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で、でたーw 日本の運送業界を骨の髄までボロボロにした「規制緩和」とかいう極悪奴www

掲載 更新 105
で、でたーw 日本の運送業界を骨の髄までボロボロにした「規制緩和」とかいう極悪奴www

世代交代の停滞と人材不足の深刻さ

 日本の運送業は重大な局面に直面している。なかでも深刻なのが、待遇改善の難しさと、それにともなう人手不足だ。

【画像】「えぇぇぇぇ!」 これがトラック運転手の「最新賃金」です(計14枚)

 トラックドライバーの有効求人倍率は、全職業平均の約2倍に達している。年間労働時間は全産業平均よりも約2割、つまり400~450時間ほど長い。その一方で、年間賃金は5~15%(20~60万円)も低い水準にとどまっている。

 こうした厳しい環境が、若年層の業界離れを加速させている。ドライバーの高齢化も進んでおり、業界の就業者の約44.3%が40~54歳。29歳以下は全体のわずか10%に過ぎない。

 労働力不足と劣悪な労働条件の背景には、人口減少や高齢化だけでなく、過去の規制緩和の影響もある。規制緩和によって競争が激化し、運賃は下落。その結果、ドライバーの労働条件は悪化し、人材難に拍車がかかっている。

「自由化」が招いた崩壊危機

 その悪影響は企業経営にも及んでいる。帝国データバンクの調査によると、2024年度(11か月累計)の「道路貨物運送業」の倒産件数は328件に達した。これはリーマンショック時(2008年度)の371件に迫る水準であり、過去2番目に多い件数となった。

 この状況を引き起こしたのは、2000年代初頭に小泉純一郎政権下で進められた

「規制緩和」

であることに疑いの余地はない。トラック輸送業界もその例外ではなかった。小泉政権は、1990(平成2)年に制定された「貨物自動車運送事業法」と「貨物運送取扱事業法」に基づき、規制緩和を断行した。狙いは、参入規制や運賃規制を緩和し、自由競争を促進することだった。これにより、市場の活性化や効率化が期待されていた。

 ただし、トラック業界に対する規制緩和は小泉政権以前から始まっていた。1989年の法改正(1990年施行)では、事業参入が免許制から

「許可制」

に変更された。あわせて、運賃も認可制から届出制へと自由化が進められた。

 小泉政権の「改革」はこれをさらに加速させた。2003年4月の法改正では、営業区域制が廃止された。最低車両台数の要件は全国一律5両に緩和され、運賃の事後届け出制も廃止された。

収益崩壊が生む労務破綻

 こうした規制緩和は、事業者数の急増を招いた。全日本トラック協会のデータをもとに、その推移を示す。小泉政権による規制緩和が行われた2003年4月以降、事業者数は次のように増加した。

・1990年:4万72者
・2001年:5万6871者
・2002年:5万8146者
・2003年:5万9529者
・2004年:6万1041者
・2007年:6万3122者
・2020年:6万2844者

規制緩和の進行により、業界は過当競争に陥った。荷主は運賃の引き下げを競うようになり、トラック事業者は利益率の低下に苦しんだ。

 実際、規制緩和は業界を荒廃させている。国土交通省関東運輸局が2024年6月に公表した「令和5年度の行政処分等の概要」によれば、行政処分件数は197件だった。2019年の287件よりは減少しているが、依然として高水準にある。違反内容をみると、

・指導監督(349件)
・過労防止(237件)
・点呼(255件)

など、安全管理の基本にかかわる項目が目立つ。さらに、社会保険の未加入・未納付といった「事業の適確な遂行」に関する違反も14件あり、許認可関連違反の8.0%を占めている。零細化と疲弊が、労務管理の破綻を招いている実態が浮き彫りとなった。

 このような状況では、「2024年問題」などの警鐘も、現場の疲弊と違反の常態化を前にして効果を持たないことが明らかだ。こうした構造を生んだ根本原因は、規制緩和によって業界の収益構造が崩壊したことに尽きる。

儲からぬ物流の錯覚成長

 新規参入の激増によって過当競争が起き、運賃は下落を続けている。多くの運送事業者は、採算ラインを大きく割る料金で仕事を請けざるを得ない状況にある。規制緩和後には、運賃のダンピング(不当廉売)が横行するようになった。以前から指摘されてきた問題だが、改善の兆しはほとんど見られない。

 全日本トラック協会の「令和5年度経営分析報告」によれば、全体の営業損益率はわずか0.6%。経常損益率も2.2%にとどまる。特に深刻なのは車両10台以下の零細事業者で、経常損益率はマイナス0.7%だった。

 営業損益率0.6%というのは、100万円分の仕事をしても、利益はわずか6000円という水準である。経常損益率でも、100万円の売上に対して残る利益は2万2000円しかない。零細事業者の場合、同じ売上で7000円の赤字になる計算だ。

「走れば走るほど赤字」
「本業だけでは食っていけない」

状態が常態化している。一方で、この報告書では売上高が回復基調にあると記載されている。2022年度と2023年度を比較すると、次のような数値が並ぶ。

・2022年度の売上高(全事業収入):2億554万2300円
・2023年度:2億6710万5000円

貨物運送事業収入(営業収益)は、

・2022年度:2億5383万円
・2023年度:2億6400万7000円

見かけ上は、仕事量が増え、業界全体が回復しているようにも見える。しかし、損益率は依然として低迷しており、零細事業者では赤字が続いているのが現実だ。背景には、

・人件費
・燃料費
・車両コスト

の急騰がある。にもかかわらず、運賃単価はほとんど上がっていない。さらに売上のなかには、本業とは無関係な補助金や助成金といった一時的な収入も含まれており、実態以上に業績が改善しているように見せかける構造になっている。つまり、

「走っても儲からない構造」

は何も変わっていない。外部からの延命措置によって、業界全体がかろうじて維持されているだけだ。このままでは収益性が確保できず、ドライバーの待遇改善など、実質的な健全化にはつながらない。

賃上げ1~3%で限界の業界

 なぜ、これほど深刻な状況が長年にわたって放置されてきたのか。その理由は明白だ。規制緩和によって、トラック業界は構造的に人手不足すら解決できない業界へと変貌してしまったからである。

 その実態は、全日本トラック協会が2025年3月に公表した「物流の2024年問題対応状況調査結果」からも読み取れる。この調査によると、62.3%の事業者が「ドライバー不足」と回答している。

 これに対して、63.8%は求人活動を実施。一方で、31.4%は「受注を減らす」ことで対応している。人手不足の影響は明らかである。

 根本的な改善策として考えられるのが賃上げだが、実際には大幅な引き上げに踏み切れる余裕がある事業者は少ない。回答企業のうち、75.8%が1年以内に賃上げを行ったとする。しかし、そのうちの最多層は1~3%程度の賃上げ(35.6%)にとどまっており、実質的な生活改善には至っていない。

 さらに、「今後も賃上げの予定はない」と回答した企業は25.6%にのぼる。業界の構造的な限界が浮き彫りになっている。

 象徴的なのは、社会的に大きな注目を集めた2024年問題にもかかわらず、標準的運賃の7割以下での受注がいまだ54.8%もあるという現実だ。賃上げの必要性は認識されている。しかし、それを実行できるだけの取引条件が整っていない。この現実こそが、業界の疲弊を物語っている。

現場の声なき改革進まぬ構造

 さらに注目すべきは、国土交通省が設置した「トラック・物流Gメン」への情報提供がほとんど行われていないことだ。調査では、「情報提供をしたことがある」と答えた事業者はわずか13.1%にすぎない。一方、「今後もしない」と回答した事業者は38.5%にのぼった。制度に対する期待の低さが鮮明になっている。

「情報提供しない理由」で最も多かったのは「特に困っていない」(58.6%)という回答だったが、そこには

「いっても無駄」

という諦めの空気すら漂う。結局のところ、公取委や国交省が是正の旗を掲げたとしても、現場からの声が上がらなければ実効性は乏しい。構造的な不公正は温存されたままである。

 一連の規制緩和は、競争による効率化を掲げて始まった。だが、現実に起きたのは、零細事業者の過剰な参入と、運賃の崩壊、安全と労働環境の軽視だった。走っても儲からない構造が現場を疲弊させ、長時間労働と低賃金が人手不足をさらに深刻化させている。

 結局、規制緩和は物流インフラを崩壊させただけだった。今、求められているのは、それが誤りだったと認め、根本からやり直すことにほかならない。

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みんなのコメント

105件
  • 無無無
    郵政民営化や派遣法しかり、小泉純一郎が手がけた改革はことごとく日本をダメにしている・・。自民党では無く、日本をぶっ壊した・・。
  • toy********
    袋から何から、あの親子は…。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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