現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 街乗りメインのライトクロカン誕生! 都会派SUVの先駆けだった初代「CR-V」を振り返る

ここから本文です

街乗りメインのライトクロカン誕生! 都会派SUVの先駆けだった初代「CR-V」を振り返る

掲載 更新 11
街乗りメインのライトクロカン誕生! 都会派SUVの先駆けだった初代「CR-V」を振り返る

■都会派SUVという新ジャンルで確かな人気を獲得

 1980年代の終わり頃、好景気を背景に日本では未曾有のスキーブームが到来しました。スキーシーズンには首都圏からスキー場に向かう高速道路は毎週末のように渋滞が起こり、スキー場の駐車場も満車になって入場制限がかけられることも珍しくありませんでした。

「やっぱり帰る!」 クルマ好き女子が選ぶ、迎えに来られるとがっかりするクルマ3選

 さらに、マリンスポーツやアウトドアレジャーも人気となり、そうした背景から1990年代初頭には、日本の自動車市場は「RVブーム」に突入。

 RVとはレクリエーショナル・ヴィークルの略で、文字どおりレジャーに最適なクルマを指し、ミニバンやステーションワゴン、なかでもクロスカントリー4WD車がブームをけん引する存在で大ヒットを記録します。

 そのため、各メーカーともクロカン車をより乗用車に近い仕様へと改良し、さらにラインナップも拡充していきました。

 そんななか、自社でクロカン車をラインナップしていなかったホンダは、いすゞや英国ローバーグループと業務提携を締結。クロカン車をOEM供給してもらい、ホンダブランドで販売しました。

 しかし、他メーカーに対してのアドバンテージは希薄で、ホンダはRVの自社開発をおこない、1995年に初代「CR-V」を発売。見事大ヒットを記録しました。

 そこで、現在まで続くCR-Vの系譜の始まりを紹介します。

※ ※ ※

 初代CR-Vは、初代「オデッセイ」に続きホンダが提唱する「クリエイティブムーバー(生活創造車)」第2弾として1995年に発売されました。

 6代目「シビック」のプラットフォームを用いた乗用車ベースの都会派SUVとして、新しいジャンルを創出。現在のクロスオーバーSUVの先駆け的存在です。

 スタイリングは現代のSUVというよりは、少し背の高いステーションワゴンといった趣で、ボディサイズは全長4470mm×全幅1750mm×全高1705mm、ホイールベースは2620mm。全幅が1700mmを超えていたため3ナンバーサイズでしたが、最小回転半径は5.3mにとどめられていたので、取り回し性は悪くない部類に入っていたといえるでしょう。

 一方、205mm確保された最低地上高に加え、リヤゲートにスペアタイヤを装着したり、サイドアンダーミラーを装備するなど、クロカンSUVらしいディテールも見られました。

 フロントマスクは、大型のヘッドライトと質感の高いフロントグリル、グリルガードをイメージさせるバンパーの開口部によって、新世代4WDのフロントフェイスを表現。さらにワイドなトレッドと台形フォルムで、力強さが演出されました。

 初代CR-Vのインテリアのコンセプトは「リビング感覚」で、それを実現するべく、数々のアイデアが盛り込まれました。

 キャビンは一般的な乗用車に多い、2+3レイアウトの5人乗り。コラムシフトや当時としてはすでに珍しいステッキ式のパーキングブレーキレバーの採用により、フロントシートの足元や左右席間をスッキリさせたことで、前後左右のウォークスルーを実現して、ミニバン的な要素も取り入れられています。

 後席はシートバックを倒した際にクッションをチルトアップさせる新発想の構造を採用。これにより、フロントとリヤのシートを同時に倒した際にホイールハウスによる影響を受けないため、室内幅を最大限に使った段差のないフルフラット化を実現しました。大人が足をのばして横になっても余裕がある広々としたシートスペースがつくりだせる点も特色です。

 エンジンは「B20B型」の2リッター直列4気筒DOHCの1機種で、最高出力130馬力を発揮。パワーやトルク、静粛性、燃費をバランスさせており、とくに実用域である低・中速域でのスムーズな高トルク特性と、徹底した軽量・コンパクト化を図ることによって、高い動力性能だけでなく低燃費やすぐれた取り回しも実現。市街地走行から不整地まで、扱いやすく、ストレスのない走りを実現しました。

 組み合わせるトランスミッションは、7ポジション電子制御4速AT(ロックアップ機構付き)のみです。

 駆動方式は、ホンダ独自の「ディアルポンプシステム」によるスタンバイ式4WDで、走行通状況に応じて後輪にトルクを配分。FF車の軽快さと、4WDの力強さを両立させたものとなっています。

 サスペンションは前後ともにダブルウイッシュボーン式で、CR-V専用のチューニングが与えられました。都市部ではセダンのような安定した走行感をもたらしながら、不整地では突き上げ感のないスムーズな走りを実現しています。

 初代CR-Vは、1995年10月から2001年9月までの約6年間販売されました。その間、1997年に実施されたマイナーチェンジでは、ABSやエアバッグが標準装備されたほか、AT制御の改良やMT車が追加設定されました。

 そして1998年実施のマイナーチェンジでは、スペアタイヤの搭載位置をリヤゲートから荷室床下に移動させた新グレード「フルマーク」を設定(背面式スペアタイヤ仕様は「パフォーマ」として継続販売)したほか、エンジンの最高出力が150馬力に向上。FF車もラインナップに加えられました。

 初代CR-Vはアメリカでも販売され、やはり大ヒットを記録。以降は北米ホンダの主力車種となりました。

※ ※ ※

 近年、世界的に人気をキープしているSUVですが、日本の市場では現行モデルのCR-Vは元気がない状態が続いています。

 しかし、トヨタ初代「RAV4」とともに、新ジャンルのSUV市場を創設した意義は大きいといえるでしょう。

 クロカン車を持たないホンダを支え、RVブームが終焉した後も市場をけん引した初代CR-Vは、今も語り継がれる存在です。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

走りは爽快!! 中古で人気の4代目ルノー ルーテシアは新型フィットより魅力的!?【10年前の再録記事プレイバック】
走りは爽快!! 中古で人気の4代目ルノー ルーテシアは新型フィットより魅力的!?【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
自転車の「ながら運転」厳罰化! ドイツにはもっと厳しく複雑な自転車ルールがありました…逆走には要注意です【みどり独乙通信】
自転車の「ながら運転」厳罰化! ドイツにはもっと厳しく複雑な自転車ルールがありました…逆走には要注意です【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!
ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!
AUTOCAR JAPAN
160万円でガルウイングドアが買えた! トヨタ「セラ」はバブルが生んだマイクロスーパーカーでした…今見ても新鮮なデザインに再注目です
160万円でガルウイングドアが買えた! トヨタ「セラ」はバブルが生んだマイクロスーパーカーでした…今見ても新鮮なデザインに再注目です
Auto Messe Web
オコン&ガスリーの幼なじみペアがダブル表彰台に感無量「最終ラップ、カート時代に思いを馳せた」アルピーヌは6位に
オコン&ガスリーの幼なじみペアがダブル表彰台に感無量「最終ラップ、カート時代に思いを馳せた」アルピーヌは6位に
AUTOSPORT web
F1がまだ「めちゃくちゃ」だった頃の話 ひどいチームで溢れかえった80~90年代 歴史アーカイブ
F1がまだ「めちゃくちゃ」だった頃の話 ひどいチームで溢れかえった80~90年代 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN
ジャガー、英国で新車販売終了 ラインナップ総入れ替え 2026年まで中古車のみ
ジャガー、英国で新車販売終了 ラインナップ総入れ替え 2026年まで中古車のみ
AUTOCAR JAPAN
特別な青を纏ったベントレー「ベンテイガS」完成! 英国ファッションデザイナーとコラボした限定車は、電動化延期が影響していた…!?
特別な青を纏ったベントレー「ベンテイガS」完成! 英国ファッションデザイナーとコラボした限定車は、電動化延期が影響していた…!?
Auto Messe Web
ホンダ新型「スーパーカブ×ハローキティ」初公開! サイドカバーの「飛び出すキティ」が凄すぎ! 超人気の「2大巨頭」奇跡のコラボで発売へ!
ホンダ新型「スーパーカブ×ハローキティ」初公開! サイドカバーの「飛び出すキティ」が凄すぎ! 超人気の「2大巨頭」奇跡のコラボで発売へ!
くるまのニュース
スペックはディーゼルに見劣りするトヨタ「ランドクルーザー250」のガソリン車 “気になる街中での印象”は? 充実した装備類で“コスパは最強”
スペックはディーゼルに見劣りするトヨタ「ランドクルーザー250」のガソリン車 “気になる街中での印象”は? 充実した装備類で“コスパは最強”
VAGUE
真夏も真冬も車内で寝る必要があるトラックドライバー! アイドリングが御法度なイマドキの「冷暖房」事情
真夏も真冬も車内で寝る必要があるトラックドライバー! アイドリングが御法度なイマドキの「冷暖房」事情
WEB CARTOP
F1の新規ファンが増えない根本理由 75周年を機に開かれる未来への道筋とは?
F1の新規ファンが増えない根本理由 75周年を機に開かれる未来への道筋とは?
Merkmal
「僕よりも大変な人たちがいる」アロンソ、激痛襲われるもサンパウロ完走でマシン修復のチームや豪雨被害バレンシアに勇姿見せる
「僕よりも大変な人たちがいる」アロンソ、激痛襲われるもサンパウロ完走でマシン修復のチームや豪雨被害バレンシアに勇姿見せる
motorsport.com 日本版
【BMW 1シリーズ 新型】色々なボディカラーで楽しんで
【BMW 1シリーズ 新型】色々なボディカラーで楽しんで
レスポンス
PPのノリス、赤旗で後退しタイトル争いにも打撃「ライバルはラッキーだったが、僕は不運だった。戦略に誤りはない」
PPのノリス、赤旗で後退しタイトル争いにも打撃「ライバルはラッキーだったが、僕は不運だった。戦略に誤りはない」
AUTOSPORT web
「“暗い色”増えたなぁ…」 自動車カラーのトレンドが一気に“地味化”へ!? “とにかく明るい色”から一転のワケ
「“暗い色”増えたなぁ…」 自動車カラーのトレンドが一気に“地味化”へ!? “とにかく明るい色”から一転のワケ
乗りものニュース
「ヘッドライトが眩しいクルマ」なぜ増えた? 信号待ちで「ライト消さない人」が多数派になった理由とは? ヘッドライトの“新常識”ってどんなもの?
「ヘッドライトが眩しいクルマ」なぜ増えた? 信号待ちで「ライト消さない人」が多数派になった理由とは? ヘッドライトの“新常識”ってどんなもの?
くるまのニュース
小さいジープはいかが? ブランド最小のSUV「アベンジャー」がEVで登場! 【新車ニュース】
小さいジープはいかが? ブランド最小のSUV「アベンジャー」がEVで登場! 【新車ニュース】
くるくら

みんなのコメント

11件
  • レジェンド、オデッセイ、NSXが生産中止。
    次の戦力外通告はCR-Vかもね、少なくても日本では。
    今のホンダ見てるとなんでこんなにセンスのないラインナップになってしまったんだろう。メーカーがそんなんだから乗り手も偏屈な人が増えてきた。
  • 前後独立サスでローレンジ無しの4WD、CR-V・RAV4を「ライトクロカン」と言って初めは馬鹿にしていた。だけど前独立・後リジッドのパジェロ・テラノ・サーフ・エスクードより格段に乗り心地が良く、前後リジッドのランクル・サファリ・ジープ・ジムニーとは天と地ほどの乗り心地の差だった。

    「キャンプ・スキー・渓流釣り」の人間はあっという間にライトクロカンに移っていった。アウトドア趣味の人はたくさんいたけど、本格的なオフロード性能が必要な人はごく一部だったんだよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

809.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.0900.0万円

中古車を検索
CR-Vの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

809.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.0900.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村