この記事をまとめると
■日産はフォルクスワーゲン・サンタナをノックダウン生産していた
ルノー4CV・オースチンA40・VWサンタナを日本で生産!? メーカーにとって諸刃の剣だった「ノックダウン生産」とは
■右ハンドルにして5ナンバー化するなど日本向けに仕様変更していたが販売は低調だった
■日産はサンタナのノックダウン生産によってフォルクスワーゲンのクルマづくりを学んだ
日産製フォルクスワーゲンの「サンタナ」
フロントグリル中央に備わる「VW」のマーク。誰がどう見てもドイツのメーカー、フォルクスワーゲンのクルマであることがわかるものだが、じつは日本で作られたというモデルが存在していた。それが「サンタナ」というセダンである。
ドイツ本国では、1981年8月のフランクフルトショーでデビューしたサンタナは、前年秋に登場した2代目パサートをベースとしたノッチバックセダンモデルであるが、当時積極的に海外展開を図っていた日産がフォルクスワーゲンと提携したことで、1984年から日本国内でノックダウン生産・販売をスタートすることになったのだ。
ノックダウン生産とは一から自社で生産するのではなく、フォルクスワーゲンから部品単位で輸入して日本国内で組み立てることを指しており、その白羽の矢が立ったのがサンタナだったというワケだ。
ただ、日本で販売するにあたって、本国モデルをそのまま組み立てて売るのではなく日本に即した変更もなされており、ステアリング位置は当然右となっていたほか、ドアモールを薄型の専用品にすることで5ナンバーサイズとしていた。
というのも、1984年当時はエンジンの排気量が2リッター以下であっても3ナンバーサイズになっただけで税金がハネ上がる時代だったので、ボディサイズを5ナンバーサイズに収めるのは重要な要素だったのである。
このように、日本向けにローカライズがなされたサンタナは、2リッターと1.8リッターのガソリンエンジンと、1.6リッターのディーゼルターボエンジンがラインアップされ、快適装備は当時の同価格帯の車種と同じものとなるように、本国仕様ではオプションとなるものも標準化がなされていた。
そんな日本製のサンタナは、当時の日産サニー店だけでなく、当時のフォルクスワーゲン車の正規輸入を手がけていたヤナセでも販売。ただ、実際に販売をスタートさせてみると、当初の月販目標を大きく下まわるものとなってしまい、結局1988年末には両社の提携は解消となり、ノックダウン生産も終了してしまった。
日産はフォルクスワーゲンに1台ずつロイヤリティを払っていたため、ビジネス的には成功したとはいい難いサンタナであったが、ノックダウン生産によってフォルクスワーゲンのクルマづくりを学ぶことができたのは大きな収穫で、のちに欧州でも高い評価を受けることとなるプリメーラの開発にも大きく影響したとされている。
なお、余談ではあるが、サンタナのノックダウン生産は終了してしまったが、日産はサンタナユーザーの後継車種として3代目パサートの輸入販売を短期間行っており、日産独自のパーツカタログなども存在していた。
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