2022年7月15日に新型クラウンが公開されたが、なんとこれまでのセダンのみから驚きの4車種に分裂した。セダンは残されているが、他はSUV、ワゴン、そしてクロスオーバーとなっている。
トヨタはチャンネルごとでの専売車種の設定をやめ、全店で同じ車が買えるようになっている。それでも、チャンネルごとに得意な販売車種というのがある。それは、従来はそのチャンネルでしか買えない車種の顧客を抱えているからだ。
4種類のクラウンはどのチャンネルで売りやすいのか? 全店販売で生きる新生クラウン!!
そこで今回は、チャンネルごとにどのクラウンが売れそうかを分析する!
文/小林敦志、写真/ベストカー編集部、TOYOTA
■クラウンは売りにくい? 販売チャンネルごとの得手不得手
2022年7月15日のワールドプレミアで4車種が発表された新型トヨタ クラウン
デビュー前から話題となっていた新型クラウン。7月15日のワールドプレミア後もネットニュースでは“クラウンネタ”が絶えない状況が続いている。
“クラウンブランド”としては数々の新しいチャレンジというか、“新次元”をめざした部分の多い新型クラウン。そのなかでとくに注目されるのが多品種構成である。
とはいっても歴代クラウンでも4ドアセダンあるいは4ドアハードトップをメインとし、2ドアハードトップ、ステーションワゴン、ライトバンと多品種構成の時期はあった。
しかし、今回セダンはあるもののやや控えめな存在となっており、セダンとSUV、そしてクーペが融合した“クロスオーバー”、クーペSUVスタイルの“スポーツ”、そしてクロスオーバーSUVスタイルの“エステート”という、いまどきと言っていい多品種構成となっている。
トヨタは新型コロナウイルスの感染拡大初期ともいえる2020年5月にすべての店舗で全車種が買えるようになった。しかし、一部地域を除き、それまでのトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店という4チャンネルの正規販売ディーラー体制を維持している。
2020年5月以前には、それぞれのチャンネルごとに“専売車種”というものが用意されていたのだが、2020年5月以降はその専売車種がどの店でも買えるようになったのである。
プリウスなど全チャンネル扱いの車種があった一方で、トヨタ店ではクラウン、トヨペット店ではアルファード&ハリアー、カローラ店ではカローラ、ネッツ店ではヤリスなど、それぞれのチャンネルでの“専売車種”が用意されていたのである。
2020年4月及び5月こそ新車販売台数全体が大きく落ち込んだとはいえ、コロナ禍となってからも“トヨタ一強”と言われるほど国内販売が好調に推移していたのは、この全店舗全車種販売実施が大きく貢献したともいわれている。
自販連(日本自動車販売協会連合会)統計による、2020暦年締め年間新車販売台数をみると、新車販売全般ではコロナ禍直後の4月と5月に大きく販売台数と落としているにも関わらず、2019年同期比でカローラが113.3%、アルファード132.1%、ハリアー182.3%など旧専売車の多くが販売台数を伸ばしているのに対し、クラウンは61.4%となっている。
コロナ禍でハイヤーなどの稼働が大きく落ち込み、フリートユースが落ち込んだのも影響していたようだが、トヨタ店以外で新規にクラウンを扱うようになったトヨタディーラーからは“売りにくいクルマ”という声も聞かれ、全チャンネル販売化されたとはいえ、その効果が発揮されることはなかった。
■独特の手法で販売されていたクラウン
全店舗全車種販売が実施された2020年5月、クラウンは写真の15代目が販売中だった
高級セダンであるクラウンは、ほかの多くのトヨタ車に比べ売り方もある意味特殊であった。
筆者の見てきた範囲ではかつて専売であったトヨタ店の店舗にはほかの販売チャンネルの店舗ではまずお目にかかれない、個室となっている商談スペースがある。
クラウンのおもな販売ターゲットは、企業経営者であり、とくに各地の地元に根付いた有力な中小企業経営者がメインとなっていた。そのため地域によっては“クラウン班”という専従班が構成され、クラウン班以外の人間はトヨタ店のセールスマンとはいえ、原則クラウンを販売できないといったところもあったと聞く。
1980年代後半あたりから、店頭で新車販売するスタイルが定着してきても、クラウンはクラウンユーザーである得意客への新車への乗り換え促進、そして得意客からのクラウンが欲しいというお客を紹介してもらう、紹介販売など外回り営業による販売活動がメインとなっていた。
高額であるだけでなく、トヨタを代表するプレステージセダンなので、ある意味“客を選んだ”売り方をしていたのである。
最近でこそ、反社会的勢力へ販売し、資金洗浄されるのを防ぐなどコンプライアンス的意味合いからも高級輸入車では現金販売を行わないなど対策を打つのは当たり前だが、クラウンは、はるか前からある意味素性の良くないと判断できるお客への販売を警戒してきたのである(それでもさまざまなルートや方法から調達されるので完全に防ぐのは難しい)。
■適材適所! 新型クラウンはこう売れ!?
4車種の先陣を切って、まずは2022年秋に発売される新型トヨタ クラウンクロスオーバー
そのため、トヨタ店にはそのような販売ノウハウを豊富に持っているのだが、ある日突然“クラウンも売っていいよ”といわれたほかのチャンネル(とくに上級車が販売の中心ではないカローラやネッツ店)では、売り先の素性を探るノウハウも少なく、店頭販売がメインとなる。
その場合、クラウンは売りにくいし、積極的には売りたくないというセールスマンもいたようだ。トヨタ店以外ではFF車販売が主流であり、FRのクラウンはアフターメンテナンスでもやりにくい部分もあるといった話も聞いたことがある。
そこで、今回の新型クラウン。4車種が発表されたが、今秋発売予定のクロスオーバーを皮切りに、順次発売されていくとはいうものの、多品種構成については国内販売にて各チャンネルを意識しているようにも見える。
つまり、どの店でもすべてのトヨタ車は購入できるが、得意分野がそれぞれある。
新型クラウンで見れば、セダンは歴代モデルユーザーを抱えるトヨタ店、クロスオーバーはハリアーをかつて専売していたトヨペット店、エステートはRAV4やハリアー、カローラクロスなどSUVを量販するカローラ店、スポーツは比較的若い客層の目立つネッツ店といった感じで販売ボリュームの調整も可能なように見える。
あれだけ高額なのにアルファードが飛ぶように売れているのは、乗り手を選ばないFF方式のミニバンというスタイルなので、どのチャンネルでも売りやすかったことが大きいだろう。
またコンプライアンス対策も、最近では現金販売の場合はディーラーの口座への振り込みを原則としており、現金の流れの履歴を残すことで、資金洗浄などの抑止効果が高まっている。
人気のSUVなどならば、トヨタ店以外でも積極的に販売できるし、自販連統計ではすべてを“クラウン”として販売台数が合算できるので、通称名(車名)別販売ランキングでは、今後クラウンシリーズが上位にランクインしてくる可能性が高い。
それが常態化すれば、「日本で人気が高い」ということも加わり、世界販売においての販売促進効果も高まることになるだろう。
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アホくさい記事ですこと。