現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「妻のひと言がなければ見逃していた」超お宝F1コレクション! ドイツの博物館の2階に広がるレースファンのパラダイス

ここから本文です

「妻のひと言がなければ見逃していた」超お宝F1コレクション! ドイツの博物館の2階に広がるレースファンのパラダイス

掲載 5
「妻のひと言がなければ見逃していた」超お宝F1コレクション! ドイツの博物館の2階に広がるレースファンのパラダイス

 1階の大ホールだけでなく重要モデルが2階にも

 ドイツの空の玄関口であるフランクフルトから北、クルマで1時間ほどのディートツェルツタールにあるナショナル自動車博物館ロー・コレクションを訪れたのは2025年の9月。家内が子どもの頃からの念願だったというラインクルーズ(ライン下りは日程的にも席が取れずに反対方向のライン上りになったけれど)の際に特別にスケジュールを組んで、フランクフルトからラインクルーズのスタート地であるオランダのアムステルダムに出発する前々日に訪問のスケジュールを組んだのでした。

イタ車好き悶絶必至!! イタリア自動車界の熱すぎる連帯が眠る「聖地・トリノ」に潜入

 当日朝はフランクフルト市内のホテルから電車で空港に行き、レンタカーをピックアップして博物館へ。ここまでは普段の博物館詣でと同じながら、今回は家内が同行しているだけに強行スケジュールはNG。空港から博物館まで1時間余り行程のなかで一度トイレ休憩を挟むなど、普段の弾丸ツアーからは考えられないような、ゆったりとした移動行程でした。

 ローコレクションに着いてからも、家内はカフェで休憩したいというので、彼女をカフェに残して、まずは斥候がてら単身で展示コーナーをまわることに。中庭を経て最初に入ったコーナーは戦前のロードカーやレーシングカーばかりで、家内を連れてきてもあまり興味を示さないだろう。さらに進んだ大ホールには戦後のロードカー&レーシングカーが、展示されていましたが、車椅子では見てまわるのも大変だろうと勝手に判断。 1912 Rolls-Royce Silver Ghost 40/50 HP 創業当初のモジュール仕様ではなく、完全に新設計した直6エンジンを搭載。スペック的には平凡だが、その工作精度と製品レベルでの完成度を誇る、ロールス・ロイスを代表する1台となった1912年製のシルバーゴーストだ。

 1929 Bentley 6 1/2-Liter SWB Speed Six Boat-Tail Two-Seater by Barker ベントレーの6.5リッターをベースに開発されたスポーツ・バージョン/レース仕様がスピードシックス。ローリングシャシーで販売され、さまざまなコーチビルダーが腕を奮った。こちらの個体はバーカーが手がけたボートテール。

 1929 Mercedes-Benz 710 SSK フェルディナント・ポルシェ博士がダイムラー・ベンツ在籍中、最後に手がけたモデル。グランドツアラーのSをベースにショートホイールベースの2シーターに仕上げられた、戦前のメルセデス・ベンツを代表する1台だ。

 1938 Auto Union Type D ドイツの民族系資本メーカーが合併して誕生したアウトウニオンがポルシェ博士に設計を委託して誕生したレーシングカーで、ミッドシップレイアウトを採用。1938年に登場したType Dはその最終モデルで3リッターV12を搭載。

 1948 Talbot-Lago T26 Grand Sport by Saoutchik 1950年にはル・マン24時間で優勝したタルボ・ラーゴはフランスのメーカー。ル・マン優勝車はオープン2座だが、こちらは1948年式T26グラン・スポールでソーチックが手がけた2ドアのクーペボディを纏っている。

 取材終了を決めたもののエレベーターの上には……

 ここまで小1時間で見てまわり、1950年代から1960年代にかけてのフェラーリのレーシング・スポーツカーなど見るべきクルマも少なくなく、とくにステファン・ベロフがドライブしたマウラーMM83・BMWは、当時モータースポーツ専門誌の編集部員として海外レースのページを担当していた頃の思い出がよみがえりました。 1983 Maurer MM83・BMW レーシングカートから1981年にFF1600にステップアップ。翌82年のヨーロッパF2で開幕2連勝を飾ったステファン・ベロフが翌83年にドライブしたマウラーMM83・BMW。ドイツ人初の世界王者の期待も高かったが、1985年の事故で帰らぬ人に。

 1951 Ferrari 212 Inter フェラーリ195の発展モデルとして1951年に登場したロードゴーイングカー。インテルはシングルキャブのロングホイールベース版でこの個体と同じヴィニヤーレ製だけでなく、ピニンファリーナ製のボディを纏うモデルもあった。

 1955 Opel Olympia Rekord Cabriolet オペルのミディアムクラス、オリンピアの後継モデルが1953年に誕生したオリンピア・レコルト。こちらは1955年に登場した2代目。オペルといえば実直なイメージが強いが、こちらはロールトップを持ったカブリオレだ。

 1963 Lincoln Continental “Limo One” owned by John F.Kennedy 若くして合衆国大統領となったジョン・F・ケネディが愛用した大統領専用モデルのリンカーン・コンチネンタル“Limo One”。こちらは白いカラーだが、彼が銃弾に倒れたときの“Limo One”は黒いボディだった。

 1973 Ford Capri RS 2600 DRM Spec ヨーロッパ・フォードが1968年に投入したカプリの最強モデルが2.6リッターのV6エンジンを搭載したRS2600でヨーロッパのツーリングカーレースで活躍。青/白のカラーリングだけでなく赤/白のカラーリングもワークスカラーだ。

 ただし、期待していたほどにはレーシングカーも多くなく、ひとりカフェで待っている家内も心配になったので、「取材撮影はここまで」と決断してカフェに戻り、家内とお茶を楽しむことになりました。

 そして席を立って帰ろうとしたときに家内が「少しクルマを見てみたい」と言うので『見てもあまり面白くないよ』とは思ったものの、家内と一緒に展示ルームに戻ることに。博物館のスタッフが車椅子の家内に「こちらにどうぞ」とエレベーターに載せてくれたのです。そして階上についてエレベーターのドアが開くと、驚くべき光景が広がっていたのです。

 1935年のアルファ・ロメオに始まり、1957年のマセラティから2019年のメルセデスAMGまで新旧のF1マシンが居並ぶさまはまさに壮観。とくにフェラーリに関しては1964年の275、Tipo579から1972年の312B2、1975年の312T、2000年のTipo651、2004年のTipo655が展示されており、1階のレーシング・スポーツカーも含めてオーナーのフェラーリ好きがうかがえました。 1935 Alfa Romeo 16C Bimotore 政府の管理下に置かれたアルファ・ロメオに代わり、エンツォ率いるスクーデリア・フェラーリが完成させたビモトーレ。Tipo Bをベースにコクピットの前後にエンジンを文字どおり2基搭載したモンスターマシン。

 1957 Maserati 250F T2 Lightweight Formel 1 1950年に始まった近代F1GPにおいてアルファ・ロメオやフェラーリとともに王座を競っていたマセラティが54年に投入した新型マシンが250F。こちらの個体は1957年シーズン用の750F T2でシリーズ最終モデルとなった。

 1975 Ferrari 312B3 74 1975年にワールドタイトルを奪還することになるフェラーリがシーズン序盤に使用した前年モデルが312B3 74。1975年シーズン用の主戦、312Tは横置きミッションを採用するなど大きく改変されており、つなぎは重要だった。

 1974 McLaren M23 マクラーレンが初のワールドチャンピオンに輝いた、記念すべきマシンが1974年のM23。デビューは1973年だが、マールボロ・カラーの1974年版のほうが、成績を抜きにしても印象が強いのは言うまでもない。

 1984 Tyrrell 012 ターボ全盛のなか、最後までNAのコスワースDFYで頑張ったティレル012。レギュレーション違反でポイントは剝奪されたが、雨に見舞われたモナコGPにおいてプロストとセナを追い詰めたベロフの快走はいまも語り草となっている。

 普段、クルマにあまり興味を示すことのなかった家内も、ホンダのエンジンを載せて世界一になったマクラーレンもあるのね、と感激の様子で記念写真にも納まるなど、ラインクルーズに博物館詣を組み込んだ自分としては、ほっとひと息ついたところでした。

 それにしても、カフェで家内が「少しクルマを見てみたい」といってなかったら、階上のF1マシン群を見ることなく立ち去っていたかと思うと、本当に、家内に感謝です。

 ナショナル自動車博物館ロー・コレクション National Automuseum-The Loh Collection

 Museumsstraße 1, 35716 Dietzhölztal-Ewersbach, Deutschland. Website://www.nationalesautomuseum.de/ 月曜と火曜休館。 開館時間は11:00~18:00(土曜と日曜は10:30~18:00)/入館料は€21.0

 ナショナル自動車博物館ロー・コレクションは、フランクフルトの北かつケルンの東という立地で、どちらからもクルマで1時間程度の好アクセスなので、ほかの博物館と合わせて午前と午後で1軒ずつはしごすることも可能だ。ただ、ロー・コレクションの収蔵車種は希少性やレストアのレベルなどが高く、写真を数カット撮っただけで立ち去るのはもったいない。1台1台が持っているヒストリーに思いを馳せながら、ゆっくり1日を過ごしても良いと感じたほどだ。 ※本記事は雑誌「CARトップ2026年3月号」の記事を再構成して掲載しています

文:WEB CARTOP 原田 了
【キャンペーン】お得に給油!第1・3金土日はガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

世界に1台のアルファロメオを悔しさのあまり自ら破壊! その果てに天才デザイナーが生み出した「狂気のマシン」33スパイダー・クネオ
世界に1台のアルファロメオを悔しさのあまり自ら破壊! その果てに天才デザイナーが生み出した「狂気のマシン」33スパイダー・クネオ
WEB CARTOP
世界にたった3台だけのブガッティ「ヴェイロン」が異例の高値で落札 予想価格を大幅に上回った“特別な物語”とは
世界にたった3台だけのブガッティ「ヴェイロン」が異例の高値で落札 予想価格を大幅に上回った“特別な物語”とは
VAGUE
【このポルシェ550レプリカなんぼ?】歴史的ポルシェ?550だ(笑) 550スパイダーを忠実に再現したレプリカ登場 出力はわずか21馬力!そして高価だ!
【このポルシェ550レプリカなんぼ?】歴史的ポルシェ?550だ(笑) 550スパイダーを忠実に再現したレプリカ登場 出力はわずか21馬力!そして高価だ!
AutoBild Japan
究極の“アナログ・スーパーカー” 35年前のフェラーリ「F40」がまたも高額落札 人気の「キャタ・ノンアジャスト」仕様の気になる落札価格とは
究極の“アナログ・スーパーカー” 35年前のフェラーリ「F40」がまたも高額落札 人気の「キャタ・ノンアジャスト」仕様の気になる落札価格とは
VAGUE
【この76年落ちのベンツなんぼ?】ダイムラー・ベンツの役員用車両だった1950年式「メルセデス・ベンツ 170 S カブリオレA」
【この76年落ちのベンツなんぼ?】ダイムラー・ベンツの役員用車両だった1950年式「メルセデス・ベンツ 170 S カブリオレA」
AutoBild Japan
エンジンがイカれても生還できる。砂漠で“絶対に死なないため”に作られた「エンジン2基搭載」のシトロエン2CVはその名も「サハラ」
エンジンがイカれても生還できる。砂漠で“絶対に死なないため”に作られた「エンジン2基搭載」のシトロエン2CVはその名も「サハラ」
WEB CARTOP
元F1ドライバーの愛車だったランボルギーニ「ミウラ」が高値で落札 予想価格を上回った1969年式「P400S」、その特別な来歴とは
元F1ドライバーの愛車だったランボルギーニ「ミウラ」が高値で落札 予想価格を上回った1969年式「P400S」、その特別な来歴とは
VAGUE
剥離全塗装で新車同然へ蘇った1216万円の落札額。海外競売で高評価を受けたランエボVI
剥離全塗装で新車同然へ蘇った1216万円の落札額。海外競売で高評価を受けたランエボVI
Auto Messe Web
GTレース引退後のほうが活躍した!? この世にたった2台しか存在しない、3億7000万円のフェラーリ「550GTC」
GTレース引退後のほうが活躍した!? この世にたった2台しか存在しない、3億7000万円のフェラーリ「550GTC」
Webモーターマガジン
希少なクリームイエローの1995年式『ボルボ850 T-5R』 何年も探し続けた英国在住オーナー 約350psへチューニング済み
希少なクリームイエローの1995年式『ボルボ850 T-5R』 何年も探し続けた英国在住オーナー 約350psへチューニング済み
AUTOCAR JAPAN
フェラーリBBへの不満から誕生!過激ケーニッヒ極初期作のメルセデスベンツ450SLC
フェラーリBBへの不満から誕生!過激ケーニッヒ極初期作のメルセデスベンツ450SLC
Auto Messe Web
走行1541kmが約18億1414万円で決着。フェラーリ「288 GTO」99番目の個体が記録した高値
走行1541kmが約18億1414万円で決着。フェラーリ「288 GTO」99番目の個体が記録した高値
Auto Messe Web
初期生産型「F40」を発見 希少な「ノンキャタ・ノンアジャスト」仕様 LM仕様に“改造”され日本でも過ごした「赤いフェラーリ」の価値とは
初期生産型「F40」を発見 希少な「ノンキャタ・ノンアジャスト」仕様 LM仕様に“改造”され日本でも過ごした「赤いフェラーリ」の価値とは
VAGUE
【走行距離王】ベルギーの男性が愛車のアウディ80で走行距離100万kmを35年かけて走破した感動物語 それには35年を要した
【走行距離王】ベルギーの男性が愛車のアウディ80で走行距離100万kmを35年かけて走破した感動物語 それには35年を要した
AutoBild Japan
ポルシェ944が新しいカタチに生まれ変わった! GT-K44登場──GQ新着カー
ポルシェ944が新しいカタチに生まれ変わった! GT-K44登場──GQ新着カー
GQ JAPAN
フェラーリを打ち破った栄光のGT40から38年後に……フォードGTで蘇る伝説のシルエット
フェラーリを打ち破った栄光のGT40から38年後に……フォードGTで蘇る伝説のシルエット
Webモーターマガジン
「スポーツカーなのにガチな走りは苦手⁉︎ 」バブル崩壊後に誕生し、独自の地位を確立した“街乗りで映えるお洒落な軽スポーツ”【ダイハツコペン】
「スポーツカーなのにガチな走りは苦手⁉︎ 」バブル崩壊後に誕生し、独自の地位を確立した“街乗りで映えるお洒落な軽スポーツ”【ダイハツコペン】
月刊自家用車WEB
塗装を一切施さぬ素地カーボン。アルファ ロメオ「33ストラダーレ」黒真珠の真意
塗装を一切施さぬ素地カーボン。アルファ ロメオ「33ストラダーレ」黒真珠の真意
Auto Messe Web

みんなのコメント

5件
  • xqx********
    ビモトーレ辺りは確かに「おおっ!」というコレクション。
  • ygd********
    ドイツといえば シュトゥットガルトの ポルシェ博物館とメルセデス・ベンツ博物館もお勧めです。
    ポルシェ博物館はSバーン(近郊電車)、メルセデスベンツ博物館はトラム と公共交通機関を利用して1日で2館余裕を持ってハシゴする事が可能です。
    ポルシェ博物館は歴代のポルシェのレーシングマシンが1列にズラリと並べられているのが圧巻で、メルセデス・ベンツ博物館は自動車の歴史博物館といった感じで規模の大きさに圧倒されます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村