日本独自の規格で、取り回しやすいサイズや高い経済性が人気の軽自動車。1949年に制定され、これまでに数々の車種が誕生したが、スズキ・アルトはそのなかでも代表的な存在。いわば軽自動車のスタンダードだ。それゆえ保守的なイメージもあるが、実は攻めたモデルも多かったのだ。
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かわいい見た目にだまされるな!! 「中身ガチ勢」なアルトの異端児たち
文/木内一行、写真/スズキ、CarsWp.com
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「驚きの47万円を実現した軽ボンバンの先駆者」 初代
直線的でシンプルなデザインのボディは、当時の軽自動車規格が現在よりも少し小さかったため、全長3195×全幅1395×全高1335mm、車重は545kgしかなかった。当初のボディカラーはレッド、ホワイト、シルバーの3色
アルトがデビューしたのは1979年5月。
当時の軽自動車は贅沢品ということで15.5%の物品税が課税されていたが、一方で商用車は生活必需品という観点から非課税となっていた。そこに目をつけ、「軽ボンネットバン」という新ジャンルの商用車として送り出したのがアルトだった。
商用車とはいうものの、見た目はほぼ乗用車だ。基本的には同社のフロンテをベースにした2ドアモデルで、低価格を実現するために装備を徹底的に簡素化。製造コストも削減し、47万円という驚きの低価格と自動車業界初の全国統一車両本体価格を実現したのである。
内外装はシンプルでメカニズムも機能優先。当初は2サイクル3気筒550ccエンジンと4MTの組み合わせのみだったが、その後2ATや4サイクルエンジンも搭載され、4WD車も設定された。
そして、この低価格が消費者に支持されてアルトは大ヒット。これに続けとばかりにライバル社もミラクオーレ、ミニカエコノ、レックスコンビなどを発売し、軽ボンネットバン市場は盛り上がりをみせた。
「ここから始まったアルトワークス伝説」 2代目
大ヒットした初代の後を受け、アルトは1984年に2代目へモデルチェンジ。
乗用車らしさが増し、使い勝手や快適性が高められた一方で、ユニークなモデルも登場した。それが「ウォークスルーバン」だ。
アルトのフロント部分と背の高い箱型キャビンを組み合わせたスタイルで、左側大型スライドドアと上下2分割式バックドアを採用。高いルーフとフラットなフロアのおかげで室内はとにかく広く、軽自動車の枠を超えた積載性と高い利便性を実現した。
ちなみに、右側にドアはないため、乗り降りは左側のスライドドアから行う。
この2代目では、スポーツモデルの進化も著しい。
まず、1986年のマイナーチェンジ時に軽自動車唯一の550ccDOHCエンジンを搭載した「ツインカム12RS」を設定。SOHCターボモデルもパワーアップして「ターボSX」となり、DOHCとターボという2本立てでスポーツグレードを強化した。
そして、本命となる「ワークス」シリーズが矢継ぎ早に登場。
このワークスシリーズは、まさに究極とも言えるハイパフォーマンスモデルで、クラス初のDOHCインタークーラーターボエンジンを搭載。最高出力は64psを発揮し、これを発端に軽自動車の自主規制が始まったというのは有名なハナシ。
駆動方式もFFの他、ビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDが設定された。また、派手な内外装も特徴だった。
「斬新すぎた両側スライドドア仕様」 3代目
ワークスの登場で注目度が高まったアルトは、3代目でさらなる個性派をラインナップさせた。
左右のドアをスライド式とした「スライドスリム」である。もちろん国産軽自動車初で、回転ドライバーズシートを組み合わせたことでスマートかつ容易な乗降が可能となったのだ。
ちなみに、1990年のマイナーチェンジで軽自動車は新規格に変更されたが、同時にスライドドアは運転席側のみで助手席側はヒンジドアになった。
また、新規格変更後にはボディ後部をキューブ形にしたフルゴネットスタイルの「ハッスル」も追加された。
これは乗用車感覚ながら広々とした居住スペースを確保し、大きな荷物の積載はもちろん、レジャーでも役立つ多機能性を実現。ヨーロッパ車的な小洒落たスタイリングも魅力のひとつだった。
「時代を先取りしたEVモデルをリリース」 4代目
スズキは他社に先駆けて1992年にアルトの電気自動車を発売したが、その5年後には走行性能や電費を大幅に向上させた進化モデルをリリース。4名定員ながら十分な荷室容量を確保し、実用性がさらに高まった
4代目では進化した電気自動車が登場。
スズキは1968年から電気自動車の開発に着手しており、1970年の大阪万博ではキャリイバンの電気自動車が会場内の管理施設パトロール用に使用されていたほど。そんな長年で培った技術がアルトに詰め込まれた。
見た目はガソリン車とほぼ同じだが、15kW /8.0kgf・mを発揮する小型で軽量・高効率のDCブラシレスモーターと、きめ細かな制御が可能なIGBTインバータ、シール型鉛バッテリーを組み合わせ、10.15モードで55km、40km/h定速走行で90kmの一充電走行距離を実現。
さらに、バッテリーを床下収納にしたことで、4名定員と十分な荷室容量も確保した。ちなみに、発売当時の価格は279万円だった。
「燃費自慢が登場し、走り自慢が復活」 7代目、8代目
21世紀になり、年々省資源・低燃費の気運が高まるなか、7代目では時代にマッチした新しい仲間が登場。
モデルチェンジから2年ほど経った2011年11月に追加された「アルト エコ」は、スズキの低燃費技術を結集した燃費自慢のモデルだ。
一番のキーとなるのはパワートレインで、新世代R06Aエンジンおよび副変速機付きCVTは新技術を取り入れて徹底的にフリクションを低減。アイドリングストップシステムも、エンジン停止の頻度を高めるような改良が施された。
さらに、車高を15mm下げ、新形状のフロントバンパーにより空気抵抗を低減。車軸の見直しや専用タイヤを採用し、回転および転がり抵抗も抑えられたという。
こうした細かな取り組みにより、当時ガソリン車トップの燃費30.2km/Lを達成。その後も段階的に燃費性能が向上し、最終的には35.0km/Lを実現した。
このように低燃費車をアピールしつつ、8代目では「ワークス」が15年ぶりに復活。「クルマを操る楽しさを追求し、さらに走りを磨き上げた軽ホットハッチ」を目指し、内外装に専用パーツを採用。
エンジンはR06Aターボのままだが、既出のターボRSよりも最大トルクを高めつつアクセルレスポンスも向上。専用開発のショートストローク5速MTと、専用チューニングを施した5速AGSが組み合わされる。
もちろん足回りも強化され、軽自動車離れしたパフォーマンスを披露するのだ。
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