■新型ランドクルーザー250は「プラド後継」じゃない?
トヨタは新型「ランドクルーザー250」を2023年8月2日に世界初公開しました。
「プラド後継」と噂されていた新型モデルですが、結果としてまったく新しい250系として登場しています。では、250とはどのようなモデルなのでしょうか。
【動画】これが新型「ランクル250」 デザイン凄い! 動きをのある様子を見る!
ランドクルーザーファンにとって待望の日となった8月2日。
これまで、日本でのランドクルーザーはフラッグシップモデルとプラドという二本立てで販売されてきました。
しかしプラドが生産を終了することでその系譜は途絶え、代わりに登場したのがランドクルーザー250です。
市場によってはこれまで使ってきた「プラド」というマスコットネームは廃止され「ランドクルーザーのど真ん中に原点回帰する」という開発陣の想いから、○○系というランクル伝統の番号が与えられました。
名称についてランドクルーザー300・250の開発主査 森津圭太氏は以下のように話しています。
「今回のテーマが『原点回帰』ということもあり、ランクルのど真ん中という立ち位置になりました。
そのため、日本ではプラドという名前が付いていましたが、新型では伝統の型式名を付ける形で250系となりました」
またそのスタイリングも、その想いが非常に色濃く出ているものになります。
スクエアなフォルムは、オフロードで車体を操る時に見切りや車体位置の把握といったものがしやすい形状。
さらに、昨今のユーザーが4WD車に求める力強さといった雰囲気にも繋がっています。
またできるだけ直線的なパネルを採用することで、オフロード4WDに求められる修理のしやすさも実現しました。
驚いたのは、フェイスデザインが2タイプ用意されたことです。
キーンルックの3眼式LEDと丸目LEDライトの設定があり、これらは購入後にそれぞれを交換することができるようにもなっています。
詳細はまだ明らかではありませんが、ボディパネルに組み合わせにある程度の自由度があるようです。
加えて、漏れ伝わってきた話では、第三の顔も用意されているといい、これはGRバージョンであることが予想されます。
インテリアも現代的な豪華さを持っていながらも、直線基調でデザインされています。
これはスズキ「ジムニー」がそうであるように、オフロードでの車体状況や周囲の地形を把握しやすくするための配慮でもあります。
操作系は300系同様に、機能別にスイッチ類が集約されており、走行中に直感的に手が伸びるように配置されていることが分かります。
ちなみに一見すると、レクサス「GX」に雰囲気が似ていますが、ラダーフレームとボディパネルの一部を共用する以外は、すべて専用設計になっています。
■パワートレインは様々!? ランクル初のハイブリッドも採用!
パワーユニットはグローバルで以下の5種類が用意されました。
・2.7Lガソリン:良品廉価ベーシックパワートレーンで、日常域での扱いやすさを改善。
・2.4Lガソリンターボ:新開発のTNGAパワートレーンにより、のびやかで力強い走り・静粛性・環境性能を実現した量販型ガソリンパワートレーン。
・2.4Lガソリンターボハイブリッド:オフロードはもとより、発進から登坂・トーイング時まで全域でワンランク上の加速性能と環境性能を両立。上級版電動パワートレーン。
・2.8Lターボディーゼル:燃費・力強い走りで定評のある1GDと8ATの組み合わせにより、オフロード/オンロードでの扱いやすさを向上。(一部国・地域で6ATを継続設定)
・2.8Lターボディーゼル(48Vシステム):1GDの特徴に加え、市街地や渋滞時の実用燃費を向上。上質で静かなエンジン始動と、スムーズな走り出しも実現。
中でも注目は、2.4リッター直列4気筒ガソリンターボ+モーターのフルハイブリッドシステムが、ついにランクルのパワーユニットに加わったことです。
ランクルの電動化については、その信頼性を心配する市場の声もありましたが、時代の流れを鑑みて、ついに導入に踏み切りました。
このシステムは、すでに発売されているトヨタ「タンドラ」、そしてこれから発売予定の「GX」と基本は同じものだと言います。
ですが、ランドクルーザーというブランドの信頼性を落とさぬように、さらに耐久性、信頼性の面で強化されているようです。
なおハイブリッド車は当初は北米、中国市場で先行販売され、いずれ日本でも発売される予定です。
メカニズムの進化では、注目すべき点がいくつもあります。
1番大きなことは、エンジンと駆動系に加えて、サスペンションの減衰力(AVS)も統合制御されるようになったことです。
オフロードでは、乗り心地の確保という点に加えて、タイヤをいかに路面に押しつけるかという命題がサスペンションに課せられます。
250系は300系同様に、H4はドライブモードセレクトで減衰力調整ができるだけでなく、L4にシフトするとモーグル専用の制御を行います。
モーグル地形では、対角線上のタイヤ2輪だけが接地するというシーンがよくあります。
この時に空転している(接地性が不足している)2輪のダンパー現素力を調整することで、タイヤのトラクションを回復させる試みを行うということです。
ランクルには元々、ブレーキLSD式のトラクションコントロールが付いているので、これらのすべての制御が行われれば、HTやAT系のタイヤでも高い悪路走破性が期待できます。
ランクルの伝家宝刀「マルチテレインセレクト」も、当然ながら進歩しています。従来は4Lのみでの作動でしたが、4Hでの作動も可能になりました。
これは、北米や豪州など、高速で原野を走りたいというユーザーにニーズに応えた結果のようです。
さらに、マッドやスノーといった路面状況を自ら選択できるモードに加えて、よりイージーなドライブを可能にした「AUTO」モードが追加されました。
実際の路面状況とモード選択が整合しないというユーザーでも、AUTOに入れておけば汎用的にトラクションのコントロールを行ってくれます。
ただし、各モードに入れたほうが、より高い悪路走破性を発揮するようになっています。
■250系と300系は何が違う? 気になる250系の価格帯はどのくらい?
気になるハイブリッド車のオフロード性能ですが、当然ながらモーターを使うこのシステムは、オフロード性能も内燃機関よりも高くなっています。
特に低速でジワジワと進まざるをえないようなオフロードでは、モーターの瞬発的、かつ強いトルクが威力を発揮します。
さらに、電動ゆえに統合制御との親和性が高く、内燃機関よりもスピーディかつデリケートなトルクコントロールが可能なようです。
250系は300系とGA-Fプラットフォームを共用し、ボディサイズ的もほとんど変わりません。
そのため、市場での差別化が難しいように思えますが、250系・300系のチーフエンジニアである森津圭太氏は次のようにその違いを語ります。
「300系はランドクルーザーシリーズではフラッグシップであり、常に新しい技術を一番早く投入されるモデルです。
250系はより実用モデルであり、まさにランドクルーザーのど真ん中的なモデルというポジションで開発しました。
これまで開発してきた技術をさらに磨いて、ランクルの集大成的なクルマに仕上げました」
250系には仕向け地によっては、ハイテク装備が付いていないモデルも用意されており、150系プラド同様に世界の僻地で使われることも想定しているようです。
※ ※ ※
ちなみに、250系と同時に70系の進化版も会場で発表されました。
ただ250系を見る限りでは、いずれワークホース系、ヘビー系といわれるランクルの系譜は、70系から250系に移行していくのではないかという予感もあります。
150系の系譜を受け継ぐということで、その中身が気になるところでしたが、250系は紛れもなく「theランドクルーザー」であり、新しい時代の到来を実感させるものでした。
発売は2024年前半と言われており、価格帯も150系を意識したものになるということです。
ランクルファンにとっては、NEW70系にいくか、それとも最新の250系にいくか、非常に悩ましい状態と言えるでしょう。
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みんなのコメント
しかし、デザインは悩むところだな・・・
どっちもかっこいい