を容易とし、人々が移動することで街の活性化を図ることを目的とした新たな移動手段の検証のため、京急電鉄および横浜国立大学、横浜市は2018年より同プロジェクト「とみおかーと」実証実験を開始。
2018年7月に、京急電鉄と横浜国立大学が締結した「産学連携の協力推進に係る協定」、横浜市と京急電鉄が締結した「京急沿線(横浜市南部地域)における公民連携のまちづくりの推進に関する連携協定」に基づき、地域活性化に寄与し住みよいまちづくりを目指すものだ。
実証実験では電動カート(4人乗りの電動低速走行車両)やワゴンタイプの自動車を使用して、運行ルート上に乗降ポイントを設けた「路線定期運行」と、乗車したい場所(指定の乗降ポイント)に迎えに来てくれる「フリーエリア運行」の2つに分けて実証実験を行い、今後の交通システムのあり方について検証を重ねてきた。
今回は大幅に利便性を向上させ事業化を目指す検証 今年度の実証実験については、まず「路線定期運行」は、過去の実証実験を利用した人から「より広範囲で利用したい」や「さまざまな場所から乗車したい」といった要望に応え、実証実験の対象エリアの拡大ほか、従来の停留所での乗降方式をやめ、路線上で手を上げれば自由に乗降できるようにした。
「フリーエリア運行」は、「地域のニーズに合ったエリア設計が必要」、「前日予約が必要なので急な移動に使えない」という意見に応え、京急富岡駅や能見台駅、東急ストア能見台店などへも行けるなど約70カ所に乗降ポイントを増やし、地域のニーズに合わせたエリア設計とした。また、スマートフォンアプリによる配車予約が14日前から可能で、最短では当日の15分前まで(電話予約は60分前まで)とするなど、利便性を大幅に向上させて、検証する。
今回の実証実験は、無償実験が2020年10月11日(日)~12月11日(金)の45日間、有償実験を2021年1月中旬以降に50日間と2段階に分けて行い、今後の事業化に向けた検証を予定する。
ちなみに有償実験の料金はいまのところ未定だが、過去実験で行ったアンケートによると、タクシーよりも安く、バスよりもちょっと高いくらいが妥当という意見が多かったそうで、200円程度になる見込みだそう。
利用するにはスマートフォンアプリもしくは書面登録が必要だが、利用登録をすることで誰でも参加可能だ。
利用登録
このほか、予備車両(EV)の蓄電池から電力システムへの調整力提供による収益源の拡大に向けた検証する、エネルギーマネージメントとの連携実験も行われる。
なお、コロナ禍においての実証実験となることから、通常よりも乗車定員を減らすほか、車両には飛沫防止シートの設置やマスク着用の徹底、手指消毒、クレベリン設置するなど新型コロナウイルス感染症対策を徹底して行われる。
日産自動車が新たなモビリティサービスの事業化を目指し参画日産自動車は実証実験が開始された2018年より車両提供を行ってきたが、今回本格的に参画するにあたり、モーター駆動により走行するシリーズ式ハイブリッド車「セレナ eパワー」を新たに提供する。
日産自動車の星野朝子取締役副社長は、同日行われた実証実験発表会にて
「横浜市や横浜国立大学、そして同じ横浜市に本社を置く京急電鉄と一緒に地域のまちづくりに貢献できることはうれしく思います。
日産自動車は排出ガスゼロを目指す“ゼロエミッション”や交通事故のない社会を目指す “ゼロファタリティ”を企業目標に掲げ、リーフやeパワー搭載車といった電動車や自動運転技術“プロパイロット”をいち早く市場に投入してきました。
また、モビリティサービスのあり方についてもさまざまな検証を行っており、電動車を活用したカーシェアリングサービス“eシェアモビ”や自動運転に向けた“イージーライド”といった実証実験でデータの蓄積を重ねてきました。
これを地域貢献に向けた取り組みとして今回の実証実験に参画します」
今回の実証実験の狙いは、
「日産単独ではなく、今回のように京急電鉄や横浜市、横浜国立大学と連携して取り組むことで、地域の人々がどのように移動して、そんなサービスが求められるのかを検証できます。それを早期の実用化や、かつ事業として成り立つかを検証することで、将来につなげたいと考えています。
交通に関する課題を持つ地域はほかにも多くありますが、今後もこうした実証実験を積み重ねていきます。富岡エリアに関しては坂道が多く、住民の移動も容易ではありません。新たなモビリティサービスによって、人々が移動することで地域が活性化されることにチャレンジしたい。」
と、今回の実証実験をよりよいサービスに発展させて、モデル地区となるよう取り組んでいくと意気込みを語った。
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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みんなのコメント
呼べばすぐにタクシーが来るようなエリアなのに使わないのはただケチなだけでしょ