輸入バイクでも普通自動二輪免許で運転できる、排気量が400cc以下のバイクは少なくない。それらの多くは、新興国など大型バイクがあまり普及していない国や免許を取ったばかりのライダーに向けて企画されたものだが、各メーカーの個性が詰まった楽しいバイクばかりである。
また、そうした国やライダーをターゲットとするため、価格も手頃なモデルが多い(そうでないバイクももちろんあるが)。例えばBMW G310Rは62万3000円だが、国内メーカー製バイク、例えばヤマハ MT-03は65万4500円、カワサキ Z400は67万9800円である。車検のない250ccモデルなら、KTMの250デュークは58万6000円、ホンダCB250Rは56万4300円、ヤマハMT-25は62万1500円、といった具合である。
【画像ギャラリー27点】普通自動二輪車免許で乗れるBMW、ドゥカティ、KTM、ハスクバーナの車種はコレだ!
国産車と同等の価格なら購入候補に挙げたいという人は少なくないはず。そこで今回は、普通自動二輪免許で運転できる代表的な輸入バイクを紹介しよう。
BMW G310R
多くの人が思い浮かべるのは四輪車かもしれないが、BMWは第二次世界大戦前からバイクを製造する老舗二輪メーカーでもある。そんな同社のラインアップで最小排気量となるのが、34馬力/2.9kgmを発揮する313cc水冷単気筒DOHCエンジンを積んだロードスポーツ、G310Rだ。
一般的なバイクとは逆の前方吸気・後方排気のレイアウトによりマスの集中化や前後重量配分の最適化がなされ、ロングスイングアームと相まってキビキビ感と安定感を両立している。スーパースポーツベースのネイキッドモデル、S1000Rを思わせるデザイン、250ccモデルよりも厚いトルクにより通勤や通学など普段使いからツーリングまで幅広く楽しめる。
BMW G310GS
BMW車では1254ccフラットツインエンジンを積んだR1250GSを筆頭にアドベンチャーモデルが人気だが、このG310GSはベースとなったG310Rと同じ313cc単気筒エンジンを搭載するエントリーアドベンチャー。G310Rからサスペンションストロークをフロント40mm、リヤ49mm伸ばし、フロントホイールを19インチ化。シート高はG310R比で50mmアップの835mmとなるため小柄な女性だと足着き性が気になるかもしれないが、標準モデルよりもシート高を15mm下げられステップアーチも小さいローシートなどもオプションで用意されている。
小ぶりだがウインドスクリーンも備えているので、ツーリングを重視するならG310GSを選ぶのもいいだろう。
KTM 390アドベンチャー
G310GSのライバルとなるのが、KTMの390アドベンチャーだ。こちらもKTMアドベンチャーシリーズのエントリーモデルで、ネイキッドの390デュークがベースとなる。搭載される373cc水冷単気筒DOHCエンジンは44馬力/3.8kgmの性能を持ち、高速走行でも余裕の走りを見せる。
400ccクラスとしては大柄なボディを採用しておりシート高も855mmと高めだが、重量(乾燥重量)は158kgと軽量。上位モデル譲りのWP製サスペンション(フロントは減衰力調整、リヤはプリロードと減衰力調整式)を採用し、トラクションコントロールやコーナリングABSはオフにできるなど、オフロード寄りのアドベンチャーと言える。
ドゥカティ スクランブラー シックスティ2
レースのイメージが強いドゥカティだが、現行モデルで唯一、普通自動二輪免許で運転できるのがスクランブラー シックスティ2。スチール製トレリスフレームに搭載されるエンジンはドゥカティ伝統のVツイン(空冷)で、399ccの排気量から40馬力/3.5kgmの性能を発揮する。
サイズは上位モデルのスクランブラー800とほぼ同じなので小さなバイクに乗っているという感覚は皆無。オフロードテイストを持たせたネイキッドモデルのため乗車姿勢はアップライトで、スリムな車体と790mmのシート高により足着き性に優れるなど使い勝手も上々だ。
400ccクラスとしてはやや高価だが、ブレンボ製フロントブレーキキャリパーを採用するなどドゥカティらしい走りへのこだわりも感じられるモデルだ。
KTM 250デューク
KTMのネイキッドモデルには390アドベンチャーのベースとなった390デュークもあるが、2015年に200デュークの後継車としてデビューし、17年型で早くもフルモデルチェンジした軽二輪モデル、250デュークに注目したい。
現行モデルは390と同じスチール製トレリスフレームに30馬力/2.4kgmを発揮する249cc水冷単気筒エンジンを搭載。KTM車共通のエッジの効いたボディワーク、WP製倒立フォークやバイブレのラジアルマウントブレーキキャリパーなど走りの装備も390譲りで、ライトウエイトスポーツらしい軽快な走りが楽しめる。
ハンドルは幅広&近めなためライディングポジションは比較的アップライトだが、シート高は830mmとやや高めだ。
ハスクバーナ スヴァルトピレン250
KTM 250デュークをベースにコンセプトモデルのような個性的なデザインを採用した、ハスクバーナの軽二輪スクランブラー。兄弟車のカフェレーサー・ヴィットピレンシリーズが強めの前傾姿勢なのに対し、アップライト気味の自然な乗車姿勢となり、ポジションの自由度も高く街なかでも使いやすい。
高強度クロモリ鋼製フレームに搭載される248.8cc水冷単気筒DOHCエンジンは最高出力31馬力、最大トルク2.4kgmを発揮。サスペンションはWP製、ブレーキキャリパーはバイブレ製で、ボッシュ製ABSが組み合わされる。なお、シリーズの上位モデルであるスヴァルトピレン701と400、兄弟車のヴィットピレン701と401はスポークホイールを履くが、この250はキャストホイールとなる。
小規模メーカーや新興メーカーのバイクにも注目
ファンティック キャバレロ スクランブラー250
ファンティックは1968年に創業し、オフロードレースやトライアルなどで実績を残したイタリアの二輪メーカー。日本にはスクランブラーとフラットトラック、エンデューロ、ラリー500が導入されているが、ここでは25馬力/2.24kgmを発揮する249.6cc水冷単気筒エンジンをセミダブルクレードルフレームに搭載した軽二輪モデル、キャバレロ スクランブラー250を紹介したい。
ゴツめのブロックパターンタイヤはフロントが110/80-19、リヤは130/80-17と太く、オフロードテイストが強い。シート高も820mmと高く足着き性がいいとは言えないものの、ライディングポジションはアップライトで運転はしやすい。φ320mmフロントブレーキディスクは500ccモデルと同じで、倒立式フロントフォークやプリロード調整機能付きリヤサス、カット可能なABSも装備する。なお、日本ではサイン・ハウス車両事業部が取り扱う。
GPX レジェンド250ツイン
2019年に日本上陸を果たしたタイの二輪メーカーで、創業は2007年と若い。ネイキッドのレジェンド150/250ツインとジェントルマン200、カフェレーサースタイルのジェントルマン レーサー200、フルカウルスポーツのデーモン150GR、コミューターのPOPZ 125というラインアップを持つ。
注目は、234cc空冷並列2気筒エンジン積むレジェンド250ツイン。16.3馬力/1.58kgmのエンジンスペックに特筆すべき点はないものの、セパレートハンドルを採用したローポジションのスタイリングや流麗なタンク形状、フロントのダブルブレーキディスク、リヤの2本サスなどからは往年のカスタムレーサーといった雰囲気が感じられる。
日本ではGPXジャパンが取り扱っており、販売代理店・協力店は全国に23店舗(記事執筆時点、以下同)。250ccパラツインエンジンで約46万円という価格に魅力を感じる人もいるはずだ。
マットモーターサイクルズ スーパー4 250
イギリスのカスタムビルダーを発祥とする新興メーカー。基本スペックは同じで、シートデザインやカラーリングなどが異なる、マスティフ、モングレール、サバス、ファットサバス、ヒルツ、RS-13、スーパー4という幅広いバリエーションを用意。
車種により125ccと250ccのエンジンを搭載し、249cc空冷単気筒エンジンは21馬力/2.0kgmの性能を有す。モングレールを除きブロックパターンのタイヤを履いており、このスーパー4 250は1960~70年代にアメリカに輸出された日本車をモチーフとするグラフィックが特徴だ。
日本の代理店はイタルモトやロイヤルエンフィールドも取り扱うピーシーアイで、全国に14の販売店を持つ。
SWM
1971年に創業したイタリアのSWMは、エンデューロやモトクロス、トライアルなどで活躍。現行モデルはそのブランドを引き継ぎ2014年に誕生した新興メーカーで、ネイキッド、クラシック、オフロード、モタードバイクなどをラインアップする。
このグランツーリスモ400は、27馬力/3.4kgmの性能を持つ397.2cc空冷単気筒エンジンを搭載するネオクラシックモデルだ。特徴的なのが、ユニークな形状の燃料タンク。22.5L容量の大型タンクと、安定性の高いフロント19インチホイールを生かしてのんびりとツーリングを楽しむのが似合いそう。
なお、アップマフラーやブロックパターンのタイヤを履いたスクランブラーモデル、シルバーベース400もある。取り扱いはMVアグスタジャパンで、販売店は全国に27か所。
個性があるからバイクは楽しい!
“輸入車”と言われたとき、あなたはどんなバイクを想像するだろう。きっと、ハーレーのように車体も排気量も大きいモデルや、ドゥカティなどのスーパースポーツ、BMW R1250GSなど大型アドベンチャーが思い浮かぶのではないだろうか。となると、普通自動二輪免許しか持っていない人は「自分は運転できない、縁がない」と思うはずだ。
ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキという世界に誇るバイクメーカーを有する日本では、国産車だけを乗り継いでも充実したバイクライフを送れるのは間違いない。しかし、趣味の乗り物であるバイクはメーカーによってその味付けが大きく異なるし、ひと昔前の輸入車と違い現行モデルならクセが強すぎて扱いにくいということもない。
今回紹介したモデル以外にも原付二種となる125cc以下のMTモデルも輸入されているから、「輸入車は大きくて重く、しかも高価だ」と思っていた人は、ぜひこれらの輸入バイクを試してみてほしい。
まとめ●片倉義明
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みんなのコメント
無故障ではないが日本車と比較して故障が多いとは思わないし、部品も比較的手に入りやすい。
目指せ10万Km^^
ディーラーが近くに無いのと、車両トラブルが心配なので、遠出に使うには勇気がいる。