愛車を手放すときの気持ちは非常に切ないものだ。たくさんの思い出が消えていくことに寂しくなるものだが、なんと今回愛知県の中古車店「カートップ」で車両代金が支払われないという事件が発生している。しかも複数件起こっていて、なんと店側は破産を進めるというのだ。こんなこと起こっていいわけ?
文:ベストカーWeb編集部/写真:編集部
※記事内の車両写真は今回の被害車両とは異なります
「俺のタイプRを返せ!」被害者が語る中古車店で“消えたシビック”事件の真相とは?【独占取材】
【画像ギャラリー】忽然と消えたシビックタイプはどこに? 破産で逃げられてたまるかよ!!(9枚)
「MOTAだから安心して業者を探せたと思っていた」
愛車FL5シビックタイプRを手放したAさんだったが
今回の大型詐欺疑惑のある中古車店の事件だが、ベストカーWebでは被害者のAさんにコンタクトを取ることができた。
時系列を追うと2025年の4月末から始まる。Aさんは家庭の事情もあり愛車のシビックタイプR(FL5)をやむを得ず手放すこととなった。長く乗るつもりで距離は重ねず年間4000kmほど走り、1年以上を一緒に過ごしたタイプRだが、高価買取を目指して一括買取サイトの「MOTA(モータ)」で査定を申し込んだ。
MOTAは査定額トップ3社を提示し、その中で交渉をして買取業社1社を決めるという方式だ。ここに今回の中古車詐欺被害が訴えられている「カートップ」という企業が入ってくる。Aさんはこのカートップと、他1社の条件がよく競わせることにした。
「実車を前にして名刺の裏に査定額を書くんです。それを”せーの”で見せて高い方に売るという方式でした」。
これは中古車買取だとよく行われる手法で、最もフェアで売り手も買い手もすっきりと解決する方法だ。ここでAさんのシビックタイプRの買取店がカートップにきまる。ちなみに買取額は約530万円で、他社との差額は7~8万円だった。
「カートップという会社は知らなかったですけど、あれだけCMもやっているMOTAなので、この時点で不安なんかなかったんです。高く売れて良かったなぁと満足していました」とAさんは語る。
「えっ、入金されていないんですか?至急対応します」
カートップの本社が入るビル。閑散としていた
そしてカートップは5月6日を車両引き取り日に指定した。Aさんの愛車は転売禁止などの制約もありディーラー名義だったが、名義変更に関わる書類の一部を用意して6日に車両を渡したという。
「入金は10日後ですと言われました。クルマをそんなに売買したことがないので、まさかこの時点でお金が振り込まれないなんて思いもしませんよ」。
中古車売買ではこの現金の授受が売り手としては大きなポイントとなる。業者によっては即日振込、または翌日から3日後などのパターンがあるが、10日後というのはなかなか聞いたことがない。
途中で納税証明書など書類の郵送のやり取りをして、入金日の5月16日を迎えた。しかしまったく入金がない。なにかの手違いかもということでAさんは担当者の携帯電話、そして愛知県の店舗に電話をするも定休日ということもあって折り返しがなかった。
翌17日の土曜日も担当者も店舗も電話が繋がらず、Aさんはダメもとで東京のカートップ本社に18日に電話をしてみた。
「日曜日なのに本社の人間が電話に出たんです。入金されていないと伝えたら”えっ、入金されていないんですか? 至急対応してご連絡します”と返答されました。しかし翌日になっても連絡はなく、19日にはついに回線自体が繋がらなくなってしまいました」。
破産手続き開始の通知が届き事件を知る
本社ビルには弁護士事務所名義で告示書が貼られていた
そして数日して東京の弁護士法人から「受任通知書」が届く。日付はなんと5月19日。本社の電話が繋がらなくなった日だから、18日に本社に電話をした際には破産の方向で動いていたのだろう。通知書には約80名の債権者がいて、約4億2160万円の負債を抱えていると記されていた。
その80名のなかにAさんが入っていることは言うまでもない。ほんの数日前に「入金の対応をする」といった会社が破産手続きに入るというのだから、急な倒産というには無理がある。
編集部が調査をしてみるとAさんのシビックタイプRは、業者オークション「USS東京」で5月8日に出品されていた。つまりカートップはAさんから6日に車両を引き取り、翌日には車両を愛知県から東京まで移動。その後にUSS東京に出品している。
毎週木曜日に東京のオークションは開催されるのだが、Aさんの愛車は8日のオークションで第三者に落札され、そして翌週15日に再度出品された。その時点でAさんが警察に相談して、警察がUSS東京に出品の差し止めを依頼している。
「警察も親身になってくれますが縦割り行政が……」
Aさんが中古車を手放したのが愛知県だったが、現在は仕事などの都合もあり東京都に在住している。当然ながら自身のシビックタイプRが返ってこないという事件に巻き込まれ、すぐに警察に相談した。
「事件が愛知県で起きていてもちろん愛知県警の管轄じゃないですか。私は最寄りの警視庁管内の警察署に相談に行ったんです。親身に相談には乗ってくれていますが被害届を出せたのが5月26日。もちろん刑事事件と民事事件の違いはわかりますが、愛知県内で被害が多発しているからなのか、警視庁としてもそんなに本腰じゃないようです」。
この辺りはぜひ被害者が泣き寝入りしないように、本庁をあげての捜査をお願いしたいところだ。
まとめ:計画的な倒産の可能性だってありそうだ
クルマは人生の目標でもあり、時には大切な相棒にもなる。ましてやスポーツカーとなればその思いもひとしおなはずだ
Aさんは家庭の事情で泣く泣くシビックタイプRを手放したというが、もちろん現金は振り込まれないわ、車両も行方不明だわで、とてつもないショックを受けている。
「いつかは赤バッジ、そして最後の内燃機関のタイプRかもしれないと思って奮発して買ったクルマなんです。1年ちょっと納車まで待ってやっと手に入れたのに。こんなことになるならMOTAも使わなかったですよ。もちろんカートップが悪いんですけど、ショックです」。現状としては警察の動きを待つしかないという。
まとめとなるが、カートップ側の動きで見れば5月6日に車両を引き取り、翌7日にはUSS東京に出品して現金化している。
しかし前出のとおりAさんには入金はなく、カートップは多重債務が重なり他の返済に当てたのだろう。「買取をして即出品」を繰り返さないと資金繰りができない状況だったとみられ、車両引き取りが火曜日で、USS東京のオークションが開かれる木曜日が近いというのも決して偶然とは思えない。
編集部は板橋区のカートップ本社に訪れてみたが人影はない。ここまで用意周到であれば計画倒産というべきか、逃げるべくして逃げたのかと思われても無理はない。
一刻も早くAさんをはじめ、被害者の救済が進むことを祈りたい。
(編注:本文内に登場する”カートップ”は株式会社交通タイムス社が運営する自動車メディア”カートップ”との関連はありません)
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