ブルネロ・クチネリの半生を描いたドキュメンタリー映画『ブルネロ:礼節ある先見者』。そのワールドプレミアがローマで開催された。名匠ジョゼッペ・トルナトーレ監督は、ファッション界の聖人に何を見たのか?
ファッション界の聖人
藤本壮介がGQ Men of the Year 2025でデザインした“循環するステージインスタレーション”
1年を締めくくる弊誌のイベント、GQ MEN OF THE YEARを終えた翌日、ローマへと旅立った。目的は、ブルネロ・クチネリのドキュメンタリー映画『ブルネロ:礼節ある先見者』(原題『BRUNELLO: IL VISIONARIO GARBATO』)のワールドプレミアに参加するためだ。
正直なところ、私はブルネロ クチネリというブランドについて特別詳しい知識を持っているわけではない。ブルネロにインタビューしたこともないし、ブランドが拠点とするイタリア・ウンブリア州にあるソロメオ村を訪れたこともない。ただブルネロ クチネリが、「世界で一番美しい会社」として称賛を集め、そのサステナブルな活動がファッション界のみならず、テック業界をも含めたビジネス界全体で注目されていることは知っていた。ローマへの機内では、ブルネロの著書『人間主義的経営』(クロスメディア・パブリッシング)を読んだ。彼の半生とその経営哲学が書かれた本を読んで驚いたのは、映画のようにドラマティックなエピソードの連続と、彼の古今東西の哲学への造詣の深さ、そしてビジネスで知り合った様ざまな国の人々への鋭い洞察力だ。ドキュメンタリー映画の監督を務めるのは、イタリア映画界の名匠、ジョゼッペ・トルナトーレ。トルナトーレ監督は、この現代の”聖人”のような人物を果たしてどのように描くのだろうか──。そんなことを考えながら、深夜のローマへと到着した。
チネチッタでのワールドプレミアローマを訪れるのは約30年ぶり、2回目となる。記憶にあるのは街中に遺跡が共存している風景だったが、その景色は今も変わらない。プレミアが行われる郊外にあるチネチッタへも、そんなローマの街並みを見ながら車で向かった。イタリア映画黄金期の記憶を宿すチネチッタ。その中に誕生したヨーロッパ最大のスクリーンとなる「テアトロ22」が上映会場だ。カクテル会場には古代ギリシャ・ローマ風の彫像が置かれ、チネチッタまでの道のりで目にした風景と相まって、これまで参加したプレミアとは違った独自の雰囲気を醸し出していた。そして「テアトロ22」に入ると、このブランドらしいニュートラルカラーのシートがずらりと並んでいる。プレミアのために特別に用意されたというが、その優美な景色にデザインの国・イタリアの底力を感じた。チネチッタのディレクターやブルネロ、トルナトーレ監督の挨拶を経て、いよいよ上映が始まった。
聖人か?ギャンブラーか?実際のところ、イタリア語の音声、英語字幕にも関わらず、2時間の映画はあっという間だった。基本的には、著書に描かれたブルネロの半生をベースとしたものだったが、それを題材にしたフィクション映画と言われればそのまま信じるほど、内容は劇的で面白かった。と同時に、私が混乱したのは、本から抱いていたイメージとは異なる、映画におけるブルネロのイメージだった。「果たして彼はギャンブラーなのか?聖人なのか?」。
映画を見終わり、私の頭に浮かんだのはこの言葉だった。
トルナトーレ監督が映し出すもう一つの顔映画で最も印象深かったのは、繰り返し現れるブルネロがカードゲームに挑むショットだ。もちろんトルナトーレ監督の演出だが、カードに向き合うブルネロの目は鋭く、ギャンブラー役を演じるどんな映画俳優よりも真正なそれであるように見える。著書の中でも、しばし子どもの頃から親しんでいたカード(トランプ)ゲームについて触れていて、「確率の分析という点でゲームの研究はその後のビジネスに役に立ちました。トランプをする時、私はいつも周りの様子を注意深く観察し、好奇心は飽くことを知りませんでした」(『人間主義的経営』より)と書いているが、カードゲームが彼のビジネスに対する感性を養う上で、ここまで重要な役割を果たしているとは映画を観るまでわからなかった。翌日の記者会見でトルナトーレ監督は「(ブルネロのエピソードの)再構築から本作を作ったのであって、インタビューから作ることに関心はなかった」と述べたが、ブルネロ クチネリというブランドそして本人への知識がほとんどないところから作品作りを始めた監督は、リサーチしていくうちに、カードゲーム、さらには勝負師としての顔がブルネロを形作る重要なエレメントと感じたのだろう。そしてそれは、世界のビジネス界から尊敬される“聖人”を、私たちと同じ人間ブルネロ・クチネリとして肉付けしてくれることともなった。
何もないところから才気と信念でビジネスとサステナブルを融合させたビジネスモデルを作り出し、それを自らの手で再生、そして作り上げたイタリアの美しい村、ソロメオで実現するブルネロ・クチネリ。彼は天才的なギャンブラーなのか、人間や自然を傷つけることなく利益を生み出す「人間のための資本主義」の実現に邁進する社会起業家なのか——、このレビューを書きながら思ったのは、彼はその両者であるのだろうということだ。本作は来年、日本での公開も検討されているという。現実と理想がいかに共存することが可能か、諦めず挑戦しようとしている人には必ず観て欲しい作品だ。
『ブルネロ:礼節ある先見者』監督・脚本:ジョゼッペ・トルナトーレ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
編集と文・石田潤(GQ)
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