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10月1日に自動車税の中身が変わっても、古いクルマが冷遇され続けている現状に思うこと

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10月1日に自動車税の中身が変わっても、古いクルマが冷遇され続けている現状に思うこと

台風15号、19号で被災された皆さんへお見舞い申し上げます。

特に、被害に遭われた方、大切にされてきたクルマが水没してしまった方の心中は察するに余りあります。

平成最後の桜を愛でながら、古いクルマのオーナーの1人として感じたこと

筆者自身、今回の台風関連の映像を見るたびに、過去に東日本大震災の直後、女川へボランティアへ行かせていただいた際、山の上に流され、横転したクルマを見て本当に心を痛めたことを思い出します。そして、胸がしめつけられる思いでいっぱいです。

一連の災害を通じて被災された方が、すぐに新車を購入できるならいざしらず、生活の足のために車齢が高い(年式の古い)クルマを仕方なく購入されるケースも少なくないと想像しています。そして、つい先日、消費税が10%となり、それと同時に自動車税の制度が変わりました。さまざまなことが重なったこともあり、ここでいちユーザーとしての思いの丈を記させてください。

■古いクルマへの重課税について、常に問題提起してきました

さて、古いクルマへの重課税を以前より問題視している筆者ではありますが、これは本当に不条理ではないかと感じています。第一に、同じものを長く使うと税金が高くなるということが直感的におかしいし、根拠とされている環境への影響についても客観的なデータの提示はどこからもない。周囲から贅沢な趣味だと思われているマニアでも、おそらく、クルマを維持するために湯水のごとくお金をかけられる方は少数派で、苦労をして維持なさっているケースの方が多いのではないでしょうか?これは、前述のように被災され、仕方なく車齢が高いクルマを買う方々の事情とあまり変わらないと思うのです。そういった皆さんが、古いがゆえの故障の修理や、この重課税の負担のなかで楽しみを見つけているのではないかとお察しします。

*筆者が管理する「13年超車の重課税反対」Facebookページ
https://www.facebook.com/groups/1444683832519843/

■古いクルマのオーナーが、税制面で冷遇されている今の日本


筆者自身、20世紀の国産車、しかも4リッターのクルマを所有しているだけで、年間8万円超の割増の税金が課せられています。初期費用と運用費用を抑えるために、あえて国産車のこなれた(部品調達に苦労しない)クルマをチョイスしたにも関わらず、毎年の重課税には辟易としているわけです。

国内で初年度登録されてから一定の年数(13年あるいは18年、ディーゼルだと11年)を超えると税金が高くなるという、世界でも類を見ない税制が日本では施行されています。この税制に理不尽を感じながらも、愛車を走らせるために納税をしている方がたくさんいます。

そんな方々も「ビタ一文自動車税を払うつもりはない」などと言われるケースは少ないと思われます。他の新しいクルマと同じだけの税金を払うことについては何の異論もないのです。ただただ、古いからという理由だけで割増の重課税という理不尽が疑問なのです。

■古いクルマを生活の足にしている方だってたくさんいる


古いクルマに対する重課税へ反論するために、「文化」を持ち出す方もいます。「自動車文化」を全面に出した党派を超えた議員連盟も立ち上がったようですが、いまのところ、まともな活動実績はなさそうです。重課税を課せられているすべてのクルマに文化があるか、と問われると、実際はそうではないかもしれません。どちらかというと「生活」が前面にあるように感じます。それは、日常生活であり「古いクルマとともに生活するのが当たり前」という意味です。個人的には「古いクルマには文化的価値があるから重課税はおかしい」という理屈よりも、「古いクルマは生活の一部だから、重課税はおかしい」という考えですし、この考えに賛同いただける方は多いだろうと感じています。

■10月1日から施行された自動車税の優遇処置は、古いクルマのオーナーには恩恵なし!


今月アタマの10月1日から消費税が増税となったわけですが、その後の買い控えを抑制するために、「新車を購入した場合に限り」自動車税や自動車取得税が減免されたりする制度が作られました。この減免は、古いクルマに関してはまったく関係なく、あくまでも10月1日以降に新車を購入した場合への優遇措置です。もう、まったくわかってないというか、どれだけ新車を買わせたいんだ、という感じです。

*2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/131410.html

海外に目を向けると、ヨーロッパでは国によって差はありますが、概ね車齢30年を超えると税金がほぼゼロになるなど、旧いクルマに対して優しい税制があり、それまでの間は30年未満のクルマでもCO2排出量によって算出する基準があったりと、日本の税制に比べると、全然ロジカルですし、納得感もあると感じています。

*2019年現在のEU諸国の自動車税に関する情報まとめ(カレントライフ)

旧車オーナーに届け!2019年現在のEU諸国の自動車税に関する情報まとめ



■果たしてどうなる?走行税

日本でも「燃料税」という考え方がありました。これは、使った燃料に対して課税するという考えかたで、燃費がある程度のレンジに収まっていれば納得感のある考え方ではあったものの、昨今のハイブリッド車や電気自動車のように、ガソリン燃料を使わないクルマの台頭によって公平感のないものになってきています。同じように道路を使用しているにも関わらず、化石燃料を使わないというだけで優遇されていいものなのか、と。それらのクルマに搭載されているバッテリーの製造や廃棄は環境への影響はないのか、と問いたいと考えています。自動車に関わる税金が「所有」に対するものなのか、「使用・利用」に対するものなのかが明確になっていないことも、混乱や納得感のなさにつながっていると感じます。

最近では「走行税」というアイディアがあるようです。年間の走行距離に対して課税するものです。この考えかたはある意味、理にかなっているように思えますが、「全納税者が自身(自車)の走行距離を正しく申告する」ということが前提な点で難しいことは容易に想像ができます。古いクルマを持つ善良なオーナーは、正しくオドメーターを申告する可能性が高いが、ズルしようと思う輩がいることは否定できない。事業でクルマを運行している事業者(運輸業やタクシーなど)にとっては節税が大きなテーマになってしまう可能性もあるが、だからと言ってこれがダメとも言えない微妙な感じかと。

*ビジネス特集 1000キロで5000円? 走行税の実態は(NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190412/k10011881941000.html

さて、とはいえ、一部のマニアが騒いでるだけと思われがちなこの問題、果たしてそうなのでしょうか?マニアと呼ばれる人が一定層いることはまったく否定しませんが、好きで乗っていたり、まったく不自由を感じてないので乗り換えないことを選択している方々に対して、重く税金を課すのはどう考えても理不尽です。何も捨てていないことはエコであることこの上ないと思うのです。

■まとめ:払う意思はあるのだから、納得して納税できる制度を望みたい…

筆者がこの記事を通して伝えたいことは「クルマを愛するすべての人は、税金から逃れようなどとはしていない」ということ。自分のクルマで公道を走り、少なからずCO2を排出している自覚はあるはずです。しかし、こればかりは程度問題かもしれませんが、それほど環境に影響を与える悪事を働いている自覚もなけば、そんなつもりも、根拠となるデータもないわけで…。ひとつ言えることは、多くの日本人にとって、クルマは生活の足であり、趣味として接していれば精神的支えであり、生きがいでもあります。

クルマなくしては生活が成り立たない方が大勢います。それだけに、公平な税負担をお願いして止まないわけですよ、本当に…。

[ライター・撮影/ryoshr]

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