この記事をまとめると
■5月30日~6月1日に富士スピードウェイにてスーパー耐久シリーズ第3戦が開催された
並み居るレーシングカーを引き連れて先頭を走る「セーフティカー」! 車種はどう決まる? 誰が運転してる?
■2025年の富士24時間レースにおけるオフィシャルの総数は355名であった
■交代制となっており仮眠室などで仮眠を取るほか全国のサーキットから応援が駆けつける
富士24時間における影の立役者
スーパー耐久シリーズ第3戦「富士24時間レース」が5月30日~6月1日、富士スピードウェイを舞台に開催。レース直前の雨によるスタート延期や濃霧による赤旗中断など、いくつかハプニングはあったものの、今年も各クラスで激しいバトルが展開され、語り継がれる名勝負が展開されていたのだが、このアジア最長の耐久レースを語るときに欠かせない存在が、レース運営を行なっていたオフィシャルだといえるだろう。
レース競技では、レース全体の運営に携わる管制委員を筆頭に、タイムや順位を記録する計時委員、コースサイドからイエローやレッド、ブルーなどの情報を伝えるコース委員、ピットやグリッドで監視を行うピットグリッド委員、車検を行う技術委員、レスキューを行う救急委員など数多くのオフィシャルが必須で、彼らがいるからこそ、各チームは安全かつ公平なレースを行うことができるのだが、果たして富士24時間レースには何名のオフィシャルが配置されているのだろうか?
というわけで、富士24時間レースの舞台、富士スピードウェイでオフィシャルを直撃してみたのだが、まずはベーシックな情報としてオフィシャルの人数から見ていきたい。
まず、もっとも人数の多いセクションがコース委員で124名をラインアップ。計時委員が12名、ピットグリッド委員が35名、技術委員が45名、パドック委員が13名、救急委員が51名で、医師が8名、看護師が12名、救急救命士が12名、事務局が11名で業務を行っている。
そのほか、管制委員はわずか4名だが、競技役員の数も多く、2025年の富士24時間レースにおけるオフィシャルの総数は355名で対応。ちなみに、今年5月に行われたスーパーGT第2戦のオフィシャルの総数が272人ということを考えると、24時間レースとしては比較的に少ない人数だといえるだろう。
とはいえ、オフィシャルの人数は国内モータースポーツにおいて最大級の規模であり、イベント広場など競技の運営に携わっていないアルバイトの数を加えると2倍以上のスタッフがかかわっているに違いない。
ちなみに彼らオフィシャルは、セクションにもよるが土曜日の朝~土曜日の夕刻/日曜日の朝~日曜日の夕方、あるいは土曜日の昼~土曜日の深夜/日曜日の昼~日曜日の夕方、土曜日の夜~日曜日の朝/日曜日の昼~日曜日の夕方……といったパターンで交代制となる。ピットビルの2Fに控室があり、そこで休憩や仮眠をとるほか、食事をとっているようだ。
このように富士24時間レースでは、数多くのオフィシャルが交代しながら競技運営にあたっているのだが、24時間レースは何が大変なのか? さらに、どんなことが魅力的なのか?
まずはピットグリッド委員の佐野晃一さんに話を伺ってみた。
──富士24時間レース、何が大変ですか?
佐野:やっぱりレース時間が長いところですよね。通常のレースだと土曜日に予選があって、その日の夜はオフィシャルの仲間とお酒を飲みながら過ごす……というパターンが多いんですけど、24時間レースはそれができない(笑)。
──たしかに土曜日の夜にお酒は飲めませんね。ところで、いま土曜日の21時ぐらいなんですけど、佐野さんはいつ仮眠するんですか?
佐野:僕の休憩時間は日曜日の3時から9時までです。2階の休憩室で仮眠します。
──先ほど見に行ってきたんですけど、畳のひかれた部屋ですよね。レース中も眠れますか?
佐野:エキゾーストも聞こえるのであまり寝れないです。3時間ほど寝られたらいいほうです。
──予想どおり、24時間レースはオフィシャルにとって過酷な状況のようですが、その一方で魅力もあるんですよね?
佐野:達成感ですね。レースが終わって家に帰って入るお風呂は最高です。
──ちなみに、ピットレーンで撮影していると富士スピードウェイのオフィシャルスーツだけでなく、鈴鹿や岡山のオフィシャルスーツを着た人もいたんですけど、いろんなサーキットからオフィシャルが来ているんですか?
佐野:そうなんです。富士24時間レースは、いろんなサーキットからオフィシャルが手伝いに来てくれる。ピットグリッドのセクションにも普段はスポーツランドSUGOや岡山国際サーキット、あと鈴鹿サーキットやオートポリスでオフィシャルをやっているメンバーが参加しています。逆に私がSUGOに行ったり、モビリティリゾートもてぎに行くこともありますが、そういったオフィシャル同士の交流も富士24時間レースの魅力ですね。
以上、ピットグリッド委員の佐野さんに話を聞いてみた。続いてセーフティカーアシスタントを務める平塚雅基さんを直撃。
セーフティーカーのスタッフも過酷!
──平塚さんは普段のレースでもセーフティカーに乗っているんですか?
平塚:セーフティカーはドライバーとオブザーバーの2名で乗車するんですけど、私は普段のレースのときからオブザーバーとして乗っています。そのほか、事務局で弁当を配っていることもありますね
──セーフティカーの担当としては、24時間レースは何が大変ですか?
平塚:セーフティカーが入るにせよ入らないにせよ、レース中はいつでも出動できるようにクルマに乗った状態で待機するんですけど、24時間レースは長いですからね。スーパーGTでは長くて3時間ぐらいで終わるんですけど、24時間レースはその8倍。もちろん、セーフティカーも3グループを組織して、交代で休憩や仮眠をとりながら運営しているんですけど、それでもずっと乗っていると疲れますよ。
──いま土曜日の夜の21時ぐらいなんですけど、次は何時から平塚さんはセーフティカーに乗る予定ですか?
平塚:21時から日曜日の2時まで。そこから7時間を休んで、また日曜日の9時から12時までセーフティカーに乗る予定です。
──休憩の7時間で仮眠をとられると思いますが、寝られますか?
平塚:やっぱり熟睡はできません。かなりしんどいです。
──同じ4時間でも昼間と夜間では違いますか?
平塚:夜間は睡魔が襲ってきますからね。絶対に寝てはいけないので、待機中に眠らないようにするのが大変です
──やっぱり24時間レースは辛そうですね。でも魅力もありますよね?
平塚:やっぱり“お祭り感”が最大の魅力です。ナイトセッションがあるレースは富士24時間レースぐらいなんですけど、数多くのお客さんがレースを見ながら、バーベキューを楽しんだり、花火や気球なんかも24時間レースだけ。そういったお客さんが楽しんでいる雰囲気がとても好きです。
──なるほど。平塚さんはセーフティカーを担当しているので、24時間レースが終わったときはどんな気もちですか?
平塚:やっぱり、ほっとしますよね。大きな事故がなければ安堵します。同時に疲れたなぁ……という気もちもありますね。
──ちなみに平塚さんは富士24時間レースでずっとセーフティカーを担当しているんですか?
平塚:そうです。私はもともと富士スピードウェイの職員だったんですけど、2018年の最初の大会からセーフティカーを担当しています。同時に事務局も担当していたので、レースウィークのトランスポーターの受け入れから、レース終了後の廃タイヤの引き取りまで担当していました。
──ということは、富士24時間レースの立ち上げのご苦労も知っているんですね。
平塚:じつは富士24時間レースが始まる前年の2017年にニュルブルクリンク24時間レースを視察したんですけど、そのときはテントの数の多さにびっくりしていました。でも、富士24時間レースもコースサイドにテントの数が増えてきて、お客さんも増えてきた。途中、新型コロナウイルスもあってお客さんの制限もありましたが、着実に富士24時間レースが定着しつつあるので、感慨深いですね。
──確かに観戦者が増えましたよね。それにオフィシャルも全国から駆けつけたりと、オフィシャルの間でも富士24時間が定着しているようですね。
平塚:24時間でシフトを組む場合、オフィシャルの人数が足りない……ということもあって、北は北海道の十勝スピードウェイ、南は大分県のオートポリスまで全国から手伝いに来てもらっているんですけどね。じつはニュルブルクリンク24時間レースもそんな感じで、ドイツだけでなく、ベルギーやオランダなどの隣国のほか、イギリスからもオフィシャルが手伝いに来ている。それだけヨーロッパでは、ニュルブルクリンク24時間レースは定着している。富士24時間レースもいまは国内限定ですが、香港や中国、台湾からもオフィシャルが来てくれるようになるといいですね。
以上、2名のオフィシャルに話を聞いてみたが、富士24時間レースはオフィシャルにとっても過酷なレース。しかし、それと同時にやり甲斐も多く、レース終了後の達成感も特別なものらしい。
いずれにしても富士24時間レースの運営には、彼らオフィシャルの存在は欠かせない要素で、事実、今大会においても濃霧の際にはセーフティーカーが走り続けたほか、コースポストでは車速の遅いクルマに青旗を提示。
さらにマシンがコースアウトした際には、迅速に車両の回収およびクラッシュパッドの修復を実施したほか、ピットレーンでは各チームの作業をチェックするなど、まさに安全かつ公平なレース運営には必要不可欠な存在だいえるだろう。
つまり、富士24時間レースにおいてオフィシャルは最大の功労者と呼べる存在。それだけに、各クラスのウィナーと同時に彼らオフィシャルにも称賛を贈りたい。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
もはや「郵便」はオワコン? 日本郵便「赤字383億円」の現実――デンマークはもうすぐ事業撤退、今後どうなる?
ロシア軍が誇る「世界最大級の自走砲」が返り討ちに “撃ち負ける瞬間”を上空から捉えた映像が公開
1リッターで“30km”以上走れる! トヨタ新「“5人乗り”セダン」がスゴイ! 新車約220万円から買える「全長4.4m級」モデル! 大口顔もイイ「カローラ」何が変わった?
ホンダの世界初「新型エンジン」公開に反響殺到! 伝統の「赤ヘッド」&“V型3気筒”に「絶対面白いでしょ!」「名機の予感!」「やっぱりホンダ最高」の声も! “超進化”した新型「すごいエンジン」に大注目!
5速MT搭載! ホンダの爆速スポーツ「軽トラック」に反響殺到!「マジで買います!」「もはや農道のNSX」の声も! 超パワフルな「ターボ」搭載した“最強”商用車「T880」コンセプトに大注目!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
若い頃オフィシャルさんのジャッジに対して強く抗議しました。もし、僕自身が今もそう感じる事があれば抗議します。真剣に戦いに挑んでるのでそれはお互い当然の事です。
オフィシャルさんリスペクトしてます。
なぜなら、今頑張ってくださっているオフィシャルさんはいい加減な人は1人もいません。時折チームやドライバーと争う場面はありますが、出鱈目な点は全く無く、解釈の違う場合に時にあるぐらいです。
24時間レースのオフィシャルさん、通常時のオフィシャルさん、どちらも同じでレースが好きでやってられます。
これからもオフィシャルさんよろしくお願いします。