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リーフとアリアの取材を通じて感じた日産のイマ【新米編集長コラム#35】

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リーフとアリアの取材を通じて感じた日産のイマ【新米編集長コラム#35】

スタイリッシュに生まれ変わったリーフ

ルノーのルカ・デメオCEOの電撃辞任で始まった今週の自動車業界。私も英国編集部が『Breaking News』として伝えた第一報で知り、衝撃を受けた。

【画像】新型リーフ、アリア、フェアレディZ!文中に登場した日産車たち 全183枚

ルノー5&4の復活やルノー・グループの中でアルピーヌをスポーツブランドと位置づけたことなど、同氏の印象に残る施策は多い。事情は計り知れぬが、しばらくはルノー・マネージメントの動きを注視したいと思う。

さてそれは想定外として、予定どおりの大きなニュースとしては、新型日産リーフのワールドプレミアが6月17日火曜日21時にあった。私も事前に日産本社で行われた説明会に参加し、モデル概要を聞いている。残念ながら実車は見られていないが、写真で見る限りかなりスタイリッシュに生まれ変わった印象だ。

全長が4460mmから4360mmへと120mm短くなったのは大きなトピックで、しかもフロントオーバーハングが1040mmから840mmと200mmも短くなっている。説明会での資料を見る限り、室内や荷室スペースは犠牲になっていないようだ。

また、先代までのシンプルなハッチバックから、ルーフより後方が斜めになったファストバックスタイルとなったのは、空力を優先した結果だという。その斜め角『17度』は空力をよくするマジックナンバーと呼ばれているそうで、カッコ優先というわけではなかった。

このエピソードに代表されるように、新型リーフの説明会はとにかく効率を徹底的に追及して作ったという開発チームの熱量が伝わってくる内容で、日本仕様は恐らく秋のジャパン・モビリティショーで発表だが、「これはよさそう!」という期待を抱いている。

乗り逃してきたアリアに初めて試乗

リーフはアリアで初登場したCMF-EVプラットフォームを採用していて、ショートオーバーハングはこのプラットフォームのよさという説明もあった。アリアは少し前に乗る機会があったので、なるほどと納得している。ちなみにアリアに乗るのは今回が初めてで、当コラムでは何度か書いてきた『乗り逃してきた』うちの1台だ。

今回お借りしたアリアは、『B9 e-4ORCEプレミア(91kWh)』で、ボディカラーは特別塗装色となるディープオーシャンブルーとミッドナイトブラックの2トーン。実はこれが個人的にかなり刺さっていて、初対面から結構気に入ってしまった。

少し日産デザインに対する印象を書くと、ここ最近の『雰囲気』が、個人的に好きだった1990年代前後に似ていると感じている。以前このコラムでも書いたように、実家にY31型グロリア・グランツーリスモがあったこともあり、思春期はかなり日産の影響を受けた。

そしてその『雰囲気』の正体は、プロダクトアウト傾向かマーケットイン傾向かの差だと思っている。あくまで個人的なイメージという前提で筆を進めると、こういうクルマを作りたいという想いや温度感が伝わってくる前者と、これは商売優先なんだろうなぁという後者。

カルロス・ゴーン体制の時は徹底したマーケットイン傾向だったが、これは経営者としては正しい舵取りのひとつであり、極端な書き方をすれば『好きではないけど納得はできる』と感じていた。しかしアフター・ゴーン体制では、プロダクトアウト傾向へと揺り戻している気がしてならない。アリアもリーフも、そんな匂いがするのだ。

内外装のデザインはかなり素敵だが

ということで、内外装のデザインがかなり素敵なアリアを始めとする最近の日産車たちではあるが、別の角度から見ると苦しい事情が見えてくる。それは日本自動車販売協会連合会が発表している『乗用車ブランド通称名別順位』だ。

2024年の1年間で20位までに入った日産車は4位のノートと、7位のセレナだけ。他に50位までに入るのは、24位のエクストレイルと37位のキックスという2台のみなのだ。参考までに2024年の年間販売台数は27万2369台で、昨年対比は93.3%となっている。

AUTOCAR JAPANでは、日産がホンダとの合流を正式に検討し、その後破談となった流れを逐一レポートしてきた。私は編集担当としてその記事を作ってきたが、これは相当な困難が伴う道のりだと感じている。もちろん上記の数字が全てではないが、今回改めてその想いを強くした。

アリアのe-4ORCE、つまり4WDの走りはかなり気持ちいいものだった。中高速コーナリングにおける曲がり方がキレイで、街中ではBEVらしく重さを感じさせる場面もあったが、これは1台手元にあってもいいのではと思ったほどだ。ただし、勝手にもう少し安い価格を想像していたので、800万円台の数字を見て衝撃を受けたが……。

アリアとリーフの取材を経て、日産の技術力の高さを感じている。だからこそ、それを活かした正しい舵取りさえあれば、V字回復への道が残されているかもしれない。それは、新たに就任したイヴァン・エスピノーサCEOが、ルノーのルカ・デメオ氏のように強いリーダーシップで導いていくことが大前提で、思春期を日産と共に育った筆者としては、その行方を応援したい気持ちでいっぱいだ。

フェアレディZの全グレード、全仕様の注文が可能に

最後に日産に関する明るい話題を付け加えおく。それは6月2日からZニスモの受注が再開したことで、フェアレディZの全グレード、全仕様の注文が可能となったことだ。しかもこれは抽選ではなく通常オーダー。発売以来、1万台の受注を突破したRZ34型であるが、好評がゆえ入手困難の声も多かったのだ。

ちなみに当ニュースを伝えてきた日産広報担当者は、「グーグルの検索AIで『Zニスモは受注を停止しています』と出てくる」と嘆いていたが、現在は受注可能となっていることをここで強調しておきたい。

フェアレディZを新車で買う! 想像してみたらかなり気分が盛り上がってきたので、ここでようやく筆をおきたいと思う。買うなら6速MTのワンガンブルーかなぁ。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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