各社からEVの新型車が続々と登場しているが、実際に売り上げを伸ばしているのは実用的なハイブリッドモデル。洗練された装備とパッケージで使い勝手のよさも人気の理由だ。今回はその中から注目の最新モデルをピックアップした。
人気の高いハイブリッドモデルの最新版を比較試乗
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今、自動車業界は「100年に一度の変革期」を迎えている。100年以上前は蒸気自動車や馬車が交通の要だったが、そこに新たな動力源としてガソリンエンジンが登場。以前から存在していた電気自動車も加わり、動力源の主導権を巡る争いが展開されたが、ガソリンエンジンの圧勝に終わった。そして現在、電池や電子制御の進化により、電気自動車が台頭。そこに水素も加わり、主導権争いが再び活発に。そこには各国政府の思惑や地球温暖化の問題など様々な要素が絡んでいる。
現時点ではグローバルでみると電気自動車がトレンドだが、資源供給の問題や今後、AIによる膨大な電力消費など懸念材料も多い。一方でガソリンエンジンも素材や燃焼効率の研究開発が進んでおり、大きく巻き返す可能性もある。そんな変革期において、人気の高いハイブリッドモデルの最新版を比較試乗した。同じSUVだが、そこには開発思想の明確な違いが存在していた。
BYDは2023年1月に日本で乗用車販売をスタート、次々と新型車を投入している海外メーカーだ。今回紹介する『シーライオン6』は、第5弾にあたるモデル。これまで投入した4車種はいずれも完全なEVだったが、ここにきて自社生産の4気筒1.5Lガソリンエンジンを搭載した前輪駆動モデルとガソリンターボの4輪駆動モデルを投入。ハイブリッドはBYD独自の方式で日常走行は電気+モーター主体、高速走行ではエンジンを併用する。実際に、街中を走行している時もエンジンはかかるが、音も振動も低く抑えられており、ほとんど気にならない。そして1.5Lエンジン+モーターの動力性能についても、0→100km/hの加速は6秒台後半で、燃費も平均で15km/Lを上回っていた。インテリアの質感もデザインのセンスも上質で好感が持てるクオリティーだった。
一方の『CR‐V』は直4、2Lのガソリンエンジン+モーターという組み合わせ。エンジンは低い唸り音がある。動力性能は0→100km/h加速は9秒台で、ファミリ向けSUVという印象。ドライビングモードは5つ選べる。購買意欲を刺激する内容だが『シーライオン6』との価格差をみると、その差分についていろいろ考えてしまった。
ハイブリッドの概念を覆す〝スーパーハイブリッド〟
BYD『シーライオン6』
Specification
■全長×全幅×全高:4775×1890×1670mm
■ホイールベース:2765mm
■車両重量:2100kg
■排気量/総電力量:1496cc/18.3kWh
■エンジン形式/モーター:直列4気筒ガソリンターボ/交流同期
■最高出力:131PS/204PS+204PS
■最大トルク:220Nm/300Nm+340Nm
■変速機:電気式無段
■燃費:18.5km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:448万8000円
※AWD
『シーライオン6』はBYD海洋シリーズの1台。フロントマスクも横基調のシャープなデザインのグリルを採用。同社はこれをOcean X Faceと名付けている。
全長4775mm、ホイールベース2765mm、全高1670mmというプロポーション。ウエストラインは高めで、ドアウインドウやサイドウインドウは細め。スポーティーなイメージを強調している。
リアウインドウのスペースは小さめ。テールランプは左右一文字にして、モダンなデザインを演出している。全幅は1890mmで1.9mを切っている。トランクの開口部は地上から810mmある。
究極のオールラウンダーを目指して造られたSUV
ホンダ『CR-V』
Specification
■全長×全幅×全高:4700×1865×1690mm
■ホイールベース:2700mm
■車両重量:1830kg
■排気量/総電力量:1993cc/1kWh
■エンジン形式/モーター:直列4気筒ガソリン/交流同期
■最高出力:148PS/184PS
■最大トルク:183Nm/335Nm
■変速機:電気式無段
■燃費:18.0km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:577万9400円
※e:HEV RS BLACK EDITION
薄型のヘッドライトとデイタイムランニングライトを左右に、中央に大きなグリルを置くのが最近のホンダのSUVデザイン。グリルの右下の赤いRSのエムブレムがスポーツ性能を主張する。
全長は4700mm、ホイールベースは2700mmで『シーライオン6』よりは小ぶり。全高も低めで実用性を重視したデザイン。ウインドウも広く、明るい室内はファミリーユースに適している。
テールランプは左右のCピラーまで伸びていて個性を主張する。左右のテールランプもそれぞれ独立。バンパーの下をブラックアウトし、腰高感を抑えているのが『シーライオン6』との違い。
エンジンとモーターの絶妙な組み合わせで使い勝手のよさを追求した最新SUV
BYD『シーライオン6』
エンジンルーム
エンジンは直列4気筒1.5Lガソリンターボ、モーターは交流同期型を前後輪用に搭載。電池はリン酸鉄リチウムイオンを採用している。
運転席と各種装備
中央のディスプレイは15.6インチで最新のインフォテインメントシステムが組み込まれている。操作系はコンソールに集中している。
シートスペース
内装は黒基調で茶系のアクセントとアンビエントライトを配している。前席の着座位置はやや高め。後席は床がフラットで足元も広い。
ラゲージスペース
奥行きは920mm、左右幅は960/1220mmと広いが、リアゲートの開口部はやや狭く、路面から高さが810mmある。サブトランクは狭い。
【ココがポイント】効率良く充電するための車内プラットフォーム
プラグインハイブリッドの充電スケジュールもインパネの大型ディスプレイで設定できる。充電は6kWの普通充電と18kWの急速充電に対応。電池の総電力量も18.3kWhなので充電もラク。
【ココがポイント】最新の装備はほぼ網羅!エンタメ好きにうれしいアプリも
安全装備の充実度も高く、車両周辺の状況を映す360度ラウンドビューモニターが便利。さらに15.6インチの画面で「U-NEXT」アプリが提供されるので、映画、ドラマ、アニメも楽しめる。
ホンダ『CR-V』
エンジンルーム
エンジンは直列4気筒2.0Lのガソリン仕様で、発電用と走行用の2基のモーターを搭載。クラッチも低速用と高速用が用意されている。
運転席と各種装備
直線主体の設計でおとなしくまとめられたインパネ。走行用のシフトやドライビングモードのスイッチはセンターコンソールに集約。
シートスペース
着座位置は前後シートともにやや高め。前席は送風機能を備えておりエアコンと協調制御するベンチレーションを搭載。夏でも快適だ。
ラゲージスペース
全長は『シーライオン6』より75cm短いが、リアの荷室は70mmほど長く、左右幅も余裕がある。開口部も低めで、広く使いやすい。
【ココがポイント】センターコンソールに集約された操作系スイッチ
走行時の変速や走行モードの切り換えは、センターコンソール上のスイッチで行なう。さらにヒルディセントコントロールスイッチも備わり、4WD走行をサポートする。
【ココがポイント】走行時のロードノイズを抑える最新のホイールを採用
ホンダが新たに採用したノイズリデューシングホイールを装着。高速走行のタイミングや内部で発生する共鳴音を中空構造のタイヤや消音装置で抑える機能を備えている。
上質感を追求した『シーライオン6』とオールラウンダーを目指した『CR-V』
BYD『シーライオン6』
爽快感〈17点〉
アッパーミドルサイズのSUVでしかもPHEVなので車体重量は2.1tある。走りが軽快だとは言えない。
デザイン〈19点〉
ウインドウを細くしてクーペライクにまとめている。上質感のある内装はレベルの高い仕上がりで好印象。
装備の充実度〈18点〉
大半の操作を大型のタッチパネルで行なうが音声操作にも対応。安全性や先進性を備えた装備は充実。
居住性〈19点〉
前後席ともかなり広い。エンジン音はアイドリングや充電中に少しだけ音と振動を感じるが静粛性は高い。
運転性能〈18点〉
ノーマルモードでも乗り味はやや硬め。中高速域で少し不安を感じることも。タイヤは中国製で乗り心地はやや硬め。
【評価点数】91点
ホンダ『CR-V』
爽快感〈17点〉
2Lガソリンエンジン+2モーターの4輪駆動はマイルド志向。スポーツスピリットはあまり感じられなかった。
デザイン〈18点〉
ブラックアウトされたフロントグリルと左右の薄いヘッドライトでスポーティーさを演出。内装は実用性を重視。
装備の充実度〈19点〉
ホンダセンシング360を標準で装備。Googleとの連携も強化しており、音声操作もスムーズ。
居住性〈17点〉
空間は前後席とも十分。2Lのガソリンエンジンはアクセル・オンでの唸り音など気になる部分もあった。
運転性能〈18点〉
ファミリーモデルに徹したクルマづくりだが、ハンドルの重さにはスポーツ志向が感じられる。乗り心地はいい。
【評価点数】89点
文/石川真禧照 撮影/望月浩彦 編集/安田典人
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