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【非凡なエンジンとハンドリング】ボクソール(オペル)・アストラ1.2ターボへ試乗

掲載 更新 3
【非凡なエンジンとハンドリング】ボクソール(オペル)・アストラ1.2ターボへ試乗

英国ではベストセラーの定番モデルだった

text:Richard Lane(リチャード・レーン)

【画像】アストラと競合 カローラ/フォーカス 全91枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


以前は英国のベストセラーとして上位10位の定番だった、ヴォグゾール(オペル)・アストラ。近年は、その姿が見えないようだ。

昨年受けた大幅なフェイスリフトをもってしても、アストラの英国トップ10復活には結びついていない。SUV人気の中で、ファミリー・ハッチバックというセグメント規模は縮小傾向。メルセデス・ベンツAクラスなどの手頃な価格設定もあり、逆風は弱くない。

それでも、アストラは充分に検討する価値がある。今回は新しい1.2Lのガソリンターボ仕様を、少し長い時間をかけて試乗する機会を得た。

英国の場合、アストラは会社からの貸与車両として需要が高い。特に、新しい1.5Lのディーゼルエンジン版は税制的にも有利で、燃費でも優れている。

新しく設定された3気筒ガソリンエンジンも、同等の燃費性能とCO2の排出量を叶えている。最高出力は109psと129ps、145psの3段階を用意。こちらは一般ユーザーの支持を得ることになるだろう。

この1.2Lの3気筒ターボ・ガソリンエンジンは、グループPSAの同排気量ユニットとは別物。オールアルミ製で、1.5LのディーゼルエンジンとともにGM傘下時代に開発されたユニットだ。

オペルとヴォグゾールは2017年にグループPSA傘下となったが、1.4Lの4気筒ターボに入れ替わるかたちで、新しいユニットはそのまま採用となっている。このエンジンは、とても好印象。残った理由もうなずける。

ハンドリングはフォード・フォーカスに迫る

回転域を問わず軽快に吹け上がり、アストラへ心地良くスピードを与えてくれる。決して気持ちが燃え上がるパフォーマンスを発揮するわけではないが、現実世界の交通環境で充分に楽しませてくれる。

6速MTも改良を受け、変速フィールは滑らか。エンジンとの相性もすこぶる良い。

加えて燃費も優れている。スペックシート上だけでなく、実際に17.0km/Lを超える燃費での走行も難しくない。ダウンサイジングされた3気筒ターボとはいえ、この数字はなかなか得られるものではない。

1.2Lの3気筒ユニットは、従来の1.4L 4気筒ユニットより10kgほど軽量。鼻先が軽くなり、機敏な動きを感じ取れる。その回頭性の鋭さは、きっと読者の想像以上。フォード・フォーカスの水準には達していないものの、素晴らしいハンドリングだ。

フェイスリフトに合わせて、シャシーにも変更を受けている。スプリングやダンパー、ブッシュ類の設定も見直され、滑らかな乗り心地を実現した。まとまりのある操縦性や、機敏な身のこなしへと結びつけている。

オペルがアストラへ与えた設計意図は、しっかり達成できている。ドライバーを興奮させすぎることなく、優れた快適性と活発なダイナミクス性能を獲得している。ステアリング・システムも改良されたが、これは従来通り、アストラの弱点といえる。

スタイリングにも、わずかながら変更を受けた。主にフロントグリルとヘッドライトのデザインだ。

足を引っ張るインテリアデザイン

インテリアでは、上位モデル譲りとなる、最新のタッチモニター式インフォテインメント・システムを搭載。アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも対応する。

正直、スマートフォンとのミラーリング機能の方が、純正システムより使いやすい。操作性を比べると、7代目フォルクスワーゲン・ゴルフのものの方が優れているほど。

競争の激しいハッチバックの中で、インテリアは、アストラの足を引っ張っている部分。ライバルのフォルクスワーゲン・ゴルフやトヨタ・カローラ、マツダ3と比較して、知覚品質では明らかに並べていない。

デザインは見た目でも魅力に欠け、退屈で暗くぼやけた印象が残る。シートとドライビングポジションも、もう少し煮詰めた方が良い。

アストラにはオススメしたくなる要素が沢山あるだけに、インテリアの質感は残念。価格設定も良く、運転もしやすい。優れた走行性能と燃費を、両立させてもいる。

しかし、SUVの人気は止まらない。低金利が後押しし、メルセデス・ベンツAクラスやBMW 1シリーズ、アウディA3などのプレミアムブランド・モデルも、魅力的な価格で乗れる状況にある。

ファミリー・ハッチバックとして、優れたポイントを沢山備えたヴォグゾール(オペル)・アストラ。総合点ではライバルに勝るとも劣らない。選択肢に加えたいモデルだ。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.2ターボ 145エリート(英国仕様)のスペック

価格:2万3995ポンド(316万円)
全長:4370mm
全幅:1809mm
全高:1485mm
最高速度:220km/h
0-100km/h加速:8.8秒
燃費:18.1-19.2km/L
CO2排出量:-
乾燥重量:1280kg
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:145ps/5500rpm
最大トルク:22.9kg-m/2000-3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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みんなのコメント

3件
  • GM時代の名残を惜しむのも、もうこのへんが最後なのかもしれない。

    ボクスホールはGM時代、いすゞとIBCという合弁会社をやっていて、ビッグホーンやミュー/ウィザード、ファーゴといったいすゞ車の他にスズキのキャリィ/エブリィバンをラスカルという名前で製造/販売していた。だから「ケッパコ」はヨーロッパでもとてもポピュラーな乗り物なのだ。

    だからオペルが日本にもう撤退しない覚悟で再進出するのなら、ただ輸入車のオペルを売るだけじゃなくて、日本向けに軽商用車の新型ラスカルを開発して日本で生産し、JAの販売網とブランドで売るくらいの離れ業をやってほしいと思う。
  • オペル再導入においては「VITA」の名前を使うことと、それに伴って常盤貴子を起用する子憎たらしさを持つことだろう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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